Broken Flower

なめめ

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Broken Flower2

Broken Flower2 ②

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それにしても配達に行く前には、百合も慎文さんもそんなこと話してくれていなかったし、素振りを見せていなかった。慎文さんはともかく、百合の性格なら何か変化が生まれると葵に真っ先に話してくれてもいいはず。

「いつ面接したの?」

「今日、葵ちゃんが配達行っている間よ。ほんと、ついさっき」
「えっ·····」

幾ら慎文さんの紹介とはいえ、即決で決めてしまっていいのだろうか。慎文さんが来る前は、アルバイトが入ってきても、なかなか居着かなかった。

大学が近いこともあり、募集すれば学生が飛びついてきていたが、表面上の憧れで面接に来るこの方が圧倒的だった。しかし、実際は幼稚園生や小学生が将来の夢で『お花屋さんになりたい』とお店にお花を並べでニコニコしている姿を想像し、憧れるような穏やかなものはなく、ほぼ重労働が多い。
それだけじゃなく綺麗な花に魅せられるのは人間だけじゃない、ここに関しては慣れれば問題ないだろうが虫嫌いには過酷ともいえる。

そんな華やかで穏やかそうな理想と現実のギャップに幻滅して、辞めていく子が多かった。

慎文さんを採用したときも、もちろん慎重に採用人物を選んでいたし、百合のイケメン好きに目が止まったこともあったが、一番の決めては彼の実家が酪農業を営んでいて、今まで家業をしていた経験があったからこそだった。

「そんなすぐに決めて大丈夫なの?慎文さんは経験があったから良かったけど·····」

「大丈夫よ。男の子だし、体力には申し分ないでしょ?それに葵ちゃんの一個下だったかな?あなた同い年のお友達居ないじゃない?お友達になれるかもしれないでしょ?」

「そうそう、その子もシクラメンが好きみたいだから葵君と話合うんじゃないかな?」

百合と慎文さんが顔を見合わせて微笑んでいるが、葵にとっては話が合うから仲良くなれるとかそういう問題じゃない。過去の様々な出来事から年齢の近い同性は得意ではない。苦くて辛い学生時代と一時期の自らの恥を思い出しては消えてなくなりたい気持ちに駆られるからだ。

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