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突然の…
突然の····· 12-15
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晩秋を迎え、花壇の花も次の春に備え、片付け始めたと同時に非常階段で眺めていた唯一葵を見ることの出来ていた景色も終わりを告げる。
もう時期三年生は本格的な受験シーズンを迎える。葵の進路を聞いたことがなかったが、進学せずに卒業して直ぐに実家を継ぐのだろうか。聞きたいこと、知りたいことが沢山あるのに修復できないまま悪戯に時が過ぎていく。
葵の毎朝の水遣りが無くなった後も亨は葵のことを諦め切れなかった。
何度かわざと下駄箱前で待ち伏せを試みたが、あからさまに無視され、避けられた挙句に、護衛のように江藤が盾になり、話しかけることすら叶わない。
放課後、我先にと階段を駆け寄りて三年生の下駄箱前で待ち伏せする。騒がしく出てくる生徒達の中から葵を探すが、待てど暮らせど彼の姿が現れることはなかった。
今日はダメだっただろうか·····。
なんて肩を落として俯いていると、自分の目の前に人が止まった気配がした。
目線の先の黒いスニーカー。微かな期待を寄せながらゆっくりと顔を上げると、そこには自分の望んでいた人物ではなく、江藤がいた。
直接的に絡んだことはないが、個人的に葵を虐めていた意味でも敵意を向けているせいか、自然と眉間に皺が寄る。
「大藪、今日は来てねぇぞ?」
黒髪短髪。目の惹く金髪から一件優等生に見える見た目に落ち着いたと言えども、剃り整えられた眉毛と吊り上がった目が内からでる治安の悪さを滲み出している。肩に担ぐようにスクールバックを提げている姿はとても行儀の良さそうには思えない。
「いや、別にそういうんじゃないんで·····」
正直現在進行形でこいつが葵の隣にいることが許せないが、下手に絡まれる事は避けたかった。亨はその場から立ち去ろうと玄関口へと向かおうとしたとき「おい」と呼び止められて踵を返した。
もう時期三年生は本格的な受験シーズンを迎える。葵の進路を聞いたことがなかったが、進学せずに卒業して直ぐに実家を継ぐのだろうか。聞きたいこと、知りたいことが沢山あるのに修復できないまま悪戯に時が過ぎていく。
葵の毎朝の水遣りが無くなった後も亨は葵のことを諦め切れなかった。
何度かわざと下駄箱前で待ち伏せを試みたが、あからさまに無視され、避けられた挙句に、護衛のように江藤が盾になり、話しかけることすら叶わない。
放課後、我先にと階段を駆け寄りて三年生の下駄箱前で待ち伏せする。騒がしく出てくる生徒達の中から葵を探すが、待てど暮らせど彼の姿が現れることはなかった。
今日はダメだっただろうか·····。
なんて肩を落として俯いていると、自分の目の前に人が止まった気配がした。
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直接的に絡んだことはないが、個人的に葵を虐めていた意味でも敵意を向けているせいか、自然と眉間に皺が寄る。
「大藪、今日は来てねぇぞ?」
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「いや、別にそういうんじゃないんで·····」
正直現在進行形でこいつが葵の隣にいることが許せないが、下手に絡まれる事は避けたかった。亨はその場から立ち去ろうと玄関口へと向かおうとしたとき「おい」と呼び止められて踵を返した。
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