Broken Flower

なめめ

文字の大きさ
上 下
68 / 101
突然の…

突然の…… 12-1

しおりを挟む
幸せの絶頂にいても不幸というものは自分の見知らぬとこで起き、足音を立てずに静かに忍び寄ってくる。

いつもの朝。爽やかな音を奏でながら枕元のスマホが鳴る。
アラームの音だ。手探りで音の根源を探して止めては、恒例の「おはよう」メールを葵に送る。この後好きな人からのモーニングコールが来ると分かっているので亨は安心して再び眠りについた。唇を重ねた日、いつものように放課後に誘い、葵は終始顔を真っ赤にさせながらも一緒に歩いた帰り道。

お互いの想いが重なったように感じて嬉しくて、好きな人と付き合って隣を歩くだけでこんなに胸が騒がしくなるものなんだと再確認した。
別れるのが名残惜しくて、葵の乗る地下鉄のホームまで一緒についていくと案の定、葵は断ってきたが俺に対しての遠慮からくるものだと分かっていたので強引についていった。

誰も人目のつかないように柱の陰に隠れて、電車が来るまで手を繋いでいた。
「メールじゃなくて朝一で葵の声が聴きたい。葵の声なら起きれるかも」と相手が年上なのをいいことに甘えるとモーニングコールをくれるようになった。

好きな人の声から始まり、お昼も非常階段で食べて、帰りも俺がバイトの日以外は一緒に帰る。この一週間、順風満帆でこの先も葵との日々が続くと信じて疑わなかった…。

2度目の眠りについてから再び鳴るスマホ、アラームではなく着信音だと覚醒したての朧気な頭で諭しては通話をタップし耳に押し当てる。

「おはよーあおい」

『あおいって誰だよ。それより、塩谷。お前週明け早々、学校休む気か?』

「へ?休む気ないけど…」

聞き慣れた慎ましく柔らかみのある声ではなく、予想外のしゃがれた声の主に頭が冴えたと同時に思考が停止する。
スマホを耳から離して画面を見遣るとそこに表示されていたのは星野の名前だった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

少年達は淫らな機械の上で許しを請う

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

狂わされた街の広場で少年達は壊される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

生意気な少年は男の遊び道具にされる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...