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突然の…
突然の…… 12-1
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幸せの絶頂にいても不幸というものは自分の見知らぬとこで起き、足音を立てずに静かに忍び寄ってくる。
いつもの朝。爽やかな音を奏でながら枕元のスマホが鳴る。
アラームの音だ。手探りで音の根源を探して止めては、恒例の「おはよう」メールを葵に送る。この後好きな人からのモーニングコールが来ると分かっているので亨は安心して再び眠りについた。唇を重ねた日、いつものように放課後に誘い、葵は終始顔を真っ赤にさせながらも一緒に歩いた帰り道。
お互いの想いが重なったように感じて嬉しくて、好きな人と付き合って隣を歩くだけでこんなに胸が騒がしくなるものなんだと再確認した。
別れるのが名残惜しくて、葵の乗る地下鉄のホームまで一緒についていくと案の定、葵は断ってきたが俺に対しての遠慮からくるものだと分かっていたので強引についていった。
誰も人目のつかないように柱の陰に隠れて、電車が来るまで手を繋いでいた。
「メールじゃなくて朝一で葵の声が聴きたい。葵の声なら起きれるかも」と相手が年上なのをいいことに甘えるとモーニングコールをくれるようになった。
好きな人の声から始まり、お昼も非常階段で食べて、帰りも俺がバイトの日以外は一緒に帰る。この一週間、順風満帆でこの先も葵との日々が続くと信じて疑わなかった…。
2度目の眠りについてから再び鳴るスマホ、アラームではなく着信音だと覚醒したての朧気な頭で諭しては通話をタップし耳に押し当てる。
「おはよーあおい」
『あおいって誰だよ。それより、塩谷。お前週明け早々、学校休む気か?』
「へ?休む気ないけど…」
聞き慣れた慎ましく柔らかみのある声ではなく、予想外のしゃがれた声の主に頭が冴えたと同時に思考が停止する。
スマホを耳から離して画面を見遣るとそこに表示されていたのは星野の名前だった。
いつもの朝。爽やかな音を奏でながら枕元のスマホが鳴る。
アラームの音だ。手探りで音の根源を探して止めては、恒例の「おはよう」メールを葵に送る。この後好きな人からのモーニングコールが来ると分かっているので亨は安心して再び眠りについた。唇を重ねた日、いつものように放課後に誘い、葵は終始顔を真っ赤にさせながらも一緒に歩いた帰り道。
お互いの想いが重なったように感じて嬉しくて、好きな人と付き合って隣を歩くだけでこんなに胸が騒がしくなるものなんだと再確認した。
別れるのが名残惜しくて、葵の乗る地下鉄のホームまで一緒についていくと案の定、葵は断ってきたが俺に対しての遠慮からくるものだと分かっていたので強引についていった。
誰も人目のつかないように柱の陰に隠れて、電車が来るまで手を繋いでいた。
「メールじゃなくて朝一で葵の声が聴きたい。葵の声なら起きれるかも」と相手が年上なのをいいことに甘えるとモーニングコールをくれるようになった。
好きな人の声から始まり、お昼も非常階段で食べて、帰りも俺がバイトの日以外は一緒に帰る。この一週間、順風満帆でこの先も葵との日々が続くと信じて疑わなかった…。
2度目の眠りについてから再び鳴るスマホ、アラームではなく着信音だと覚醒したての朧気な頭で諭しては通話をタップし耳に押し当てる。
「おはよーあおい」
『あおいって誰だよ。それより、塩谷。お前週明け早々、学校休む気か?』
「へ?休む気ないけど…」
聞き慣れた慎ましく柔らかみのある声ではなく、予想外のしゃがれた声の主に頭が冴えたと同時に思考が停止する。
スマホを耳から離して画面を見遣るとそこに表示されていたのは星野の名前だった。
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