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葵の嫌いなもの
葵の嫌いなもの 11-6
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橋下が去った後、放心状態で突っ立っていると葵に酷く心配された挙句に「亨くんには迷惑をかけないようにするので·····もし亨くんにも被害を受けそうなことになったら僕から離れてくれて構いません」と謝られてしまった。
葵がどんなに俺の為を想った気遣いなのだとしても彼から離れる気はない。
彼の自分よりも他人優先な控え目な発言に胸を痛ませながらも、亨は橋下の存在を危惧していた。
ーーー好きな人守る前に自分のこと守った方がいいんじゃない?下手したら君、停学になるよ。君と西田。保健室。人がいるのも気づかずに別れ話するなんて·····軽率だよね。
なんて耳元で囁かれて動揺しないはずがない。
橋下はあの場にいたような雰囲気を醸し出して俺にかまをかけてきた。
いや、保健室の様子なんて逐一気にすることなどないから、カーテンの閉められたベッドに橋下が偶々いたのだとしたら聞かれていてもおかしくはない。
寄りにもよって葵を目の敵にしている奴に聞かれてしまうなんて…。
西田とは終わった話。だけど、葵には先ほどのこともあってか、西田と交際していたなど知られたくはなかった。
軽蔑されるような気がして怖かった…。
「迷惑だなんて思わないよ。俺は何があっても葵のそばにいたいと思ってるから…」
亨は悲しそうに目を伏せている彼の目の前に歩み寄ると顎先を持ち上げ、軽く触れ合う程度に唇を重ねた。不安を埋めるようなキスなんて葵の心を動揺させるだけだと分かっていても、行動で示さずにはいられなかった。
「と…とおるくんっ」
案の定、口元を両手で抑えては瞳を泳がせている。
亨はそんな葵を抱き寄せては後頭部に手を添えて、項に顔を埋める。
どうか、この先ずっと葵だけを本気で愛すると誓うので傍に居させてください…彼のことを抱きしめながらも強くそう願っていた。
葵がどんなに俺の為を想った気遣いなのだとしても彼から離れる気はない。
彼の自分よりも他人優先な控え目な発言に胸を痛ませながらも、亨は橋下の存在を危惧していた。
ーーー好きな人守る前に自分のこと守った方がいいんじゃない?下手したら君、停学になるよ。君と西田。保健室。人がいるのも気づかずに別れ話するなんて·····軽率だよね。
なんて耳元で囁かれて動揺しないはずがない。
橋下はあの場にいたような雰囲気を醸し出して俺にかまをかけてきた。
いや、保健室の様子なんて逐一気にすることなどないから、カーテンの閉められたベッドに橋下が偶々いたのだとしたら聞かれていてもおかしくはない。
寄りにもよって葵を目の敵にしている奴に聞かれてしまうなんて…。
西田とは終わった話。だけど、葵には先ほどのこともあってか、西田と交際していたなど知られたくはなかった。
軽蔑されるような気がして怖かった…。
「迷惑だなんて思わないよ。俺は何があっても葵のそばにいたいと思ってるから…」
亨は悲しそうに目を伏せている彼の目の前に歩み寄ると顎先を持ち上げ、軽く触れ合う程度に唇を重ねた。不安を埋めるようなキスなんて葵の心を動揺させるだけだと分かっていても、行動で示さずにはいられなかった。
「と…とおるくんっ」
案の定、口元を両手で抑えては瞳を泳がせている。
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