Broken Flower

なめめ

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別れ話

別れ話 10-4

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「映画·····どんなものが好きなんですか?僕は、正直映画はあまり観ないので詳しくないですが·····」

「アクションとかかな·····邦画も洋画もどっちも好き」

日本の邦画は監督の作品に対する熱量が伝わる。刀を使うアクションでは、身体能力の高い俳優を起用し立ち回りの指導を受け、臨場感のある戦闘シーンを再現したり。心を揺さぶられる作品を何個か頭に浮かべる。洋画は洋画で予算がある分、撮影のスケールが大きくて異彩を放つ作品が多い。

葵が真剣に聞いてくれていることに、安心して普段では全く話すことのないような、今まで観た中で亨の心が射抜かれた作品の話などを夢中でしていると、柔らかい表情で葵が微笑んできていた。途端に柄にもなく熱く語っていた自分が恥ずかしくなり、「ごめん、喋りすぎた·····恥ずかしい」と羞恥から両手で顔を覆った。

「そんなことないです。亨くんの話聞いていると凄く面白そうで·····僕も観てみたいです·····」

興味のない話でも耳を傾けて、興味を示してくれる葵の優しさが擽ったい。だけど、それが心地よくて、にやけてしまう口元を両掌で隠していた。

「今度行こうよ·····葵が気に入りそうなもの見つけておくから」

「はい」と返事をする葵が朝日よりも眩しくて、このまま授業なんて受けずに葵との時間に費やしたいとさえ思える。それくらい穏やかに流れる時間が終わってしまうのは惜しかった。

SHRの始まりを告げる予鈴が鳴ると下駄箱で葵と別れて教室へと向かう。教室まで送ろうかと提案したが、「亨くんが授業に遅れるといけないので·····」と断られてしまい、強引についていくことも出来ず一人悶々とする。

恋人がいる奴の中で名残惜しいからと授業始まるギリギリまで教室前でイチャイチャしているものだっている。学生の恋愛なんて我慢なんてものは皆無で勉強は二の次なんて奴も多い筈だ。しかし、葵は俺に告白して「好き」だと告げてきても恋に溺れているような様子はみせない。気持ちの切り替えが出来ているのか、はたまた控えめな性格からなのか·····。

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