Broken Flower

なめめ

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僅かな心の変化

僅かな心の変化 4-2

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自分だって火の海に自ら飛び込むような真似なんてするつもりは無い。しかし、そんな矢先に保健室で話したときの男の笑顔が脳裏に浮かんできては気づけば座席を立ち上がっていた。

今すぐに考えるより気持ちが先走って何とかしないとなんて思いに駆られては、教室を勢いよく飛び出すと、「おい、何処行くんだよ」と星野が呼び止めるのを無視して急いで階段を駆け下りる。男が悲しそうにしているのが見ていられなかった。

ただアイツらを止められるだけの力は自分にあるだろうか。
今まで、恋人とすら揉めるのが面倒くさくて
逃げてきた俺が。

駆け下りている階段の途中で立ち止まっては行くことに躊躇いを覚え始める。
すると、上下ジャージのいかにも体育教師です。と主張してるような生徒指導とすれ違ったのをいいことに、花壇の奴らの事情を説明してやるとすぐ様着いてきてくれた。

自分ではこれが精一杯。衝動のままに動いてはみたものの、自ら奴らを巻く勇気なんてないから結局大人頼み。

亨は教師と共に駆け足で向かうと丁度花壇の上で金髪の男が葵を蹴り飛ばしているところだった。

それを見るなり教師は声を荒らげながら金髪の男達に注意をする。
男達はその教師の怒声で存在感に気づくなり、口々に「やべっ」と言っては、全力疾走で逃げるようにして裏口玄関から校舎内へと入っていった。体育教師も三人を追いかけていってしまう。

葵と残された花壇。

亨は蹴飛ばされては、縮こまっている葵の元へとゆっくりと近づいては唯、見下ろしていた。制服がどこもかしこも土だらけで、ブレザーのジャケットは金髪のものであろう足跡が背中にくっきりと付いている。

とても見ていられない状況に目を塞ぎたくなった。男の転んだ膝の下には紫の花が潰されてしまっている。傍に近寄っても気づいていないのか葵は土に手をついて俯いたまま動かなかった。

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