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chapter4
chapter4-2
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和幸が靴を履き、振り向いたところで「はい、お弁当」と弁当袋を手渡された。これが可愛い彼女であれば気分も上がるんだろうと思いながら渋々受け取ると慎文に右手首を掴まれた。
「指輪、してくれてる」
「ああ、一応貰ったもんだし」
慎文は顔を傾けて和幸の薬指に光る指を認めると安堵したかのように頬を綻ばせる。
一昨日、慎文から贈られた指輪。
本当は身に付けたくもなかったが、自身が贈ったものをちゃんとしてくれているのか、気にしてくることは何となく予想がついていた。
形だけでもと思いながら嵌めたのは部屋を出る前のこと。当然、仕事中はするつもりはない。同僚や上司に突っ込まれるのは面倒くさいからだ。
和幸が手を引っ込めて下げようとするとそれよりも強い力で慎文に引っ張られると薬指の指輪目がけて唇を落とされてギョッとした。
「お前、何やってんの」
途端に寒気がして奴の手を振り払うと眉に皺を寄せて睨みつける。
「行ってらっしゃいのチュー」
「はぁ……。やめろよ」
「行ってらっしゃい、カズくん」
完全に油断をしていた。朝から怒鳴るのも労力を使うのでしたくなかった和幸は、冷たく言い放つと逃げるように玄関扉を開けた。
マンションのエレベーターに乗り込んだところで漸く一息をつく。即座に指輪を外して鞄から箱を取り出すと中へと仕舞った。
しばらくしてスマホがコートのポケットの中で震えたので画面を確認すると「仕事終わったら迎えにいくね」と言う慎文からのメッセージだった。
和幸は一読だけすると返信をせずにスマホをポケットに戻すと、奴が来てから何度目かも分からない溜息をついた。
「指輪、してくれてる」
「ああ、一応貰ったもんだし」
慎文は顔を傾けて和幸の薬指に光る指を認めると安堵したかのように頬を綻ばせる。
一昨日、慎文から贈られた指輪。
本当は身に付けたくもなかったが、自身が贈ったものをちゃんとしてくれているのか、気にしてくることは何となく予想がついていた。
形だけでもと思いながら嵌めたのは部屋を出る前のこと。当然、仕事中はするつもりはない。同僚や上司に突っ込まれるのは面倒くさいからだ。
和幸が手を引っ込めて下げようとするとそれよりも強い力で慎文に引っ張られると薬指の指輪目がけて唇を落とされてギョッとした。
「お前、何やってんの」
途端に寒気がして奴の手を振り払うと眉に皺を寄せて睨みつける。
「行ってらっしゃいのチュー」
「はぁ……。やめろよ」
「行ってらっしゃい、カズくん」
完全に油断をしていた。朝から怒鳴るのも労力を使うのでしたくなかった和幸は、冷たく言い放つと逃げるように玄関扉を開けた。
マンションのエレベーターに乗り込んだところで漸く一息をつく。即座に指輪を外して鞄から箱を取り出すと中へと仕舞った。
しばらくしてスマホがコートのポケットの中で震えたので画面を確認すると「仕事終わったら迎えにいくね」と言う慎文からのメッセージだった。
和幸は一読だけすると返信をせずにスマホをポケットに戻すと、奴が来てから何度目かも分からない溜息をついた。
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