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chapter3
chapter3-2
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暫くしてテーブルに二人分の目玉焼きと、奴が地元から持参であろうソーセージ、牛乳、御飯に味噌汁、焼き魚が並べられる。
和幸の毎日の朝食は牛乳を浸したシリアルで済ませることが多く、いつもの倍以上の朝御飯に呆然とする。
慎文は朝も早いうえに肉体労働だ。故に朝食はしっかり食べているだろうし、休日は遅く起きてだらだらと過ごす和幸とは生活リズムが全く違う。
朝からしっかりとした朝食を作ってくる奴には関心をするが、御茶碗山盛りの白米は流石に胃袋に堪える。
和幸は自らキッチンまで足を運び、炊飯器に半分ほど白米を戻すとダイニングの方から「カズくん、細いんだから沢山食べなきゃだめだよ」と頬を膨らませた慎文に口を挟まれたが無視をして元の座席に座る。
「俺の朝はシリアル派なの。お前と一緒にするな」
何か言いたげな慎文を気にも留めず、和幸は「いただきます」と呟き味噌汁をすすると朝食に手を付けた。
暫くして向かいの奴も食事を始める。
ふと視線を感じて顔を上げると、慎文はニコニコしながら此方見てきていた。敢えて触れずにやり過ごそうかと思ったが、奴からの視線が落ち着かない。
耐えきれずに「さっきからなに?」と問うと「毎日カズくんとこうだったら幸せなのになーって思いながら眺めてた」とぶれない笑顔で返してきたので、いちいち気にしていた自分が馬鹿馬鹿しくなった。
こいつと毎朝のように食事をするなんて考えただけで身震いする。いつ奴に襲われるか分からないのを警戒しながら生活しなくてはいけないなんて気が休まらない。
奴が訪問してくることも自宅に泊まることも容認しているとはいえ、強引に物事を進めようとしてくるのは変わらないし、冷たく突き放そうとしたら目に見えて分かるほど悲しそうな表情を見せるので扱いに困り果てていた。
「お前、いつまでいるんだっけ?」
「二十五日まで。二十六日の朝に帰る」
今日が十八日なので約一週間。
今年のクリスマスは週末に大被りなので、土日が所定休日の和幸は奴と一緒に過ごすのは必然的。
敢えてなのか、去年もド平日にもかかわらずクリスマスに被せてきたので慎文の思惑があるのだろう。
去年は意地でも奴とクリスマスを過ごしたくなくて平日をいいことに終業時に迎えに来ていた慎文を振り切って社内の同期と飲み会に行った。
しかし、呑んでいても奴の振り切った瞬間の悲しそうな表情が和幸に罪悪感をもたらし、お詫びとしてケーキを買って帰ってきたのは記憶に新しい。
「そんなに家を空けてて大丈夫なのか?実家とはいえ長期で休めるもんでもないだろ」
一週間とは言わずに一日でも早く帰って欲しいところではある。皮肉を込め問うたつもりであったが慎文には伝わってないのか、あっけらかんとして首を左右に振った。
「ううん。兄に許可貰ってるから大丈夫だよ。それに今年は用事もあるから……」
「そう……。俺的にはさっさと帰って欲しいくらいだけどな」
慎文の用事が何なのか気にはなったが奴にも事情はあるだろうし、敢えて聞かずに悪態を吐く。
すると、わかり易く慎文は頬を膨らませてテーブルを両手拳で叩いてきたので、その衝撃に驚き体がビクリと跳ねた。
そんな和幸の反応を目にして、慎文が眉を下げて小さく「ごめん」と呟く。慎文から情けを貰って謝られるのも、年下相手に尻尾を撒いている姿も見せるのも年上の威厳がある。和幸は咳払いをして誤魔化した。
和幸の毎日の朝食は牛乳を浸したシリアルで済ませることが多く、いつもの倍以上の朝御飯に呆然とする。
慎文は朝も早いうえに肉体労働だ。故に朝食はしっかり食べているだろうし、休日は遅く起きてだらだらと過ごす和幸とは生活リズムが全く違う。
朝からしっかりとした朝食を作ってくる奴には関心をするが、御茶碗山盛りの白米は流石に胃袋に堪える。
和幸は自らキッチンまで足を運び、炊飯器に半分ほど白米を戻すとダイニングの方から「カズくん、細いんだから沢山食べなきゃだめだよ」と頬を膨らませた慎文に口を挟まれたが無視をして元の座席に座る。
「俺の朝はシリアル派なの。お前と一緒にするな」
何か言いたげな慎文を気にも留めず、和幸は「いただきます」と呟き味噌汁をすすると朝食に手を付けた。
暫くして向かいの奴も食事を始める。
ふと視線を感じて顔を上げると、慎文はニコニコしながら此方見てきていた。敢えて触れずにやり過ごそうかと思ったが、奴からの視線が落ち着かない。
耐えきれずに「さっきからなに?」と問うと「毎日カズくんとこうだったら幸せなのになーって思いながら眺めてた」とぶれない笑顔で返してきたので、いちいち気にしていた自分が馬鹿馬鹿しくなった。
こいつと毎朝のように食事をするなんて考えただけで身震いする。いつ奴に襲われるか分からないのを警戒しながら生活しなくてはいけないなんて気が休まらない。
奴が訪問してくることも自宅に泊まることも容認しているとはいえ、強引に物事を進めようとしてくるのは変わらないし、冷たく突き放そうとしたら目に見えて分かるほど悲しそうな表情を見せるので扱いに困り果てていた。
「お前、いつまでいるんだっけ?」
「二十五日まで。二十六日の朝に帰る」
今日が十八日なので約一週間。
今年のクリスマスは週末に大被りなので、土日が所定休日の和幸は奴と一緒に過ごすのは必然的。
敢えてなのか、去年もド平日にもかかわらずクリスマスに被せてきたので慎文の思惑があるのだろう。
去年は意地でも奴とクリスマスを過ごしたくなくて平日をいいことに終業時に迎えに来ていた慎文を振り切って社内の同期と飲み会に行った。
しかし、呑んでいても奴の振り切った瞬間の悲しそうな表情が和幸に罪悪感をもたらし、お詫びとしてケーキを買って帰ってきたのは記憶に新しい。
「そんなに家を空けてて大丈夫なのか?実家とはいえ長期で休めるもんでもないだろ」
一週間とは言わずに一日でも早く帰って欲しいところではある。皮肉を込め問うたつもりであったが慎文には伝わってないのか、あっけらかんとして首を左右に振った。
「ううん。兄に許可貰ってるから大丈夫だよ。それに今年は用事もあるから……」
「そう……。俺的にはさっさと帰って欲しいくらいだけどな」
慎文の用事が何なのか気にはなったが奴にも事情はあるだろうし、敢えて聞かずに悪態を吐く。
すると、わかり易く慎文は頬を膨らませてテーブルを両手拳で叩いてきたので、その衝撃に驚き体がビクリと跳ねた。
そんな和幸の反応を目にして、慎文が眉を下げて小さく「ごめん」と呟く。慎文から情けを貰って謝られるのも、年下相手に尻尾を撒いている姿も見せるのも年上の威厳がある。和幸は咳払いをして誤魔化した。
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