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chapter2
chapter2-2
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全ての始まりは和幸が高二で奴が中三の秋だった。学校終わり、いつものように制服の慎文が家に訪問してきたので部屋に招き、テレビゲームで遊んでいると慎文が急に改まって正座をしてきては、和幸の方に身体を向けてきた。
「カズくんって女の子と付き合ったことあるんだよね?」
膝をすり合わせながら、顔を赤らめて問うてくる。
「ああ、あるけど」
当然高校二年生ともなれば一人や二人、付き合ったこともあるし、それなりの経験も済んでいる。
年上の威厳で年下の慎文に見栄を張りたくて、和幸は鼻を高くしていた。一方でそれを聞いた慎文は「そうなんだあー」と赤面しながら頷いている。
「じゃあ、好きな人のキスってやっぱり気持ちいいの?」
「それは……柔らかいし、しているうちにこう興奮してくるっていうの?つーか何言わせてんだよ。さてはお前、好きな子でもできたのか?」
「う、うん」
慎文の問いに驚きはしたものの、両手を腿の上に置いて真剣な眼差しで問うてきたので、思わず余計なことまで話してしまった。
けれど、異性との性愛について興味を持ちだすのはごく自然のことなので咎める必要はない。
むしろ、あんなに弟のように可愛かった慎文が照れながら頷いてきた姿が微笑ましかった。
「カズくん……。キスの練習がしたい」
内腿に両手を挟めてどこか居心地が悪そうにしている。
「キスの練習がしたいって言ってもなあ。実践あるのみなんだよ。そういうときは好きな子でも相像しながらクッションで練習してみろ」
和幸はベッドにあったクッションを慎文に向かって投げ渡した。咄嗟に受けとった慎文だったかが、何か不満があるのか俯いてクッションを強く握ると首を左右に振った。
「カズくんがいい……」
「はぁ⁉」
慎文の発言に耳を疑う。
和幸で練習がしたいと言われた所で、自身が相手になることはできない。幾ら可愛がっている幼馴染だったとしても和幸にとって同性相手のキスは快く受けられるものじゃなかった。
きっと慎文は無知で純粋だから間違ったことを間違いだと気づいていないのかもしれない。
「何言ってんだよ。お前のファーストキスはその可愛い子のためにとっとけよ。初めてなんて失敗してなんぼなんだから。ほら、ゲームの続きやるぞ」
確かに初めてのキスで失敗したくない気持ちも分からなくもない。だけど、失敗してこそそれが経験なんだと教えてやるつもりで、和幸は慎文の頭に優しく手を置いて二回ほど優しく叩いた。
慎文の目の前にコントローラーを差し出したところで、急に肩を掴まれ、ぶちゅっと音が鳴りそうなくらい、強く唇に慎文の唇が押し当てられた。
「カズくんって女の子と付き合ったことあるんだよね?」
膝をすり合わせながら、顔を赤らめて問うてくる。
「ああ、あるけど」
当然高校二年生ともなれば一人や二人、付き合ったこともあるし、それなりの経験も済んでいる。
年上の威厳で年下の慎文に見栄を張りたくて、和幸は鼻を高くしていた。一方でそれを聞いた慎文は「そうなんだあー」と赤面しながら頷いている。
「じゃあ、好きな人のキスってやっぱり気持ちいいの?」
「それは……柔らかいし、しているうちにこう興奮してくるっていうの?つーか何言わせてんだよ。さてはお前、好きな子でもできたのか?」
「う、うん」
慎文の問いに驚きはしたものの、両手を腿の上に置いて真剣な眼差しで問うてきたので、思わず余計なことまで話してしまった。
けれど、異性との性愛について興味を持ちだすのはごく自然のことなので咎める必要はない。
むしろ、あんなに弟のように可愛かった慎文が照れながら頷いてきた姿が微笑ましかった。
「カズくん……。キスの練習がしたい」
内腿に両手を挟めてどこか居心地が悪そうにしている。
「キスの練習がしたいって言ってもなあ。実践あるのみなんだよ。そういうときは好きな子でも相像しながらクッションで練習してみろ」
和幸はベッドにあったクッションを慎文に向かって投げ渡した。咄嗟に受けとった慎文だったかが、何か不満があるのか俯いてクッションを強く握ると首を左右に振った。
「カズくんがいい……」
「はぁ⁉」
慎文の発言に耳を疑う。
和幸で練習がしたいと言われた所で、自身が相手になることはできない。幾ら可愛がっている幼馴染だったとしても和幸にとって同性相手のキスは快く受けられるものじゃなかった。
きっと慎文は無知で純粋だから間違ったことを間違いだと気づいていないのかもしれない。
「何言ってんだよ。お前のファーストキスはその可愛い子のためにとっとけよ。初めてなんて失敗してなんぼなんだから。ほら、ゲームの続きやるぞ」
確かに初めてのキスで失敗したくない気持ちも分からなくもない。だけど、失敗してこそそれが経験なんだと教えてやるつもりで、和幸は慎文の頭に優しく手を置いて二回ほど優しく叩いた。
慎文の目の前にコントローラーを差し出したところで、急に肩を掴まれ、ぶちゅっと音が鳴りそうなくらい、強く唇に慎文の唇が押し当てられた。
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