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先輩と律仁さん
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大樹先輩の好きな人を信じたい気持ちはよく分かった。誰しも裏の顔なんてない人はいないけど、自分には嘘偽りない姿でいると思いたいから。
今まで大樹先輩に対して抜かりのない完璧な人だと思っていただけに、先輩にもこんな一面があるのだと微かな親近さを覚えた。
そして、何時も先輩の言うことを適当に聞き流して、いい加減な律仁さんが大樹先輩を気にかける一面があるなんて意外と友達想いだという事。本当に仲のいい二人なんだ。
「渉太は律仁のことどう思ってるんだ?」
「どうって……」
「あいつは渉太のこと好きだと言ってるけど渉太はどうなんだ?」
先輩に問われて皮肉にも律仁さんとの思い出が走馬灯のように駆け巡る。
律仁さんの低くて優しい声、悪戯そうに俺を茶化しては笑う顔、俺が困った時は真剣な顔して助けてくれて、あの時見せた何処か淋しさを感じる表情。
テレビの中のずっと笑顔でクールな律よりも人間味を感じる表情の変化。律仁さんといると嬉しくて、ドキドキして……。
俺は律仁さんの事が好きなんだと思った。
だから、渉太の中では律仁さんが律であることの事実が何よりもショックだった。それをずっと隠されていたことも。
そして、そんなことは知らずとはいえ律仁さんに近づこうとしていた自分は彼女さんとやってることが同じじゃないだろうか……。
大樹先輩がじっと見ては自分の返答を待っている視線に萎縮しながらも、震える唇を動かした。
「びっくりはしたし、ショックではありました……。だけど、律仁さんには悪いですけど、俺にとって律仁さんはただの知り合い程度です。それ以上の感情とかないので……」
律仁さんを他人扱いするような発言に自分で言って悲しくなった。
だけど、一歩間違っても律を律仁さんを
「好き」だなんて言っちゃいけない。
少し気を抜いてしまったら涙が溢れてきそう
で渉太は俯いては口を一の字に固く結んだ。
「そっか……お前らを引き合わせた俺が言うのも心苦しいと思っていたんだけど……ならいいんだ」
心がギュッと握りつぶされそうなくらい痛くて、肩掛け鞄のストラップを両手で力強く握った。絶対「それ以上の情はないんだ」と大樹先輩にアピールするように深く何度も頷く度に心が何本もの針が刺さるみたいにチクチクと小さくも深い傷を負っていく。
今まで大樹先輩に対して抜かりのない完璧な人だと思っていただけに、先輩にもこんな一面があるのだと微かな親近さを覚えた。
そして、何時も先輩の言うことを適当に聞き流して、いい加減な律仁さんが大樹先輩を気にかける一面があるなんて意外と友達想いだという事。本当に仲のいい二人なんだ。
「渉太は律仁のことどう思ってるんだ?」
「どうって……」
「あいつは渉太のこと好きだと言ってるけど渉太はどうなんだ?」
先輩に問われて皮肉にも律仁さんとの思い出が走馬灯のように駆け巡る。
律仁さんの低くて優しい声、悪戯そうに俺を茶化しては笑う顔、俺が困った時は真剣な顔して助けてくれて、あの時見せた何処か淋しさを感じる表情。
テレビの中のずっと笑顔でクールな律よりも人間味を感じる表情の変化。律仁さんといると嬉しくて、ドキドキして……。
俺は律仁さんの事が好きなんだと思った。
だから、渉太の中では律仁さんが律であることの事実が何よりもショックだった。それをずっと隠されていたことも。
そして、そんなことは知らずとはいえ律仁さんに近づこうとしていた自分は彼女さんとやってることが同じじゃないだろうか……。
大樹先輩がじっと見ては自分の返答を待っている視線に萎縮しながらも、震える唇を動かした。
「びっくりはしたし、ショックではありました……。だけど、律仁さんには悪いですけど、俺にとって律仁さんはただの知り合い程度です。それ以上の感情とかないので……」
律仁さんを他人扱いするような発言に自分で言って悲しくなった。
だけど、一歩間違っても律を律仁さんを
「好き」だなんて言っちゃいけない。
少し気を抜いてしまったら涙が溢れてきそう
で渉太は俯いては口を一の字に固く結んだ。
「そっか……お前らを引き合わせた俺が言うのも心苦しいと思っていたんだけど……ならいいんだ」
心がギュッと握りつぶされそうなくらい痛くて、肩掛け鞄のストラップを両手で力強く握った。絶対「それ以上の情はないんだ」と大樹先輩にアピールするように深く何度も頷く度に心が何本もの針が刺さるみたいにチクチクと小さくも深い傷を負っていく。
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