憧れはすぐ側に

なめめ

文字の大きさ
上 下
70 / 243
律仁さんの本気

11-3

しおりを挟む
これじゃあ完全に公開処刑····。
目の前の本人に告白したあげくに、他の男に肩を抱かれてるなんて大樹先輩からしたら尻軽にもほどがある。

「な、何してるんですか。先輩これはっ違うんです」

せっかく変わらず接してくれている先輩に不愉快な思いをされたら·····と思うと慌てて目の前の大樹先輩に向けて否定をしてはジタバタと藻掻く。

「はははっ。渉太、気にしなくて大丈夫だ。律仁が渉太のことすげぇ気に入っての分かってるから」

大樹先輩が笑っているのをみて安心した自分がいた。
大樹先輩の器の大きさを目の当たりにしては、自分はどう思われるか気にして騒いでいたのが馬鹿みたいだ。

「てか、律仁、お前自分の車だろ。大丈夫なのか?」

先程笑っていた大樹先輩は、心配そうな表情をして、肩口にいる律仁さんに向かって話しかける。
律仁さんは仕事終わりに駆け付けてきたっぽいし、俺がいたら余計に気疲れするだろうか。
ここはちゃんと断った方がいいだろうか……。

「やっぱり俺……大……」
「問題はないよ。俺が渉太と二人きりになりたいだけだから」

渉太が断ろうとすると、それに被せるようにして律仁さんが割り込んできた。
離さないと言わんばかりに肩を掴む手に更に力が込められる。

この人の行動に安易に心を躍らされるわけにはいかないと思っていても身体の熱は上がる一方だった。
しかも堂々と大樹先輩の前で……。

「夜遅いし、気をつけろよ」

「だいじょーぶ、だいじょーぶ 。
大樹って、なんかお兄ちゃんみたいだよね。俺の方が年上なんだけど 」

「部長がナヨナヨしてるわけにはいかないだろ?」

「はは、それもそーか」

たかだか律仁さんと大樹先輩がやり取りをしているだけなのに、律仁さんが喋る度に響いてくる声が笑い声でかかる息がこそばゆい。

距離が近いんだよな·····。

大樹先輩は「本当に気をつけて帰れよ。渉太もまたサークルでな」と再度注意を促してきては、大きく手を振り、駐車場の方へと去っていった。

渉太は小さく手を振り、律仁さんも先輩が見えなくなるまで手を振っては、いつ離れてくれるんだろうとずっと考えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

キンモクセイは夏の記憶とともに

広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。 小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。 田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。 そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。 純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。 しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。 「俺になんてもったいない!」 素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。 性描写のある話は【※】をつけていきます。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている

香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。 異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。 途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。 「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

理香は俺のカノジョじゃねえ

中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。

処理中です...