憧れはすぐ側に

なめめ

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天体観測

8-1

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午前中、曇りがちで怪しかった空も日が経つにつれて夜には無数の星が見えるくらい晴天になっていた。

何時もより少し荷物が多い。目的地まで脚がない渉太は大樹先輩の車で見知らぬ部の何人かと一緒に連れて行ってもらった。
車内は運転している先輩以外は賑やかで
渉太にとって居心地はいいものではなかったが、何より助手席には先輩の彼女もいて渉太を余計に沈んだ気持ちにさせた。


あの場に居た彼女が、部外者も参加出来ると知って来ないわけないよな·····なんて思いながらも·····。

目的地に着いてしまえば自由の身。
車を降りて、自然の空気を思い切り吸い込んだら車内での沈んだ気持ちはマシになった。

目的地の高台の丘まで少し歩いては
渉太は到着するなり空を見上げていた。久しぶりに空を見た気がする。

片や合流した部の女子たちは夜空をそっちのけで彼女を連れた大樹先輩に群がっていた。
絵になるような美男美女。
大樹先輩の彼女ならこういうところに沢山連れて行ってもらえて一緒に空眺めたり出来るんだろうな·····と思っては羨ましくなってしまった。

気を抜けば余計なことを考えてしまい、純粋に楽しむことができなくなる。渉太はあまりあちらを見ないように意識しながらも夜空に気持ちを集中させていた。

すると、真横から光を当てられ、光の方を向くと眩しくて目を細めた。
目を細めると直ぐに懐中電灯は目線から外れ、光の残像でぼやけていた人物が徐々に現れる。

「渉太楽しい?」
「ええ、はい」
「反応薄っ」

自分の隣で話しかけてきたのは律仁さんで、片手に缶コーヒーを持ちながら微笑んできた。
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