133 / 242
決意の欠片
決意の欠片③
しおりを挟む
星杏の突然の問いかけに狼狽えた大樹は「意味というか·····何かの参考になるかと思ってさ·····」と彼女の躊躇いのない真っ直ぐな瞳に圧倒されながらも応える。
「·····先輩って勉強熱心ですけど、人の心って書物ではかれるほど単純なものじゃないですよね。まあ·····勿論参考にはなるかもしれないですけど」
確かに彼女の言う通り、藤咲が思っていることがこの本に書かれているわけもなく、彼にしか分からない。
「正直、私にはそういった恐怖を抱えている方の気持ちは分からないですけど、こちら側はどこまでが相手の許容範囲なのか、その先に進めるか後押しして克服できるように先導してあげるのが大事なんじゃないんですか?相手とよく向き合って信頼関係築いて支えてあげるものなんじゃないんですか?」
「分かってるんだ·····。だけど、俺自身が·····」
藤咲との信頼関係は恭子にも話した大樹自身がよく分かっていることだった。分かっているけど·····藤咲とこれ以上先へ進むのは漠然とした虞れがあった。
「好きなんですか?その子のこと」
直球に真意を突かれて、胸がドキリと鳴り
、急な脈の変化に視界が揺れそうになる。
サークルを離れてからあまり関わりのなかった彼女にここまで見破られるとは思わなかった。
「あ、え·····まあ、そうなんだ。でも、もしこの気持ちを知ったら多分、拒絶されると思うから、そんな不快な気持ちを与えてしまう俺が支えてやれる自信がないんだよ·····」
こめかみを人差し指で掻いては、彼女の視線に根負けしていると「先輩って意外とうじうじ悩むタイプなんですね」とこれまた槍で突いて来るような言葉を投げられる。
「·····先輩って勉強熱心ですけど、人の心って書物ではかれるほど単純なものじゃないですよね。まあ·····勿論参考にはなるかもしれないですけど」
確かに彼女の言う通り、藤咲が思っていることがこの本に書かれているわけもなく、彼にしか分からない。
「正直、私にはそういった恐怖を抱えている方の気持ちは分からないですけど、こちら側はどこまでが相手の許容範囲なのか、その先に進めるか後押しして克服できるように先導してあげるのが大事なんじゃないんですか?相手とよく向き合って信頼関係築いて支えてあげるものなんじゃないんですか?」
「分かってるんだ·····。だけど、俺自身が·····」
藤咲との信頼関係は恭子にも話した大樹自身がよく分かっていることだった。分かっているけど·····藤咲とこれ以上先へ進むのは漠然とした虞れがあった。
「好きなんですか?その子のこと」
直球に真意を突かれて、胸がドキリと鳴り
、急な脈の変化に視界が揺れそうになる。
サークルを離れてからあまり関わりのなかった彼女にここまで見破られるとは思わなかった。
「あ、え·····まあ、そうなんだ。でも、もしこの気持ちを知ったら多分、拒絶されると思うから、そんな不快な気持ちを与えてしまう俺が支えてやれる自信がないんだよ·····」
こめかみを人差し指で掻いては、彼女の視線に根負けしていると「先輩って意外とうじうじ悩むタイプなんですね」とこれまた槍で突いて来るような言葉を投げられる。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説




百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる