これが恋だとしても·····

なめめ

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それぞれの不安

それぞれの不安⑦

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天体観測に必要なもの一式は常時、車に積んであるのでそれなりに楽しめそうだとしても、自分の服装の防御力の低さを見て愕然とする。

そのまま連れてこられたから当然上下スウェットのまま。気持ち程度の羽織でダウンコートを着ているとはいえ、これで冬キャンプしようものなら完全に嘗めた服装だった。

「律仁.......頼みがあるんだけどいいか?」

「ん?」

「服屋に寄って欲しいんだが.......」

大樹がその言葉を発した途端に律仁から「悪い悪い、大樹寝起きだったもんな」と吹き出すように笑うと、渉太も大樹が部屋着であったことを思い出したのか、「探しときます」と慌てて服屋をスマホで検索し始めた。
待ち合わせ時間的に先に藤咲を迎えに行くことにして、横浜駅周辺で服屋を探すことになった。

渉太や律仁はまだいいが、正直藤咲にこの格好を見せるのは気恥しさはあった。しかし、全裸で迎えるわけにもいかず、潔く堂々と待機して藤咲が待っている駅前まで到着する。

案の定、駅でムスッとしながら待っていた藤咲が車に乗り込むなり、俺のことを目視しては鼻で笑われた。

藤咲が鼻で笑ったことをちゃんと聞いていた律仁に散々弄られたが、藤咲も藤咲でいつもの綺麗めな黒シャツ、パンツに黒ウールのトレンチとこれから過ごすであろう寒空に嘗めた服装をしていたので人の事が言えないよなーと内心で卑屈になった。

四人揃ったところで約束通りに服屋へと寄り道。全国展開されている有名人ブランドの大型店舗で機能性抜群にもかかわらず、値段がリーズナブルなところから、殆どの人が利用していると言っても過言ではない。無地や柄物がほとんどないシンプルデザインで大樹も愛用するほど着る人を選ばない服屋だ。

服を選んでいる途中で渉太と藤咲が、コートの中に着るダウンベストを勧めている姿が目に入る。

親友と服を買いに来たような仲睦まじい姿に微笑んで眺めていると隣の律仁は「尚弥くんが後数センチ渉太に近づいたら、俺、限界かもしれない」などと嫉妬心を滾らせては「渉太が友達と折角楽しそうなんだからいいんだ.......」と何度も呟き、良心と嫉妬心の狭間で戦いながら、自己暗示を掛けていたのに思わず腹を抱えて笑いたくなった。

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