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それぞれの不安
それぞれの不安③
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いちいち怒るほどの労力など持ち合わせておらず、大樹は律仁がソファへ促して来たのを無視をして深い溜息を吐くと、花束を手に取りキッチンへ向かう。
眠気覚ましに珈琲を淹れるために電気ケトルでお湯を沸かしながら、二人分のマグカップにインスタントの粉を注ぐ。お湯を待っている間に棚から花瓶を取り出して、律仁が持ってきた花束を生けることにした。
こういうもののセンスなど皆無だが、茎を花瓶との丁度いい高さまで切り落す。花の角度を変えながら美しく映えるように何度か試行錯誤しながら調節しては、ふとソファの律仁が気になり、目線を向けた。
同時に身を投げ出すように座り、背もたれに背中と頭を預けては此方を伺ってきていた律仁と目が合う。ただダラけて座っているだけなのに憎たらしいくらいに様になる姿は、日頃撮られている人間なだけあるなと見せていた。
「大樹ー。長居する気ないから単刀直入に言うわー.......車貸して」
「はあ?」
そんなに律仁の姿を目にして感慨にふけていると、思いも寄らぬ頼み事をされて、大樹は思わずを声を上げてしまった。
「なんでまた」
「渉太とさー、今からキャンプ行くんだよね」
キャンプと聞いて、そんなような話を年明け前に、渉太に持ちかけられたことを思い出した。勿論、大樹は藤咲も誘う予定だと聞いて断ったのだが.......。
冬の空は綺麗だから天体観測には最適なので、少し残念な気持ちもあったが、藤咲がいるいないに拘わらず、滅多にデートが出来ないであろう二人の邪魔をしたくないのも本心だった。
しかし、それに態々人の車を借りる必要性があるのかと疑問に思う。
「キャンプを行くのは構わないが、自分の車で行けばいいだろ。なんで態々俺の車使うんだよ」
「いやーそれがさ、昨日の帰りは吉澤さんの車で帰ってきたから自分の車、事務所なんだよねー」
「じゃあ取りに行けばいい話じゃないのか」
「荷物積まなきゃいけないから面倒くさいじゃん。大樹の車の方が物積めるし、なっ?」
拳を握り両頬に持ってきては本人とは違う系統のキラキラアイドルがするようなお強請り顔で頼み込んでくる。大樹はお湯を注いだマグカップを持ってはそんな律仁など気にも留めずに、冷めた目をして「ほれ、インスタントだけど」と律仁の前に差し出した。
大樹の差し出した珈琲を目視するとすぐ様お強請りぶりっ子顔をやめて「構わんよ」と御礼を言ってはカップを両手に抱えて口をつけた。
「で、貸してくんないの?アイドルのお強請り顔は早々見れないと思うんだけど」
強く要求されると拒否する理由はないにしても断りたくなるところだが、断ったところで律仁は余っ程の理由がない限り、そう簡単に引き下がることは無い。だから何を言ったところで無駄な抵抗に過ぎないのは分かりきっていた。
眠気覚ましに珈琲を淹れるために電気ケトルでお湯を沸かしながら、二人分のマグカップにインスタントの粉を注ぐ。お湯を待っている間に棚から花瓶を取り出して、律仁が持ってきた花束を生けることにした。
こういうもののセンスなど皆無だが、茎を花瓶との丁度いい高さまで切り落す。花の角度を変えながら美しく映えるように何度か試行錯誤しながら調節しては、ふとソファの律仁が気になり、目線を向けた。
同時に身を投げ出すように座り、背もたれに背中と頭を預けては此方を伺ってきていた律仁と目が合う。ただダラけて座っているだけなのに憎たらしいくらいに様になる姿は、日頃撮られている人間なだけあるなと見せていた。
「大樹ー。長居する気ないから単刀直入に言うわー.......車貸して」
「はあ?」
そんなに律仁の姿を目にして感慨にふけていると、思いも寄らぬ頼み事をされて、大樹は思わずを声を上げてしまった。
「なんでまた」
「渉太とさー、今からキャンプ行くんだよね」
キャンプと聞いて、そんなような話を年明け前に、渉太に持ちかけられたことを思い出した。勿論、大樹は藤咲も誘う予定だと聞いて断ったのだが.......。
冬の空は綺麗だから天体観測には最適なので、少し残念な気持ちもあったが、藤咲がいるいないに拘わらず、滅多にデートが出来ないであろう二人の邪魔をしたくないのも本心だった。
しかし、それに態々人の車を借りる必要性があるのかと疑問に思う。
「キャンプを行くのは構わないが、自分の車で行けばいいだろ。なんで態々俺の車使うんだよ」
「いやーそれがさ、昨日の帰りは吉澤さんの車で帰ってきたから自分の車、事務所なんだよねー」
「じゃあ取りに行けばいい話じゃないのか」
「荷物積まなきゃいけないから面倒くさいじゃん。大樹の車の方が物積めるし、なっ?」
拳を握り両頬に持ってきては本人とは違う系統のキラキラアイドルがするようなお強請り顔で頼み込んでくる。大樹はお湯を注いだマグカップを持ってはそんな律仁など気にも留めずに、冷めた目をして「ほれ、インスタントだけど」と律仁の前に差し出した。
大樹の差し出した珈琲を目視するとすぐ様お強請りぶりっ子顔をやめて「構わんよ」と御礼を言ってはカップを両手に抱えて口をつけた。
「で、貸してくんないの?アイドルのお強請り顔は早々見れないと思うんだけど」
強く要求されると拒否する理由はないにしても断りたくなるところだが、断ったところで律仁は余っ程の理由がない限り、そう簡単に引き下がることは無い。だから何を言ったところで無駄な抵抗に過ぎないのは分かりきっていた。
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