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また一から.........、絶たれた夢
また一から……、絶たれた夢②
しおりを挟む活動をしていた期間が夢だったのではないかと思うほど、ライブの余韻に浸る間もなく大樹は寮から出て行き、一週間後には事務所からソロ活動の話が持ち上がってきた。
三カ月後にアイドル『浅倉律』として活動を再開させると告げられ、一刻も早く活動に戻り、鈴奈に追いつきたかった律仁は素直に合意した。
ソロのデビュー曲も既に決まっていて、Star-Eyesで出す予定であった新曲を当てることになり、レコーディングや音源ジャケット写真撮影に追われる日々になった。
そうしてデビューを果たした律仁だが、最初こそは話題性もあり一時的に上がった人気も徐々に下降気味なり、遂には新しいアイドルグループの結成に全て持っていかれてしまった。
自分の人気を過信しすぎていたのかStar-Eyesの頃から応援してくれていたファンは間違いなく好きで居続けてくれると信じていただけに、鈴奈に早く追いつきたい焦りと落胆で律仁の精神的な余裕はなくなっていた。
皮肉にも仕事が二人の時よりも格段と減ったおかげで学業勤しむ時間が充分にあり、息抜きとして寄ったCDショップでも、自分のジャケットのCDが隅の方に追いやられているのを見て酷く落胆してしまう。
肩を落としながら渋谷の交差点を歩いていると、大きなビルのテレビジョンに鈴奈が映し出されていた。
果して自分は彼女の手の届く場所へ辿り着くことができるのだろうか。
そんなことを思っていた矢先に、白いニットを着た女性ニュースキャスターが映し出された。読み上げられた原稿と鈴奈の写真に目を瞠る。
『人気絶頂の歌姫、雪城レイナさんが一般男性と結婚を発表致しました』
歩いていた人々が足を止めて画面に釘付けになり、騒めきだす中、
律仁は呆然と画面を眺めながら突っ立っていた。周りの音が聴こえなくなる程、頭が真っ白になる。
鈴奈が結婚……?そんなはずない……。
夏に俺が鈴奈を迎えに行くと宣言したばかりじゃないか……。
そんなことはあっちゃいけない……。
律仁は我に返ると、交差点を歩く人混みを掻き分けて最寄りの駅まで走ると、事務所の方へと向かった。
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