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気持ちを揺るがす
気持ちを揺るがす⑦
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「申し訳ないけど、おっさん。プロデュサーかなんか知らないけど
鈴奈は俺と一緒にやるって決まってるんだ。だから帰ってくれない?」
律仁は一歩前に出て、男に言い放つ。上手い話には罠があると信じて疑わなかった律仁は目の前の男を微塵も信用していなかった。それに私情からではあるけども、鈴奈を奪い取られるような感覚がしてムカムカする。
律仁が牽制するつもりで男を睨み続けていると、相手は怖気ずくどころか眉を下げて呆れたように笑った。
「僕は鈴奈くんに話しをしているんだけどね。まぁいいよ。君の事務所、岡嶋さんの所だよね?また改めて訪問させてもらうよ。
そのとき返事を聞かせてくれればいい」
律仁のことなど目もくれず鈴奈に向かって男は話すと、颯爽と俺らに背を向けて行ってしまった。男が去っていく背中に「だから鈴奈はっ‼」と男に反論しようと試みたが鈴奈に「いいから、律仁」と腕を掴まれて止められてしまう。
先程までは怯えるように、自分の服の裾を掴んで来たくせに至って冷静な鈴奈が今何を考えているのか解かせない。
「鈴奈だってあの男、怪しいと思わないのか?それに、俺達二人でやっていくんだろ?」
「確かに、そうだけど。話聞いてみないと分からないじゃない。それにあの人、私たちが事務所に所属していること知ってた」
確かに悪徳な輩であれば、事務所所属のアーティストを狙って詐欺を働くような阿呆は居ないはずだが腑に落ちない。
「知ってたからってなんだよ……」
「事務所を通して話をしてくれるみたいだし、聞いてみるだけありじゃないと思っただけよ」
「俺とのことは?アイツ、鈴奈だけに興味あったじゃん」
鈴奈がデビューでいるのならば嬉しいに越したことはないが、律仁も律仁で鈴奈となら音楽の道を歩んでもいいと思えたので、あの男の手に乗ってしまうのは素直に喜べなかった。
鈴奈は俺と一緒にやるって決まってるんだ。だから帰ってくれない?」
律仁は一歩前に出て、男に言い放つ。上手い話には罠があると信じて疑わなかった律仁は目の前の男を微塵も信用していなかった。それに私情からではあるけども、鈴奈を奪い取られるような感覚がしてムカムカする。
律仁が牽制するつもりで男を睨み続けていると、相手は怖気ずくどころか眉を下げて呆れたように笑った。
「僕は鈴奈くんに話しをしているんだけどね。まぁいいよ。君の事務所、岡嶋さんの所だよね?また改めて訪問させてもらうよ。
そのとき返事を聞かせてくれればいい」
律仁のことなど目もくれず鈴奈に向かって男は話すと、颯爽と俺らに背を向けて行ってしまった。男が去っていく背中に「だから鈴奈はっ‼」と男に反論しようと試みたが鈴奈に「いいから、律仁」と腕を掴まれて止められてしまう。
先程までは怯えるように、自分の服の裾を掴んで来たくせに至って冷静な鈴奈が今何を考えているのか解かせない。
「鈴奈だってあの男、怪しいと思わないのか?それに、俺達二人でやっていくんだろ?」
「確かに、そうだけど。話聞いてみないと分からないじゃない。それにあの人、私たちが事務所に所属していること知ってた」
確かに悪徳な輩であれば、事務所所属のアーティストを狙って詐欺を働くような阿呆は居ないはずだが腑に落ちない。
「知ってたからってなんだよ……」
「事務所を通して話をしてくれるみたいだし、聞いてみるだけありじゃないと思っただけよ」
「俺とのことは?アイツ、鈴奈だけに興味あったじゃん」
鈴奈がデビューでいるのならば嬉しいに越したことはないが、律仁も律仁で鈴奈となら音楽の道を歩んでもいいと思えたので、あの男の手に乗ってしまうのは素直に喜べなかった。
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