1 / 3
僕は見ててもいい?
しおりを挟む僕は、外の世界を知らない。真っ暗で、狭い場所にいる。もう長いこと、閉じ込められている。
僕は自分がどんな容姿をしているのか、知らない。きっと知ることはできない。
──だって、僕はずっと灯りもないこの場所に引きこもっているから。
キミは、どんな性格なんだろう。
僕の家はどんな色なんだろう。
それを知る時はくるだろうか。
僕はまだ、世の中というものを知らない。だから、人は僕のことを『世間知らず』と言う。けれど、それでもいいんだ。僕はキミのそばにいられたら、それでもいいんだ。
「最近太った?」
誰かが言った。僕に? わからない。
僕はもともと太っているから、最近太ったわけではないと思う。
そんな、考えても仕方のないことを考える時間が、僕にはたくさんある。僕はずっと家に閉じ込められているから、時間はたくさんある。
「外に出たいと思わないの?」
誰かが言った。僕に? わからない。
僕は、外に出たいと思ったことがないと言ったら嘘になる。けれど、それは半分本当で、半分嘘だ。
外の世界は気になるけれど、今の僕にはまだ早い。
考えても仕方のないことを考えていたら、キミが帰ってきた音がした。僕は真っ暗闇で生活しているから景色を見ることができないけれど、その分、耳はいい。
──ガチャ。
「おはよう! 今日もお出かけ? 僕も連れてってくれる?」
キミは何も言わずに微笑んでくれた。キミはクールビューティーだから、僕の方を見て笑ったり、ぶりっ子したりすることがない。キミがこっちを見てくれなくても、僕は見ててもいいでしょ?
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ジュラシック村
桜小径
SF
ある日、へんな音が村に響いた。
ズシン、ズシン。
巨大なものが村の中を徘徊しているような感じだ。
悲鳴もあちこちから聞こえる。
何が起こった?
引きこもりの私は珍しく部屋の外の様子がとても気になりはじめた。
Galaxy Day's
兄
SF
考えることができ、心を持ち、言語を解す
存在・知的生命体は長らく地球にしか
いない と思われていた。しかしながら
我々があずかり知らぬだけで、どこかに
異星出身の知的生命体は存在する。
その中で!最も邪悪で、最も残忍で、最も
面白い(かどうかは極めて怪しい)一家がいた!
その名も『コズモル家』。両親はおろか、子供達まで
破壊や殺戮に手を染めている、脅威の全員『悪』!
家族揃って宇宙をブラブラ渡り歩きながら、悪の組織
をやっていたり!自分達以上にどーしよーもない悪と
戦ったり、たま〜に悪らしからぬいいことをしたり!
宇宙を舞台とした、少し不思議なSFと家族愛、
そして悪vs悪の鬩ぎ合いを中心に、美少女あり、
イケメンあり、人妻あり、幼女あり、イケオジあり、
ギャグあり、カオスあり、恋愛あり、バトルあり、
怪獣あり、メカもあり、巨大ロボットまであり!?
今世紀史上なんでもありなダークヒーロー一家、
ここに誕生!窮屈なこの世の中を全力で破壊…
してくれると信じていいのか!?
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. )
あおっち
SF
敵の帝国、AXISがいよいよ日本へ攻めて来たのだ。その島嶼攻撃、すなわち敵の第1次目標は対馬だった。
この序章2/7は主人公、椎葉きよしの少年時代の物語です。女子高校の修学旅行中にAXIS兵士に襲われる女子高生達。かろうじて逃げ出した少女が1人。そこで出会った少年、椎葉きよしと布村愛子、そして少女達との出会い。
パンダ隊長と少女達に名付けられたきよしの活躍はいかに!少女達の運命は!
ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。そして、初めての恋人ジェシカ。札幌、定山渓温泉に集まった対馬島嶼防衛戦で関係を持った家族との絆のストーリー。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる