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悲しまずに済む方法
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ユウトくんは新しい幼稚園でもなかなか自分からお友達を作ることができませんでしたが、先生の協力もあって、ゆっくり打ち解けてきました。幼稚園のみんなも、新しく来たお友達に興味津々で、みんなユウトくんと仲良くしてくれました。
「お母さん! 今日ね、ケンタくんとヨウヘイくんがブロックでロボットを作ってたから、一緒に遊んだんだよ!」
ユウトくんは、今日あった出来事をお母さんに話すくらい、新しいお友達と仲良く遊んでいるようでした。お母さんも一安心です。
ある日ユウトくんが持って帰ってきた画用紙。そこにはたくさんの子供達の絵が描かれていました。
「今日はお絵かきしたの? 誰の絵かな?」
「前の幼稚園のお友達みんなの絵だよ!」
その日のお絵かきのテーマは、『ぼくの・わたしのすきなもの』でした。お父さんやお母さんの顔を描いている子もいれば、犬や猫を描いている子もいます。消防車やパトカーを描いている子も、お人形を描いている子もいました。
そんな中で、ユウトくんが『すきなもの』として選んだのは、前の幼稚園のお友達だったのです。
──やっぱりユウトにとって、お別れは悲しかったんじゃないかしら。
お母さんはそっと、ユウトくんの気持ちに想いを寄せながら、気持ちよさそうに眠るユウトくんの頭をなでました。
「ユミ、ちょっといいか」
その時、お父さんがお母さんを呼びました。なんだかとても、嫌な予感がしました。
「また転勤が決まった。来年の春だ。ユウトには申し訳ないが、拒否はできないんだ」
お父さんの仕事の都合で、また引っ越しをしなければならないというのです。ユウトくんは新しい幼稚園でやっとみんなと遊べるようになって、毎日の出来事もお母さんに話してくれるようになって、『ぼくのすきなもの』というお絵かきでは前の幼稚園のお友達を描いて、楽しそうに過ごしていたのに。
「そう……ですか……。仕方ないですよ。お父さんが悪いわけじゃないんですから。ユウトには私から話しておきます」
お父さんはいつも帰りが遅く、ユウトくんとゆっくり話す時間が持てませんでした。だからいつもお母さんがユウトくんに伝える役目です。
次の日、お母さんはユウトくんに引っ越しのことを話しました。
「またみんなとお別れ……?」
ユウトくんは悲しそうな顔をしましたが、仕方がないのよ、と言うしかありません。
「……わかった……」
「ごめんねユウト。でもお父さん、ユウトやお母さんのために頑張ってお仕事してるの。お父さんが悪いわけじゃないのよ」
「うん……」
ユウトくんは、お父さんが頑張っているということもちゃんと理解していました。けれど、本当はもうお別れなんてしたくありません。どうしたらこんなに悲しい気持ちにならなくて済むのか、考えました。
春、ユウトくんは知らないお友達がたくさんいる小学校へ入学しました。小学校は幼稚園と違って、遊びだけじゃなく勉強もします。班の活動や掃除当番も始まり、ユウトくんにとってお友達を作りやすい環境になってきました。
けれど、お父さんの仕事は変わっておらず、ユウトくんはその学校で2年生を迎えることができなくなりました。
また、引っ越しです。
ユウトくんは毎年引っ越しをすることになりました。お友達との別れをたくさん経験して、ユウトくんの中で悲しまずに済む方法がわかりました。
──ぼく、もうお友達いらない。
「お母さん! 今日ね、ケンタくんとヨウヘイくんがブロックでロボットを作ってたから、一緒に遊んだんだよ!」
ユウトくんは、今日あった出来事をお母さんに話すくらい、新しいお友達と仲良く遊んでいるようでした。お母さんも一安心です。
ある日ユウトくんが持って帰ってきた画用紙。そこにはたくさんの子供達の絵が描かれていました。
「今日はお絵かきしたの? 誰の絵かな?」
「前の幼稚園のお友達みんなの絵だよ!」
その日のお絵かきのテーマは、『ぼくの・わたしのすきなもの』でした。お父さんやお母さんの顔を描いている子もいれば、犬や猫を描いている子もいます。消防車やパトカーを描いている子も、お人形を描いている子もいました。
そんな中で、ユウトくんが『すきなもの』として選んだのは、前の幼稚園のお友達だったのです。
──やっぱりユウトにとって、お別れは悲しかったんじゃないかしら。
お母さんはそっと、ユウトくんの気持ちに想いを寄せながら、気持ちよさそうに眠るユウトくんの頭をなでました。
「ユミ、ちょっといいか」
その時、お父さんがお母さんを呼びました。なんだかとても、嫌な予感がしました。
「また転勤が決まった。来年の春だ。ユウトには申し訳ないが、拒否はできないんだ」
お父さんの仕事の都合で、また引っ越しをしなければならないというのです。ユウトくんは新しい幼稚園でやっとみんなと遊べるようになって、毎日の出来事もお母さんに話してくれるようになって、『ぼくのすきなもの』というお絵かきでは前の幼稚園のお友達を描いて、楽しそうに過ごしていたのに。
「そう……ですか……。仕方ないですよ。お父さんが悪いわけじゃないんですから。ユウトには私から話しておきます」
お父さんはいつも帰りが遅く、ユウトくんとゆっくり話す時間が持てませんでした。だからいつもお母さんがユウトくんに伝える役目です。
次の日、お母さんはユウトくんに引っ越しのことを話しました。
「またみんなとお別れ……?」
ユウトくんは悲しそうな顔をしましたが、仕方がないのよ、と言うしかありません。
「……わかった……」
「ごめんねユウト。でもお父さん、ユウトやお母さんのために頑張ってお仕事してるの。お父さんが悪いわけじゃないのよ」
「うん……」
ユウトくんは、お父さんが頑張っているということもちゃんと理解していました。けれど、本当はもうお別れなんてしたくありません。どうしたらこんなに悲しい気持ちにならなくて済むのか、考えました。
春、ユウトくんは知らないお友達がたくさんいる小学校へ入学しました。小学校は幼稚園と違って、遊びだけじゃなく勉強もします。班の活動や掃除当番も始まり、ユウトくんにとってお友達を作りやすい環境になってきました。
けれど、お父さんの仕事は変わっておらず、ユウトくんはその学校で2年生を迎えることができなくなりました。
また、引っ越しです。
ユウトくんは毎年引っ越しをすることになりました。お友達との別れをたくさん経験して、ユウトくんの中で悲しまずに済む方法がわかりました。
──ぼく、もうお友達いらない。
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