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これは告白?
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真亜子のアピールは成功し、透悟と真亜子は徐々に仲良くなっていった。
会社の飲み会でも仲良く話し、そのうち2人だけでも食事に行くようになった。
「真亜子ちゃん、最近ホント、仕事頑張ってるよね」
ジョッキのビールを片手に透悟が言う。
「飯塚さんのおかげです。いろいろ丁寧に教えてくれたので」
真亜子のこの言葉には、二つの意味が込められていた。
『透悟が丁寧に教えてくれたから仕事を覚えた』という意味と、もう一つは『透悟がいるから頑張れる』という意味だ。
恋する女性は、相手がその場所にいるだけで、なぜかわからないけれど可愛くなるし、仕事も頑張れる。
真亜子の会社は中途採用も採っていたので、新人が入るのは春に限られたことではなかった。
その度に真亜子はハラハラし、新入社員が女性であれば本当に気が気じゃなかった。
透悟の面倒見の良さは社内でもダントツだ。
女性の先輩よりも遥かに後輩の面倒を見るし、教え方もいいのでほぼ新人教育を任されていると言っても過言ではない。
「今日入った新人さん、今いろんなCMに出てる女優さんに似てますよね」
真亜子が何気なくリサーチをする。
透悟が新人のことをどう思っているのか。
答えを聞くのは怖かったが、聞いておかなければ痛い目を見ると思った。
「あ~、確かに! 似てるかも!」
「活発な感じがして、私ショートカットの女の子って好きなんです」
真亜子がトラップを仕掛ける。
ショートカットの女の子が好きというのは嘘ではなかった。でも、絶対に自分には似合わないので真亜子はずっと黒髪ロングを維持している。
「そう?」
透悟の答えはこれだった。
「まぁ、ショートも可愛いけど、俺は彼女にするならロングがいいな」
「また、私が目の前にいるからって。遠慮しなくていいんですよ」
「いや、ホントに。俺、黒髪ロングの真亜子ちゃん、好きだよ」
これはきっと、告白……ではない。
ここは居酒屋だ。
真亜子は瞬時にそう受け取った。
透悟はこんなところで告白するような人ではない。
「ありがとうございます。私、ショート似合わないんですよ。だからずっとロングです」
「すごい綺麗だよね、髪。特別なケアしてたりする?」
「してないですよ」
ほらね、やっぱり。
これは告白ではない。
会社の飲み会でも仲良く話し、そのうち2人だけでも食事に行くようになった。
「真亜子ちゃん、最近ホント、仕事頑張ってるよね」
ジョッキのビールを片手に透悟が言う。
「飯塚さんのおかげです。いろいろ丁寧に教えてくれたので」
真亜子のこの言葉には、二つの意味が込められていた。
『透悟が丁寧に教えてくれたから仕事を覚えた』という意味と、もう一つは『透悟がいるから頑張れる』という意味だ。
恋する女性は、相手がその場所にいるだけで、なぜかわからないけれど可愛くなるし、仕事も頑張れる。
真亜子の会社は中途採用も採っていたので、新人が入るのは春に限られたことではなかった。
その度に真亜子はハラハラし、新入社員が女性であれば本当に気が気じゃなかった。
透悟の面倒見の良さは社内でもダントツだ。
女性の先輩よりも遥かに後輩の面倒を見るし、教え方もいいのでほぼ新人教育を任されていると言っても過言ではない。
「今日入った新人さん、今いろんなCMに出てる女優さんに似てますよね」
真亜子が何気なくリサーチをする。
透悟が新人のことをどう思っているのか。
答えを聞くのは怖かったが、聞いておかなければ痛い目を見ると思った。
「あ~、確かに! 似てるかも!」
「活発な感じがして、私ショートカットの女の子って好きなんです」
真亜子がトラップを仕掛ける。
ショートカットの女の子が好きというのは嘘ではなかった。でも、絶対に自分には似合わないので真亜子はずっと黒髪ロングを維持している。
「そう?」
透悟の答えはこれだった。
「まぁ、ショートも可愛いけど、俺は彼女にするならロングがいいな」
「また、私が目の前にいるからって。遠慮しなくていいんですよ」
「いや、ホントに。俺、黒髪ロングの真亜子ちゃん、好きだよ」
これはきっと、告白……ではない。
ここは居酒屋だ。
真亜子は瞬時にそう受け取った。
透悟はこんなところで告白するような人ではない。
「ありがとうございます。私、ショート似合わないんですよ。だからずっとロングです」
「すごい綺麗だよね、髪。特別なケアしてたりする?」
「してないですよ」
ほらね、やっぱり。
これは告白ではない。
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