【エッセイ】あなたはもう、付喪神に愛されてしまうのですか?

幻中六花

文字の大きさ
上 下
3 / 6

付喪神には2種類いるらしい

しおりを挟む

 レッドドラゴンを倒した私達は宿に到着した。

 宿に到着してから、先輩を降ろした。

 紅茶を淹れ、少し休憩することにした。

 「先輩は王城の方に帰りますか?」

 「僕は魔物研究者に戻るつもりはないから、後輩君とエーカ君と一緒に住むつもりだが?」

 先輩は当然なような表情を浮べていた。

 「せ、先輩。それは色々と問題が起きる可能性が」

 「後輩君。君は危機的な僕を助けたのだ。なら、最後まで責任取るのは必然のことだ」

 先輩は右手の人差し指の頬に置いた。

 「それに、後輩君なら何も問題起きないのだろ?」

 「そ、それは確かにそうですが」

 私はエーカの方を向いた。

 「エ、エーカは大丈夫か?」

 「ん。ライバルだから、勝負は平等に」

 「ライバル?勝負?どういうこと?」

 「主には後で分かることだから。大丈夫」

 「そうだぞ、後輩君。それに、乙女の秘密を探るのは駄目だぞ」

 「た、確かにそうですね」

 こ、これは諦めるしか無いのか。

 「分かりました、先輩。明日、新しい宿を、いや、家を借りましょう。宿よりも借り家の方が何かと都合がいいでしょう」

 「それはいい考えだ。流石、後輩君だ。今日はここで休むことにしよう」

 先輩の服はエーカが貸した。

 先輩とエーカの体格が同じくらいだったので、特に問題は無かった。

 夕食を食べ、風呂に入り、夜まで過ごした。

 先輩はエーカと一緒のベッドで寝てもらった。

 流石に、一緒のベッドは不味いからな。

 朝になったら、朝食を食べてから、私は街に出た。

 直ぐに不動産屋に向かい、良さそうな借り家を探した。

 少し高めだったが、風呂もついていて、庭もついている物件を見つけた。

 ここに決めた。

 契約金を払い、鍵を受け取ってから、宿に帰った。

 そして、宿に鍵を返し、エーカと先輩と一緒に借りた家に向かった。

 その家に荷物を置いてから、先輩に必要な物や生活に必要な物を購入するために街に出た。

 買い出しの途中で1つのことが気になった。

 「そう言えば、先輩は実家に報告は入れなくてもいいのですか?」

 「入れなくても大丈夫の筈。サーワリ侯爵家から荷物が無くなって清々していることだろうし」

 「そうですか」

 「後輩君。そんな悲しそうな表情を浮かべないでくれ。僕は王立学園で君に出会えてから、良かったと思っているよ。毎日が楽しくなったから」

 先輩は微笑んだ。

 私はその微笑みに少し見惚れてしまった。

 少しの間だけ、先輩の顔をまともに見れなかった。

 全ての買い出しが終わったら、家に帰った。

 荷物に片付けたら、夕食作りを始めた。

 驚いたことに先輩は料理が出来るのだ。

 「僕だって、研究ばかりではないだよ。料理ぐらい出来る」

 エーカはそんな先輩に負けたという表情を浮べていた。

 エーカは魔物だから、出来なくて普通だから気にする必要が無いのに、負けたなんて表情を浮べているんだ?

 その後は私と先輩から協力して作った夕食を食べ、順番に風呂に入り、時間になったら自室に戻り眠りについた。

 この日から私達の新たな生活が始まった。

 私は魔物の倒し、その素材を売却し、エーカは歌姫として歌い、金を稼いでいる。

 先輩は家で研究をしている。

 研究に必要な魔物の素材は私が集め、研究に必要な本はエーカが購入することになっている。

 家事は交代制だ。

 私、いや、私達は楽しい日常を過ごしている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

Webコンテンツ大賞の戦い方【模索してみよう!】

橘花やよい
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスのWebコンテンツ大賞。 読者投票もあるし、うまく戦いたいですよね。 ●応募作、いつから投稿をはじめましょう? ●そもそもどうやったら、読んでもらえるかな? ●参加時の心得は? といったことを、ゆるふわっと書きます。皆さまも、ゆるふわっと読んでくださいませ。 30日と31日にかけて公開します。

悪夢なら覚めれば良いのに

野良猫
エッセイ・ノンフィクション
これはとある人物のこれまでの人生 覚めることの無い悪夢である。 ※憂鬱な内容も含みますので、読み進める途中で気分を害する可能性がありますので、自己責任でお願い致します。 尚、誹謗中傷は受け付けておりませんので悪しからず。

子宮筋腫と診断されまして。《12/23 完結》

アーエル
エッセイ・ノンフィクション
徐々に悪くなる体調 気付いたら大変なことに!? 貴方ならどうしますか? ハッピーエンドで終われるといいですねー。 ❄12月23日完結しました 閲覧ありがとうございました ☆ここに出てくる病院は実在します。 病院名と個人名は伏せていますが、すべて実際に現在進行形で起きていることです。 (だから「ノンフィクション」のジャンルです) 特定するのはご自由ですが、言い回るのはおやめください。 問い合わせもお断りします。

私はノソフィリア、そしてエメトフォビア!?

エッセイ・ノンフィクション
ノソフィリアとエメトフォビア 正反対なのに、 組合わさる事ってあるの!?

ホントにあった喜怒哀楽な話。信じても信じなくてもいいですよ。

成瀬りん
エッセイ・ノンフィクション
実体験のショートショートの集合体です。 日常生活の「あるある」やテレビやニュースで見る「ウソでしょ?」なこと 思うまま感じて読んでみて下さい。 気まぐれにランダムに喜・怒・哀・楽に投稿します。

ホッとコーヒー ~偶然見つけたカフェのひととき~

緒方宗谷
エッセイ・ノンフィクション
美味しいコーヒーのお話。 たまに更新します。 店名や場所は特定しないので、お散歩がてら探してみてください。 タイトルにある地名は、最寄駅です。

【2024】イラスト帳★創作日記

双葉
エッセイ・ノンフィクション
いつか「双葉の絵柄が好き」と言ってくれる方に巡り合うことができたなら――そんな夢を見つつ、マイペースで更新していきます♪ ◆◆本作のイラストは全てAI学習禁止です◆◆ ※2022年~2024年の作品まとめ ※四コマ漫画風の小ネタあり ※絵は全て【アイビスペイント】で描いております(各イラストの背景・フレームなどにアイビスペイント内の素材を使用) ※別サイトで連載の【息抜きにブログやってみる。】と重複する内容を含みます。

処理中です...