【エッセイ】あなたはもう、付喪神に愛されてしまうのですか?

幻中六花

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大切に使っていた茶碗が割れた

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 新しい食器に全入れ替えしてからは、ご飯を作ることが楽しくなった。
 炊飯器も土鍋に替え、お米を炊くこと自体が調理になった気さえした。

 使っているお米は特別高いものではなく、その辺のスーパーで買えるものだ。
 土鍋で炊くことによって、『お米が立つ』ご飯が食べられることに感動した。

 お米だけで食べても甘い。

 ──この感動を与えてくれた茶碗が、割れてしまった。

 食器を洗っていた主人の方から大きな音がした。
 その音は、茶碗と同じお店で購入した、分厚い角皿を落とした音だったらしい。
 
 その角皿はとても丈夫なので、「割れなかった……」と安堵していたら、ポロリと茶碗の欠片が……。

 よく見ると、欠片を生んだ私用の茶碗の下にあった、少し大きめの主人用の茶碗も欠けている。

 最初は自分の茶碗が欠けただけだと思っていた主人は、私に内緒でそのまま使おうと思っていたというから、それに引いてしまった。

 そのまま使われていたら、私はそれに気づかずに茶碗を洗っていて怪我をする恐れもあったということだ。
 そうなってから、主人は本当のことを言おうとしていたということ。
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