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休日が終わり、学校が始まる。卒業を控えた俺たちは、もう出席する必要もないのだが、家にいても特にすることがないので、ついつい登校してしまうのだ。とはいえ、ユギラ大学校への入学が決まり、生活をユギラへ移すことになってからは色々とその準備に追われて、登校する回数が減っているのは確かなことだった。
廊下を歩く俺には、突き刺さるような視線がいくつもあった。俺を見て、こそこそと話し、人によっては睨んでくる。針のむしろに立たされたような苦しさがあった。
「ラーフの誕生日会で騒動があったらしい」
「あいつがその元凶なんだってな」
「どうしてラーフはあんな子を気にするの?」
「男のくせに媚びを売って、気持ち悪い」
聞きたくないのに聞こえてくる声たち。それらは、ラーフの誕生日会のことについて語っていた。どうやら、俺がドジをして転んで誕生日会がめちゃくちゃになった、というような形で話が流布しているようだった。
「……媚びを売る……か」
外からはそう見えているらしい。俺はラーフに媚びているのだろうか。悲しくなってついつい俯いてしまった。ラーフは、周囲のことなんて気にするなというが、どうしても俺は気になってしまう。ラーフのように、常に自信を持って堂々となんて出来ないのだ。
「セナ、大丈夫かい?」
ぽん、と肩を叩く手があった。振り返れば、見慣れた姿が。思わず足を止める。
「……教授」
「随分と悲しい背中だね」
「色々と……あって」
「まぁ、学校中がラーフの誕生日会での出来事でもちきりだからね。嫌でも状況を把握出来たよ。ことの真相も、ある程度推測が出来る」
言葉で説明しなくても、誕生日会で何があったのかを教授は理解していた。俺がドジをしたわけではなく、悪質ないやがらせで俺が転倒したということも、それにラーフが激怒して誕生日会が中止になったことも。
「大変だったみたいだね」
教授の手が俺の頭を撫でる。優しい手だ。けれど、幼子にするような手つきで俺は恥ずかしくなる。教授はよくこんな風に俺を撫でるけれど、俺がもう二十歳になる大人だと分かっているのだろうか。
「俺は……別に良いんです。何を言われても。でも……ラーフに色々と迷惑がかかっちゃったなって思って」
「おそらくだけれど、ラーフは迷惑なんて思っていないと思うよ」
「そうでしょうか」
ラーフの言葉を聞いて、行動を見て、ラーフが迷惑なんて思っていないということは何となく理解している。けれど、ラーフの周囲の人はどうだろう。シェイナ侯爵様は、どのように思っているだろうか。従者のロキは。ラーフに関わる人たちの迷惑になれば、それは自ずとラーフに迷惑をかけたということになると、俺はそう思ってしまうのだ。
「そんな悲しい顔をしないで。君だって、ラーフを憎からず思っているんだろう?」
「……そう、ですね」
憎からず思っている、なんてものではない。もうその範疇を超えてしまっている。俺は、ラーフを強く想っているのだ。あとは、その感情に名前をつけるだけ。その覚悟がまだ定まっていない。
「フィルリア家のことは、もう良いんです。父はもう家を存続させる気はないみたいで……俺もそれに従うつもりです。フィルリア家は俺の代で終わりです。……でも、シェイナ家は違う。これからも栄えていく家なのに、俺とのことは醜聞にしかならない」
大貴族で、今もなおその勢いの衰えないシェイナ家に男が嫁入りするなど、ゴシップ雑誌の格好の餌になってしまう。騒ぎ立てられ、それは他のシェイナ家の方々のご迷惑になると思うのだ。ラーフのお姉さんや妹さんなど、嫁いでいる人にも悪い影響が及ぶかもしれない。
「実際、どう思いますか。シェイナ家の次期当主と、フィルリア家の次期当主が同性婚をしたら……醜聞になると思いませんか?」
「醜聞とまでは言わないよ。ただ、貴族で同性同士というのは珍しいな、と思うかな」
「……それだけですか?」
「私は恋愛自由主義だからね、同性だろうと異性だろうと、構わないと思ってるよ。セナが幸せなら、私はそれでいいと思う。……ただ、そう思えない人も一定数いるだろうね」
教授の言葉は的を得ている。許容してくれる者もいるだろう。無関心な者たちもいるはずだ。だが一部は嘲笑したり侮蔑したりと騒いでくる。その事態にラーフを巻き込む覚悟が、俺にあるのだろうか。
「彼はどうしていつも、君の場所が分かるんだろうね」
教授がそんなことを言うので、何かと思えば俺たちの視線の先からラーフが勇み足で近づいてくるのが見えた。どうして俺の場所が分かるのか、というのは俺も昨日問い詰めた話題だった。観念したラーフが白状したのだ。
「なんか、匂いで分かるそうです」
「それはそれは。番犬のようだな」
番犬に噛まれる前に退散するよ、といって教授が去って行った。丁度、教授と入れ違いになる形でラーフが到着する。
「セナ、あいつと二人きりにならないで」
「二人きりっていうほど二人きりでもないと思うけど」
ここは廊下で、往来は少ないがそれでも人はいる。密室でまったくの二人、という訳ではないのだから、この程度では二人きり認定は下りないと思うのだ。だが、ラーフが嫌そうな顔をするのでその気持ちをぐっと抑え込む。
「これからは気を付けるよ」
ラーフは俺のことを愛していると言ってくれた。であるならば、俺が他人といるのは気に食わないのだろう。その気持ちは理解する。俺だって、ラーフが誰かと二人きりでいたらあまり気持ちが良くない。
「今日はたくさん不愉快な声を聞いたと思う。……黙らせることも出来るよ」
誕生日会のことを盛んに話し合う雑音を差していた。ラーフの表情は、こんな顔も出来るのか、と思うほどに怜悧で視線だけで人を殺してしまえそうだった。そんなおもてに驚きつつ、俺は首を左右に振る。
「いいよ。周りのことは気にしない方がいいんだろ」
「まぁ……そうだけど」
「もうすぐで卒業だし、穏便にいきたい」
「セナがそう言うなら、セナに従うよ」
気にしないように、俺も努める。周りを気にしてばかりいたら、身動きが取れなくなってしまうのだ。ラーフとの未来を望むなら、俺も強くならなければならない。たとえ、少しずつだとしても。
「そういえば、今日って少しロキと話せるかな」
「……なんでロキ?」
ラーフの眉が不愉快そうに歪んだ。ラーフは思っていることがすぐ顔に出るので、とても分かり易い。だが、俺はそんなラーフの顔色を無視して言葉を続ける。
「スマホが、雨で駄目になっちゃったみたいなんだ。せっかくもらったのものだったのに……そのことでロキに謝りたいんだ」
「俺から伝えておくよ」
「こういうのは自分から言わなくちゃ、だろ」
「俺はロキの主人なんだから、ロキに言うっていうのは俺に言うってことと同義だと思わない?」
そんな風に畳みかけられると、そうなのかも、と思ってしまうから不思議だ。それがラーフの狙いだと分かっているのに、ラーフの話術に翻弄されて頷いてしまった。
「スマホ、新しいものを贈るよ」
「え、いいよ。また壊したら嫌だし」
「そうそう壊れないから大丈夫だよ。それに、俺たちの新生活には必要だろ?」
科学によってつくられたものは怖い。簡単に壊れてしまう。家には、百年単位で使っている魔法道具がいくつもあるが、未だに現役だ。水に濡れたって別に壊れはしない。
魔法と、魔力を動力として動く魔法道具は俺にとってとても便利なものだが、それらのみで満足しない魔法使いたちも増えてきている。ラーフたちのようにスマホを活用する者もとても多い。テレビや電話などがなくても、本や手紙があれば十分だと思うのだが、どうやら俺の考え方はもう時代遅れであるようだ。
「新生活……か」
あとふた月もすれば学校は卒業となる。この時期になると卒業生の殆どが登校してこなくなるのだ。そういった面々は皆、俺たちのように、新生活に向けての準備を始める。最終学年の最終学期など、あってないようなものだった。この時期になれば皆、単位は取得済みで敢えて学校ですることもない。俺のように、この暇な時期を使って図書館の本を隅から隅まで読もう、などと意気込む者はどこにもいないのだ。
「ねぇ、セナ。ユギラの別邸に下見に行こうよ」
ユギラの別邸。それは、シェイナ家が持つユギラにある邸宅のことだった。ユギラ大学に進学する俺とラーフの新たな生活の拠点。そこに、まだ一度も足を踏み入れていなかった。ラーフの申し出に、俺は頷く。
「そうだな、行こうか」
「明日はどう?」
「明日? 随分急だな」
「そこまで悠長にしていられる時期でもないし、それに、暫く学校には来ない方が良いかなと思って。喧しい雑音は、きっと数日で消えるよ」
それはラーフなりの気遣いだった。気にしないといいつつも、どうしても気にしてしまう俺に、学校を離れるほうが良いと薦めてくれているのだ。ラーフの言う通りだと思った。己の心を守るために、嫌なことから逃げることも必要だ。
「そうだな、じゃあ明日行こうか」
「二人で遠出するってことは、これはデートだね」
「デッ……デート……そう、なるのか」
デートなんて、生まれて初めてだ。ラーフと今まで出掛けたことは何度かあったけど、デートは初めてだった。なんだか急にドキドキしてしまう。ラーフは俺の両手を、それぞれに握って指を絡ませてきた。ここは学校の廊下なのだからそんなことをしては駄目だ、と言いたかったのに言えずに黙る。それだけでは終わらず、ラーフは額と額を合せて近い距離で言葉を交わした。
「明日の朝、セナの家に迎えに行くね」
絡ませ合った指を、ぎゅっと握りしめてラーフが強く俺の手を握った。ラーフの手はとても暖かい。冬が迫る冷たい風の中にあっても、確かな熱をその手は持っていた。
「……うん、待ってる」
廊下を歩く俺には、突き刺さるような視線がいくつもあった。俺を見て、こそこそと話し、人によっては睨んでくる。針のむしろに立たされたような苦しさがあった。
「ラーフの誕生日会で騒動があったらしい」
「あいつがその元凶なんだってな」
「どうしてラーフはあんな子を気にするの?」
「男のくせに媚びを売って、気持ち悪い」
聞きたくないのに聞こえてくる声たち。それらは、ラーフの誕生日会のことについて語っていた。どうやら、俺がドジをして転んで誕生日会がめちゃくちゃになった、というような形で話が流布しているようだった。
「……媚びを売る……か」
外からはそう見えているらしい。俺はラーフに媚びているのだろうか。悲しくなってついつい俯いてしまった。ラーフは、周囲のことなんて気にするなというが、どうしても俺は気になってしまう。ラーフのように、常に自信を持って堂々となんて出来ないのだ。
「セナ、大丈夫かい?」
ぽん、と肩を叩く手があった。振り返れば、見慣れた姿が。思わず足を止める。
「……教授」
「随分と悲しい背中だね」
「色々と……あって」
「まぁ、学校中がラーフの誕生日会での出来事でもちきりだからね。嫌でも状況を把握出来たよ。ことの真相も、ある程度推測が出来る」
言葉で説明しなくても、誕生日会で何があったのかを教授は理解していた。俺がドジをしたわけではなく、悪質ないやがらせで俺が転倒したということも、それにラーフが激怒して誕生日会が中止になったことも。
「大変だったみたいだね」
教授の手が俺の頭を撫でる。優しい手だ。けれど、幼子にするような手つきで俺は恥ずかしくなる。教授はよくこんな風に俺を撫でるけれど、俺がもう二十歳になる大人だと分かっているのだろうか。
「俺は……別に良いんです。何を言われても。でも……ラーフに色々と迷惑がかかっちゃったなって思って」
「おそらくだけれど、ラーフは迷惑なんて思っていないと思うよ」
「そうでしょうか」
ラーフの言葉を聞いて、行動を見て、ラーフが迷惑なんて思っていないということは何となく理解している。けれど、ラーフの周囲の人はどうだろう。シェイナ侯爵様は、どのように思っているだろうか。従者のロキは。ラーフに関わる人たちの迷惑になれば、それは自ずとラーフに迷惑をかけたということになると、俺はそう思ってしまうのだ。
「そんな悲しい顔をしないで。君だって、ラーフを憎からず思っているんだろう?」
「……そう、ですね」
憎からず思っている、なんてものではない。もうその範疇を超えてしまっている。俺は、ラーフを強く想っているのだ。あとは、その感情に名前をつけるだけ。その覚悟がまだ定まっていない。
「フィルリア家のことは、もう良いんです。父はもう家を存続させる気はないみたいで……俺もそれに従うつもりです。フィルリア家は俺の代で終わりです。……でも、シェイナ家は違う。これからも栄えていく家なのに、俺とのことは醜聞にしかならない」
大貴族で、今もなおその勢いの衰えないシェイナ家に男が嫁入りするなど、ゴシップ雑誌の格好の餌になってしまう。騒ぎ立てられ、それは他のシェイナ家の方々のご迷惑になると思うのだ。ラーフのお姉さんや妹さんなど、嫁いでいる人にも悪い影響が及ぶかもしれない。
「実際、どう思いますか。シェイナ家の次期当主と、フィルリア家の次期当主が同性婚をしたら……醜聞になると思いませんか?」
「醜聞とまでは言わないよ。ただ、貴族で同性同士というのは珍しいな、と思うかな」
「……それだけですか?」
「私は恋愛自由主義だからね、同性だろうと異性だろうと、構わないと思ってるよ。セナが幸せなら、私はそれでいいと思う。……ただ、そう思えない人も一定数いるだろうね」
教授の言葉は的を得ている。許容してくれる者もいるだろう。無関心な者たちもいるはずだ。だが一部は嘲笑したり侮蔑したりと騒いでくる。その事態にラーフを巻き込む覚悟が、俺にあるのだろうか。
「彼はどうしていつも、君の場所が分かるんだろうね」
教授がそんなことを言うので、何かと思えば俺たちの視線の先からラーフが勇み足で近づいてくるのが見えた。どうして俺の場所が分かるのか、というのは俺も昨日問い詰めた話題だった。観念したラーフが白状したのだ。
「なんか、匂いで分かるそうです」
「それはそれは。番犬のようだな」
番犬に噛まれる前に退散するよ、といって教授が去って行った。丁度、教授と入れ違いになる形でラーフが到着する。
「セナ、あいつと二人きりにならないで」
「二人きりっていうほど二人きりでもないと思うけど」
ここは廊下で、往来は少ないがそれでも人はいる。密室でまったくの二人、という訳ではないのだから、この程度では二人きり認定は下りないと思うのだ。だが、ラーフが嫌そうな顔をするのでその気持ちをぐっと抑え込む。
「これからは気を付けるよ」
ラーフは俺のことを愛していると言ってくれた。であるならば、俺が他人といるのは気に食わないのだろう。その気持ちは理解する。俺だって、ラーフが誰かと二人きりでいたらあまり気持ちが良くない。
「今日はたくさん不愉快な声を聞いたと思う。……黙らせることも出来るよ」
誕生日会のことを盛んに話し合う雑音を差していた。ラーフの表情は、こんな顔も出来るのか、と思うほどに怜悧で視線だけで人を殺してしまえそうだった。そんなおもてに驚きつつ、俺は首を左右に振る。
「いいよ。周りのことは気にしない方がいいんだろ」
「まぁ……そうだけど」
「もうすぐで卒業だし、穏便にいきたい」
「セナがそう言うなら、セナに従うよ」
気にしないように、俺も努める。周りを気にしてばかりいたら、身動きが取れなくなってしまうのだ。ラーフとの未来を望むなら、俺も強くならなければならない。たとえ、少しずつだとしても。
「そういえば、今日って少しロキと話せるかな」
「……なんでロキ?」
ラーフの眉が不愉快そうに歪んだ。ラーフは思っていることがすぐ顔に出るので、とても分かり易い。だが、俺はそんなラーフの顔色を無視して言葉を続ける。
「スマホが、雨で駄目になっちゃったみたいなんだ。せっかくもらったのものだったのに……そのことでロキに謝りたいんだ」
「俺から伝えておくよ」
「こういうのは自分から言わなくちゃ、だろ」
「俺はロキの主人なんだから、ロキに言うっていうのは俺に言うってことと同義だと思わない?」
そんな風に畳みかけられると、そうなのかも、と思ってしまうから不思議だ。それがラーフの狙いだと分かっているのに、ラーフの話術に翻弄されて頷いてしまった。
「スマホ、新しいものを贈るよ」
「え、いいよ。また壊したら嫌だし」
「そうそう壊れないから大丈夫だよ。それに、俺たちの新生活には必要だろ?」
科学によってつくられたものは怖い。簡単に壊れてしまう。家には、百年単位で使っている魔法道具がいくつもあるが、未だに現役だ。水に濡れたって別に壊れはしない。
魔法と、魔力を動力として動く魔法道具は俺にとってとても便利なものだが、それらのみで満足しない魔法使いたちも増えてきている。ラーフたちのようにスマホを活用する者もとても多い。テレビや電話などがなくても、本や手紙があれば十分だと思うのだが、どうやら俺の考え方はもう時代遅れであるようだ。
「新生活……か」
あとふた月もすれば学校は卒業となる。この時期になると卒業生の殆どが登校してこなくなるのだ。そういった面々は皆、俺たちのように、新生活に向けての準備を始める。最終学年の最終学期など、あってないようなものだった。この時期になれば皆、単位は取得済みで敢えて学校ですることもない。俺のように、この暇な時期を使って図書館の本を隅から隅まで読もう、などと意気込む者はどこにもいないのだ。
「ねぇ、セナ。ユギラの別邸に下見に行こうよ」
ユギラの別邸。それは、シェイナ家が持つユギラにある邸宅のことだった。ユギラ大学に進学する俺とラーフの新たな生活の拠点。そこに、まだ一度も足を踏み入れていなかった。ラーフの申し出に、俺は頷く。
「そうだな、行こうか」
「明日はどう?」
「明日? 随分急だな」
「そこまで悠長にしていられる時期でもないし、それに、暫く学校には来ない方が良いかなと思って。喧しい雑音は、きっと数日で消えるよ」
それはラーフなりの気遣いだった。気にしないといいつつも、どうしても気にしてしまう俺に、学校を離れるほうが良いと薦めてくれているのだ。ラーフの言う通りだと思った。己の心を守るために、嫌なことから逃げることも必要だ。
「そうだな、じゃあ明日行こうか」
「二人で遠出するってことは、これはデートだね」
「デッ……デート……そう、なるのか」
デートなんて、生まれて初めてだ。ラーフと今まで出掛けたことは何度かあったけど、デートは初めてだった。なんだか急にドキドキしてしまう。ラーフは俺の両手を、それぞれに握って指を絡ませてきた。ここは学校の廊下なのだからそんなことをしては駄目だ、と言いたかったのに言えずに黙る。それだけでは終わらず、ラーフは額と額を合せて近い距離で言葉を交わした。
「明日の朝、セナの家に迎えに行くね」
絡ませ合った指を、ぎゅっと握りしめてラーフが強く俺の手を握った。ラーフの手はとても暖かい。冬が迫る冷たい風の中にあっても、確かな熱をその手は持っていた。
「……うん、待ってる」
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