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いじわる

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 城に着くとヴァルグとシャリーアに人化してもらい、私とレギアスの直属の護衛として城に住んでもらうことにした。

「もし嫌じゃなければ……バルコニーで繋がっている皇主の居室に住んで欲しいの」
「私は構いませんけれど」
「俺もどこでもいいよ」
「いずれ私が移り住まなければいけないのだけど、その前に自分の中のイメージを変えたくて。人が……亡くなったばかりの部屋とか、嫌じゃない?」

 未だに声が震える……情けない。
 レギアスが私を心配そうな顔で見て、そっと肩を抱いてくれた。

「全く気になりませんわ」
「俺もどうでもいい」
「良かった。では2人が住めるように整えさせるから、それまでは私の部屋に居てね」
「ドラゴンを住まわせるなんて、反対されたりしないのか?」
「この国では私の望みが絶対なの」
「おお、さすが俺のレティシア」



「陛下、お帰りなさいませ。できれば、次からはいつおかえりになるか、お教え下さいませ」

 侍女長のハンナを先頭に5人の侍女が並んで頭を下げて迎えてくれる。
 出かけたことは知っていた感じね。常に暗部が複数人潜んでるのだから当たり前か。誰もいなくとも帰り時間を呟けば伝わるのねたぶん。

「わかったわ。この2人はヴァルグとシャリーア。レギアスが連れてきたドラゴンよ。ふたりの分も朝食をここにお願い」
「まぁ!ドラゴンが人の形をとっているのですか?」

 侍女たちも驚いて珍しく作業の手が止まった。

「人間の食事は初めてだから楽しみですわ」
「俺はたまにレギアスのつまんでた。10人前くらい頼む」
「ああ、人化した見た目通りの量だと足りないわよね……生肉とかも持ってこさせましょうか?」
「生よりレアのステーキにして。分厚いやつ」
「かしこまりました。料理長に大急ぎで作らせますのでお待ちください」

 ハンナが慌ただしく指示を出す。
 なんか……1人の時とは違って朝から騒がしくなったな。気が紛れてちょうどいいけれど。

 ドラゴンの2人にはしばらく自由に行動してもらうことにした。ずっと私たちについているのも飽きるだろうし、バルコニーから好きに出入りして、ついていたい時は護衛としてそばに控えるといった形にした。
 バルコニーはドラゴンが2頭余裕で羽根を広げられるスペースがあるので日向ぼっこするのもいいかもしれない。
 離れていてもレギアスが呼べば来てくれるらしい。
 ドラゴンらしく光り物が好きなのか買い物用に金貨をあげたらものすごく喜んでいた。

 朝食のあと身支度を終えると、国葬に足を運んでくれた賓客をもてなした。
 今日は帝国傘下の国も担当しなきゃならなくて、両親を殺したヤツの仲間だと思うと握手するのがたまらなく不快だった。
 でもレギアスがあからさまにイライラしていて、見ると少し落ち着いた。殺気が漏れ出したおかげで相手が怯えて手にキスされるのは回避できた。
 ドラゴンの2人も初日だからと見学しているけど、シャリーアの表情がレギアスと連動していて面白い。
 腹の探り合いにも精神力が削られるけど、今日の相手はただの好色爺のようだった。私の能力を警戒して無難な人間を送り込んできているらしい。

「レティシア、大丈夫か?」

 午前の会談が終わって休憩時間になると、レギアスが心配そうに顔を覗き込みながら瞼にキスを落とす。

「ちょっと、ツラい……」

 レギアスの胸に顔をうずめて抱きつくと優しく抱きしめ返してくれて、強ばった気持ちが解けていく。

「嫌になったら臣下に任せて休もうな?」
「うん、でももう平気になってきた。レギアスのおかげ。……あ!昨日は忘れちゃったけど祝福かけなきゃ」
「一昨日大変そうだったからやめた方がいいんじゃないか?」
「大丈夫。それに花びらパーッと散らせてみんなの喜ぶ顔を見るのってかなり気分が良くなるのよ」

 これは本当だ。後から報告が多ければ大変だけど。
 重複分は無視する設定で術を組めば数はかなり少なくなるはず。

 レギアスは諦めたような顔をして私の額にキスをした。

 2人でバルコニーに出て祝福の花びらを散らすと、国葬に集った民たちが気づいて喜んでいる。
 私から離れなければ効果は消えないから、ほとんどの皇都の民にとって意味は無い。花びらに触れた時に気分が良くなる程度なのだが、美しくありがたいものといった感じでみなが喜んでくれる。
 祝福は皇主の力の象徴だからこれを見せつけることで民を安心させる面もある。セレスティア神が豊かにした国土は地の精霊達が皇族の神聖力を吸収して豊かさを維持しているから、余った花びらも有効活用されるのだ。
 私の神聖力があり余っているおかげで近年の我が国の農産物は最高級品として輸出されて、とても儲かっている。

 私の存在に気づいてこちらに手を振る人々に手を振り返すと歓声が上がった。

「レギアスも手を振って!」
「あ?ああ」

 2人で一緒に手を振っているとレギアスが私のこめかみにキスをして、一際大きな歓声が上がる。

「ちょ、ちょっと恥ずかしいのだけれど……」
「それより、これいつまで手を振ってるんだ?」
「キリがないからそろそろ引き上げましょうか」

 私がそう言うとレギアスはいきなり私を抱きかかえ、城下に手を振りバルコニーを後にした。


「普通に戻るよりいいパフォーマンスになっただろ?」
「え、ええ。それはいいのだけど……」

 レギアスは部屋に戻るなり私を抱えたままカウチソファに座ると胸を揉みしだき、うなじにねっとりとキスをしている。

 朝の続きを始める気かしら。
 嫌なわけじゃないけど……困る。
 どうしよう、呼吸が速くなってきた……

「レギアス、あの……変な気分になるから……やめて……」
「変な気分ってどんな?」
「いじわる……やめて?……ね?」

 わざとだろうけど、感じすぎないところばかり触ってくるのがもどかしい……

「レティシアを抱けない分、せめてこのくらい触りたいんだけど、嫌なの?」
「嫌じゃないけど……嫌……ぁ、は……」
「さっき他の男に触られてただろ?嫌でも消毒しないとな」

 レギアスは私の体をカウチソファの背もたれに押し倒すと、私を見つめながら手を取った。
 長いレースの手袋を脱がせて指に舌を這わせてくる。
 甘噛みされたり指の股をチロチロと舐められたり……なにこれドキドキする……

 指と指を絡ませながらレギアスの舌は手首まで移動していき、また優しく歯を立てられた。
 もう一方の手は私の太ももに置かれ、時々スルスルと撫でられると私の腰がビクリと跳ねる。

「れ、レギアス、もう、いいでしょう?」
「まだだよ。まだレティシアの腕を全部食べてない」

 そう言ってレギアスがガブガブと腕を甘噛みしてきた。
 私の体はもうずっと小さく震えていて、どこを触られても敏感に反応してしまう。
 すぐにでもイきそうなのに、次々違う場所を触られるからイきそうでイけない……

 それから何を言ってもやめてくれなくて、しつこく触られ続けた体はすっかりその先を求めてしまっていた。
 脚の間と胸の先端が疼いて、切ない……助けて。

「どうして欲しい?」

 耳元で囁かれて鼓動が跳ね、期待で体が熱くなる。

「ぁ……せめて、イかせて……このままは、つらいの……」
「ふふ、いいよ」

 レギアスが私に覆い被さり唇を重ねる。
 レギアスの腕が私の背中に周り、ドレスのボタンを外しながら舌を優しく絡められた。

「あ、ふ……んん、ん……っ!」

 私はそれだけでもう堪らなくて、気持ち良すぎて達してしまった。
 全身がもっとレギアスに触って欲しいって叫んでるみたいに熱を持っている。
 ドキドキして、もっとたくさんして欲しいのに、レギアスの唇が離れていく。

「レギアス、やだ、やめないで……」
「そんなに可愛いと、また俺に犯されるよレティシア」

 レギアスは私の頬を流れ落ちる涙を親指で拭うと荒く息を吐きながら深く深く口付けてきた。

「んぅ、んっ!ンんーーーー!!んっ!んっ!んんぅ……」

 口の中を全部レギアスの舌がヌルヌルと這い回ってもう私はまともに息もできず、レギアスにしがみつきながらずっとビクビクと震えていた。

「ああもうダメだ。これ以上レティシアを見てたら止まらなくなる……」

 そう言ってレギアスは快感の余韻に浸っている私を抱き起こすと、後ろから抱きしめた。
 腰にレギアスの硬いものが当たり、私のドキドキは頂点になった。
 大きなため息が聞こえた後すぐに腕の拘束が緩み、ドレスが肩からずり下げられていく。
 レギアスの両手の指が私の露わになった胸の先端に優しく触れた。

「あっ!」

 私は身体を大袈裟なぐらい痙攣させてしまい、レギアスの腕に縋り付きながら大きく息を吐いた。

「ここを触って欲しかったんだろ?」

 レギアスは耳元で囁くとさらに胸の先端を転がしながら耳を舌でなぞった。

「あっ……レギアス、もっと……お願い……もっとぉ……」

 レギアスは指の力を徐々に強めて乳首をしごくと、耳の中を舌で犯した。
 ぴちゃぴちゃと水音が頭に響いて私の理性を奪っていく。

「あっ!ああっ、あっ!レギアス!あ、い……イク!またイっちゃう!……あ、あああっ!!」

 私はレギアスの腕を強く掴みながら身体を折り曲げブルブルと震えた。
 次の瞬間崩れ落ちそうになった所を彼に抱きとめられ、ビクンビクンと痙攣しながら私は荒い息を吐いた。

「そろそろ満足した?」

 レギアスは流れ落ちる涙を舐め取り、聞いてくる。

「全然……」
「ふふっ、レティシアも俺の気持ちが少しはわかった?」
「酷いよレギアス……」
「できるようになったらすぐに教えてくれるよね?」
「……」
 私は無言で頷いてレギアスの胸に顔をうずめた。
 どうしよう……全然足りない……

「あの……ヴァルグ様が興奮しているので、胸をしまった方がよろしいと思いますの……」

 斜め隣のソファで静かにお茶を飲んでいるシャリーアと、股間を押さえて顔を赤くしているヴァルグが目に入る。

「へ?……あ、ああっ!……居たんだ……恥ずかしい……」
「レティシア、あれは人じゃない。ただの爬虫類だ。気にするな」
「えっと、似てるだけで爬虫類じゃないと思ったんだけど……怒られるよ??」
「本当に……なんでこんな男を主様は好きになったのか、理解に苦しみますわ」

 怒りでギラギラした目が怖いよシャリーア……

「えっと……ごめんね、シャリーア、ヴァルグも。私もなんでだかわからないの。恋って不思議だよね」
「なんでだかわからないとか言われると、さすがにちょっと傷つくよ?俺……」
「そう?じゃあレギアスはなんで私を好きになったの?」
「なんでって……………………そう言われると、わからない」
「ほら、ね?同じ」

 ふふっと笑いながら私はレギアスにドレスを直してもらい、変な顔で考え込む彼の胸の中でひと時の休息を得たのだった。
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