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翌朝
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彼との行為で私は気を失っていたらしい。彼は意外にもマメで色々後始末したり私をお風呂に入れて洗ってくれたりもしたようだ。お風呂でも襲われたような気がするけどよく覚えていない。
精力絶倫て言葉は知ってるけど……普通あんなにできるもの??私はあまり意識がなくて朧げにしか覚えていないけど……ずいぶん長い時間だったと思う。
あれだけ強そうな騎士なら当たり前なの??私、身が持つのかしら……
拐われたのは午前中、食事も取らずに夜まで抱かれて気を失ってを繰り返し、朝目覚めた時は清潔な寝具の中で彼に背中を抱かれていた。何だかとても心地がいい。
「起きたか」
「はい。おはようございますレギアス様」
重だるい身体をなんとか動かしてモゾモゾと体ごと彼の方に向いた。動かしてみると身体中が痛い……
でも優しく私を見つめる美しい顔を見つめ返すと多幸感で満たされて、照れ隠しついでに彼の胸板を堪能することにした。
背はかなり高いけれど騎士の割には細身な、無駄な肉が全くない引き締まった彼の体にドキドキする。
頬を擦り寄せているとなんだか彼の様子がおかしい。
顔を上げて見てみると顔を真っ赤にして口をアワアワさせていた。
なにこれかわいい!ちょっと攻めてみようかしら。
昨日はあんなに恐怖で竦んでいたのに、彼に散々貪られて麻痺してしまったようだ。
「昨日はあんなに強引だったのに、迫られると弱いのですか?」
「!!…………そう、みたいだ。レ、レティシア限定だがっ!……」
照れた顔を手で隠しながら思い切り顔をそらすレギアス。
真っ赤になりながら素直すぎる返答をする彼にこちらもつられて真っ赤になったのがわかった。
なにこれキュンキュンする!!
猛獣を手懐けたらこんな感覚になるのかしら。とにかく可愛いわ。
私は身を乗り出して彼に口付けようとして……肩をガっと掴まれて身を離し逃げられてしまった。
「また止まれなくなるから……ダメだ」
私がよほど悲しげな顔をしていたのか、彼は私を見つめながら困った顔をしてしばらく逡巡し、
「やっぱり大丈夫だから、……いいぞ」
そう言って優しく私の頬を撫でた。
私はそっと唇を彼の唇に押し付けて、……名残惜しくてそのまま彼の頬にまぶたを寄せた。
彼はゴクリと唾を飲み込むと私をそっと引き離し、私の首元に頭を付けて項垂れ、大きく溜め息をついた。
「わたくしの体を気遣ってくださって、ありがとうございます」
「いや、それもあるが……レティシアの味方が迎えに来ている。そろそろ着替えておかないとまずい」
レギアスは悔しそうに歯噛みしていた。
なんだろう、私を散々抱いて一旦は落ち着いたからだろうか、思ったよりは全然マトモな人のようだ。
私が犯されている最中に近衛騎士たちが踏み込んできて修羅場になり、近衛を守る為にレギアスを必死で止める……なんてのもチラッと想像してましたよ……
自分の男を見る目が壊滅的じゃなくて良かったと心の中でホッと胸を撫で下ろした。
私の身支度に四苦八苦したあと、レギアスは家で見つけた保存食で簡単な食事を作ってくれた。騎士の嗜みなのだそうだ。素朴だがけっこう美味しい。空腹に染み渡って失われた体力が回復していく気がする。皇女として食事に不自由などしたことのない私には新鮮な感覚だった。
保存食の硬いパンをスープに浸して食べながらレギアスと今後の話をする。
「俺は1度報告のために国に戻らねばならない。レティシアを父に紹介したいのだが」
「……わたくしは本当にこの国を離れるのが難しいのです」
「ドラゴンに乗るからすぐに帰ってこられる。片道1時間くらいだ」
「許可が取れれば良いのですが……無断で行けば国際問題になります」
「そうか……」
身分を言った方がいいのだろうが、もう少し皇太女ではない私で居たくて黙っていてしまった。
「では1度国に帰ってからすぐにレティシアのところに戻ろう。レティシアはどこに住んでいるんだ?」
「皇宮におります。話を通しておきますでわたくしの名前を出して下さい」
「わかった。……もし俺から逃げたりしたら、皇宮が燃えると思え?」
ニヤリと嗤う漆黒の悪魔……逃げる気はないけどやっぱり怖い……
「ああ、迎えが来たようだ」
蹄の音が聞こえて外に出ると、将軍と私の近衛騎士達が到着したところだった。
「姫様!ご無事でしたか!!」
実は1日中弄ばれたのであまりご無事ではなくヨロヨロなのだけれど、お腹に力を入れて必死に体裁を保つ。
下腹部と腰周りがかなりズキズキするわね…
脚もカクカクする。
父皇主から最高級の祝福の術を刻まれているけれど、父から離れていることもあって最低限の効果しかない。完全回復まではかなり時間がかかりそうだ。
「レイノルズ将軍。彼が助けてくれたのです」
「ええ見ておりました。鮮やかな手並み、ソーマ王国のレギアス殿下とお見受け致します。我が国の皇太女を救って頂き感謝に絶えません。ところで……何故こちらに?」
「あ、あのね!彼のドラゴンが怪我をして飛べなくなってしまったの。だからここを見つけて休ませていたのよ。わたくしが祝福を授けたからすっかり治ったけれど」
この言い訳のためにレギアスの料理中に術を施しておいたのだ。
それにしても、殿下って……殿下って言ったわよね??
…………
あ、第2王子の名前だわ、動転していたとはいえなんで気づかないの私としたことが……
え?漆黒の悪魔って第2王子だったの?それとも別人??
まあ王子なら別人でも問題はないかしら……
身分が釣り合ったことに安心しつつも国力のバランスは大丈夫だろうかと考え込んでいると、
「ああ、レギアスだ。それより……皇太女……なのか!?」
流石に自分のやらかしたことの重大さに気づいたのか顔を青ざめさせている。面白い。
昨日の無体が露見したら普通なら確実に死罪だもの。
化け物じみた強さ?と王子の身分があって良かった。それでも……私の同意がなければ戦争ね……
……我が国がソーマ王国に勝てるとも思えないけれど……
「ええ、我が国の未来を救っていだだいたも同然です。我ら一同心より御礼を申し上げます」
将軍と30名ほどの騎士たちが一斉に膝を折り礼をした。
「後ほど皇主から正式に感謝の言葉があるでしょう。もしよろしければ我らとともに皇宮にお越しください」
「やはり先にこちらの国と約束を取り付けないと安心できないな……わかった。同行しよう」
「左様ですか!では戦場に戻り早々に敵を撃退して参りますので少しだけお待ち頂きたい!」
「ああ、やつらか。オレが追い払ってきてやるからゆっくり戻ってくるといい。……そういえば姫はどうやって戦場に帰るんだ?」
「とりあえずは捜索が目的でしたので今から連絡して馬車を持ってこさせます。姫様がすぐに帰りたいとの事ならば私の馬に同乗して頂くつもりですが……」
おそらく時間がかかるのも将軍に抱えられて馬に乗るのも気に食わなかったのだろう。
「姫には一刻も早く安全な場所で休んで貰いたい。オレが本陣まで送り届けよう」
レギアスは誰が止める間もなく私を抱えてヒョイっとドラゴンに乗ると空に飛び立った。
唖然と見つめる将軍達に申し訳なく思いながらも私は喜んでいる自分に、
ああ、私は一時も離れたくないほどレギアスに心を寄せているのだと、そう気づき心が震えた。
何故かしら……助けられたから?見た目が美しいから?抱かれて気持ちよかったから??
やっぱりアレかしら……あの誘拐犯を好きになってしまうというアレかしら……
「レティシア?どうかしたか?」
「いえ、ただわたくしは……レギアス様に、……恋に落ちてしまったのかも……」
私は高鳴る胸を抑えながらレギアスに振り向くと、フフっと笑みがこぼれた。
「こっ……」
また真っ赤になってアワアワしてる。可愛い。
レギアスは私を抱いている右腕に力を込め、私の耳元で囁いた。
「俺は……レティシアをあ、愛している。……初めて目にした瞬間からどうしようもなく……」
「レギアス様……」
彼を見つめると唇をそっと塞がれ、私は目を閉じた。彼の柔らかい唇が震えていて、募る愛しさに胸が詰まる。
私もきっと……一目見たときから彼に落ちていたのだと、そう思った。
そういう事にした。
精力絶倫て言葉は知ってるけど……普通あんなにできるもの??私はあまり意識がなくて朧げにしか覚えていないけど……ずいぶん長い時間だったと思う。
あれだけ強そうな騎士なら当たり前なの??私、身が持つのかしら……
拐われたのは午前中、食事も取らずに夜まで抱かれて気を失ってを繰り返し、朝目覚めた時は清潔な寝具の中で彼に背中を抱かれていた。何だかとても心地がいい。
「起きたか」
「はい。おはようございますレギアス様」
重だるい身体をなんとか動かしてモゾモゾと体ごと彼の方に向いた。動かしてみると身体中が痛い……
でも優しく私を見つめる美しい顔を見つめ返すと多幸感で満たされて、照れ隠しついでに彼の胸板を堪能することにした。
背はかなり高いけれど騎士の割には細身な、無駄な肉が全くない引き締まった彼の体にドキドキする。
頬を擦り寄せているとなんだか彼の様子がおかしい。
顔を上げて見てみると顔を真っ赤にして口をアワアワさせていた。
なにこれかわいい!ちょっと攻めてみようかしら。
昨日はあんなに恐怖で竦んでいたのに、彼に散々貪られて麻痺してしまったようだ。
「昨日はあんなに強引だったのに、迫られると弱いのですか?」
「!!…………そう、みたいだ。レ、レティシア限定だがっ!……」
照れた顔を手で隠しながら思い切り顔をそらすレギアス。
真っ赤になりながら素直すぎる返答をする彼にこちらもつられて真っ赤になったのがわかった。
なにこれキュンキュンする!!
猛獣を手懐けたらこんな感覚になるのかしら。とにかく可愛いわ。
私は身を乗り出して彼に口付けようとして……肩をガっと掴まれて身を離し逃げられてしまった。
「また止まれなくなるから……ダメだ」
私がよほど悲しげな顔をしていたのか、彼は私を見つめながら困った顔をしてしばらく逡巡し、
「やっぱり大丈夫だから、……いいぞ」
そう言って優しく私の頬を撫でた。
私はそっと唇を彼の唇に押し付けて、……名残惜しくてそのまま彼の頬にまぶたを寄せた。
彼はゴクリと唾を飲み込むと私をそっと引き離し、私の首元に頭を付けて項垂れ、大きく溜め息をついた。
「わたくしの体を気遣ってくださって、ありがとうございます」
「いや、それもあるが……レティシアの味方が迎えに来ている。そろそろ着替えておかないとまずい」
レギアスは悔しそうに歯噛みしていた。
なんだろう、私を散々抱いて一旦は落ち着いたからだろうか、思ったよりは全然マトモな人のようだ。
私が犯されている最中に近衛騎士たちが踏み込んできて修羅場になり、近衛を守る為にレギアスを必死で止める……なんてのもチラッと想像してましたよ……
自分の男を見る目が壊滅的じゃなくて良かったと心の中でホッと胸を撫で下ろした。
私の身支度に四苦八苦したあと、レギアスは家で見つけた保存食で簡単な食事を作ってくれた。騎士の嗜みなのだそうだ。素朴だがけっこう美味しい。空腹に染み渡って失われた体力が回復していく気がする。皇女として食事に不自由などしたことのない私には新鮮な感覚だった。
保存食の硬いパンをスープに浸して食べながらレギアスと今後の話をする。
「俺は1度報告のために国に戻らねばならない。レティシアを父に紹介したいのだが」
「……わたくしは本当にこの国を離れるのが難しいのです」
「ドラゴンに乗るからすぐに帰ってこられる。片道1時間くらいだ」
「許可が取れれば良いのですが……無断で行けば国際問題になります」
「そうか……」
身分を言った方がいいのだろうが、もう少し皇太女ではない私で居たくて黙っていてしまった。
「では1度国に帰ってからすぐにレティシアのところに戻ろう。レティシアはどこに住んでいるんだ?」
「皇宮におります。話を通しておきますでわたくしの名前を出して下さい」
「わかった。……もし俺から逃げたりしたら、皇宮が燃えると思え?」
ニヤリと嗤う漆黒の悪魔……逃げる気はないけどやっぱり怖い……
「ああ、迎えが来たようだ」
蹄の音が聞こえて外に出ると、将軍と私の近衛騎士達が到着したところだった。
「姫様!ご無事でしたか!!」
実は1日中弄ばれたのであまりご無事ではなくヨロヨロなのだけれど、お腹に力を入れて必死に体裁を保つ。
下腹部と腰周りがかなりズキズキするわね…
脚もカクカクする。
父皇主から最高級の祝福の術を刻まれているけれど、父から離れていることもあって最低限の効果しかない。完全回復まではかなり時間がかかりそうだ。
「レイノルズ将軍。彼が助けてくれたのです」
「ええ見ておりました。鮮やかな手並み、ソーマ王国のレギアス殿下とお見受け致します。我が国の皇太女を救って頂き感謝に絶えません。ところで……何故こちらに?」
「あ、あのね!彼のドラゴンが怪我をして飛べなくなってしまったの。だからここを見つけて休ませていたのよ。わたくしが祝福を授けたからすっかり治ったけれど」
この言い訳のためにレギアスの料理中に術を施しておいたのだ。
それにしても、殿下って……殿下って言ったわよね??
…………
あ、第2王子の名前だわ、動転していたとはいえなんで気づかないの私としたことが……
え?漆黒の悪魔って第2王子だったの?それとも別人??
まあ王子なら別人でも問題はないかしら……
身分が釣り合ったことに安心しつつも国力のバランスは大丈夫だろうかと考え込んでいると、
「ああ、レギアスだ。それより……皇太女……なのか!?」
流石に自分のやらかしたことの重大さに気づいたのか顔を青ざめさせている。面白い。
昨日の無体が露見したら普通なら確実に死罪だもの。
化け物じみた強さ?と王子の身分があって良かった。それでも……私の同意がなければ戦争ね……
……我が国がソーマ王国に勝てるとも思えないけれど……
「ええ、我が国の未来を救っていだだいたも同然です。我ら一同心より御礼を申し上げます」
将軍と30名ほどの騎士たちが一斉に膝を折り礼をした。
「後ほど皇主から正式に感謝の言葉があるでしょう。もしよろしければ我らとともに皇宮にお越しください」
「やはり先にこちらの国と約束を取り付けないと安心できないな……わかった。同行しよう」
「左様ですか!では戦場に戻り早々に敵を撃退して参りますので少しだけお待ち頂きたい!」
「ああ、やつらか。オレが追い払ってきてやるからゆっくり戻ってくるといい。……そういえば姫はどうやって戦場に帰るんだ?」
「とりあえずは捜索が目的でしたので今から連絡して馬車を持ってこさせます。姫様がすぐに帰りたいとの事ならば私の馬に同乗して頂くつもりですが……」
おそらく時間がかかるのも将軍に抱えられて馬に乗るのも気に食わなかったのだろう。
「姫には一刻も早く安全な場所で休んで貰いたい。オレが本陣まで送り届けよう」
レギアスは誰が止める間もなく私を抱えてヒョイっとドラゴンに乗ると空に飛び立った。
唖然と見つめる将軍達に申し訳なく思いながらも私は喜んでいる自分に、
ああ、私は一時も離れたくないほどレギアスに心を寄せているのだと、そう気づき心が震えた。
何故かしら……助けられたから?見た目が美しいから?抱かれて気持ちよかったから??
やっぱりアレかしら……あの誘拐犯を好きになってしまうというアレかしら……
「レティシア?どうかしたか?」
「いえ、ただわたくしは……レギアス様に、……恋に落ちてしまったのかも……」
私は高鳴る胸を抑えながらレギアスに振り向くと、フフっと笑みがこぼれた。
「こっ……」
また真っ赤になってアワアワしてる。可愛い。
レギアスは私を抱いている右腕に力を込め、私の耳元で囁いた。
「俺は……レティシアをあ、愛している。……初めて目にした瞬間からどうしようもなく……」
「レギアス様……」
彼を見つめると唇をそっと塞がれ、私は目を閉じた。彼の柔らかい唇が震えていて、募る愛しさに胸が詰まる。
私もきっと……一目見たときから彼に落ちていたのだと、そう思った。
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