転生したら悪役令嬢になるが、隣国の極悪非道な皇帝に嫁いだら実はただのツンデレでした。

第七章・二人の絆。2

　半分本当で半分嘘。確かに。正式に皇后になるにしても実感は湧かないし、上手くやれるかも分からない。不安もある。
　だがそれよりも不安なのは、私がなっても本当にいいのだろうか？
　私は、異世界の人間。本当に皇后に継いだら二度と元の世界に帰れない気がして、それが怖かった。元の世界……。胸がズキッと痛み出す。
　何だろう……最近元の世界のことを考えると胸が痛むようになってきていた。そのせいもあり、あまり考えないようにしていたのに。
　すると陛下は、私をギュッと抱き締めてくる。優しい言葉を言ってくれる訳ではない。ただ離れて行かないように抱き締めてくる。
　あたたかいぬくもりに私は、さらに胸が苦しくなった。
　そして、しばらく抱き締め合った後。いつものルートで皇宮に戻る。するとアミーナとロンが慌ててこちらに来た。
「ユリア様～どちらにいらっしゃったんですか？　探したんですよ⁉」
「ど、どうしたの？　アミーナ？」
　私を見るなり抱き締めてくるアミーナに驚いてしまう。何事だろうか？
　するとロンは陛下に手紙らしき物を見せてきた。
「今、アース王国のに行かせている監視下から手紙が。アース王国に不穏な気配があるとのことです。あのユリア様を嵌めようとした第一王子と男爵令嬢のセレア嬢が拉致されたそうです。そして捕まった犯人の一人が自分がエミリアン帝国の人間で陛下とユリア様に命令されたと言い張っているそうです」
「はぁっ？　何だって⁉　どういうことだ？﹂
　エミリアン帝国ですって⁉　しかも第一王子とセレアって……。
　この身体の本当の持ち主が婚約破棄の原因を作った張本人達じゃない⁉　何で、それで拉致したのが私達になるのよ⁉
「それが良く分からず。ただアース王国の王は、その事で話し合いをしたいと申しております。拉致されたのが第一王子なので、国際問題になりかねません」
「何故だ？　あの男の愚行でユリアが婚約破棄されたのだぞ？　やってはいないが、こちら側が恨まれても仕方がない事をしておいて、国際問題になるのはおかしいだろう？」
「そうなのですが、第一王子は唯一の一人息子で、次の後継者が居ない状態です。他の親戚は女性ばかりなので。再教育させる予定の時に拉致にされたとかで、王室も慌てているみたいです」