転生したら悪役令嬢になるが、隣国の極悪非道な皇帝に嫁いだら実はただのツンデレでした。

第一章・転生したら妻にされて⁉ 9

　黒髪で緑色の目付きの鋭い眼差し。鼻筋が通って顔立ちは整っている。そこら辺の芸能人よりも、かなりのイケメン。しかし黒色で騎士みたいな服に黒いマント。
　オーラは確かに極悪非道な雰囲気を漂わしていた。例えるなら魔王……そんな感じだった。
「うわぁ～まさに極悪非道」
　私よりアミーナがボソッと口に出していた。アミーナ⁉　
　だから余計なこと言わないで。私は、慌てて教えられたようにドレスを広げ、頭を下げた。
「陛下。ユリア・アース公爵令嬢をお連れしました」
　ロバートって人が紹介をする。するとアディ皇帝陛下は、ため息を吐いたように呟いた。
「顔を上げろ。よく来たな。さぞかし悲痛な思いで来たのだろうな？」
　はぁっ？　悲痛な思いで来た？
　思いがけない言葉に思わず顔を上げた。せっかく来た人に対する態度？　それか？
　すると鋭い目付きで私をジロッと睨み付けてくる。その目付きの悪さに思わずビクッと肩が震える。な、何よ？　睨まなくてもいいじゃない⁉
　ビクビクしていると、その皇帝って男はフッと笑う。
「嫁としてここに来たけど残念だったな。利益のために貴様を受け入れたが、俺は貴様を嫁として接する気もないし、愛の言葉を囁くつもりもベッドで抱くこともしない。今までのような生活を送れると思うな。貴様は、あくまでも名だけの皇后だ」
　はぁっー⁉　じゃあ、何で婚約を申し込んだのよ⁉
　陛下の言葉に唖然とする。話が違うじゃないのよ……それ？　なら何で私を選んだの？　意味分からないし。
　それに私は嫁としてここに来たつもりだ。それなのに、あんな具体的に言わなくてもいいじゃないのよ。
「それは話と違います。私は国を守るために、あなたと嫁いだ訳で。あなたの言いなりになった訳ではありませんから」
　あまりにもムカついたので言い返してしまった。アミーナもロバートという人も慌てる。しかし陛下は睨み付けたままだ。
「フン。いいなりになった訳ではないか。さすが悪役令嬢と言われただけはあるな？　いい度胸だ。なら、いいなりにさせるまでだ。俺が徹底的にな！」
「まぁ、ご冗談を」