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番外編・皇太子の憂鬱(レイヴァン視点)4
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「誰だ? 出て来い」
声の正体を探ろうと慌てて周りを見る。しかし私が居るだけで誰も居ない。
変だな……? 気のせいか?
私はそう思い椅子に腰掛け直そうとすると、また頭の中で声が聞こえてきた。
『探しても居る訳ないだろう。私は貴様の頭の中から話しかけているのに』
ぞわっと背筋から寒気がした。な、何だ? 私の頭の中?
訳が分からなかったが、確かに声が聞こえてきた。低く男性の声だった。
「君は……誰だ?」
魔法で声を操っているのか? それとも……ただ姿を隠しているだけなのか?
『随分と疑い深いな? まぁ、そうじゃないと皇太子は務まらないが。だが、そうならもっと、早い段階でレイナって女から離れるべきだったな』
「そ、それは、どういう意味だ⁉」
何故そこでレイナの名が? いや……それよりも。
その瞬間だった。激しい頭痛が私を襲ってきた。頭が……割れる。
「ぐっ……うわぁっ……」
頭を抱えて悶え苦しむ。痛い……。
しかし、霧になっていた頭の中が少しずつ晴れて行くのが分かった。意識がハッキリとしていく。私は……?
『あの女の『魅了』に多少でも抵抗が出来た事は褒めてやる。過去の気持ちが影響されたのかもしれないな。しかし、これぐらいの事で惑わされるとは情けない男だ』
皇太子の私に無礼を言う声の主。だが……何だか懐かしくもあった。何処かで聞いた事があるような?
「名前を名乗れ」
『名乗らせる前に貴様から名乗るのが礼儀だろう? 私は貴様よりは立場が上だ』
「はあっ? 私は皇太子だぞ」
『だから、どうした?』
明らかに皇太子の私より偉そうだ。思わずムッとした。
だが黙っていると、本当に向こうから名乗ろうとしない。仕方がないので諦めて私から名乗る事にしよう。
「私はアルセント帝国の皇太子。レイ……」
『あ、やっぱりいい。知っているし、わざわざ聞くのが面倒くさい』
はぁっ? 自分から言っておいて。 余計に腹が立ってきた。一体何なんだ?
声の正体を探ろうと慌てて周りを見る。しかし私が居るだけで誰も居ない。
変だな……? 気のせいか?
私はそう思い椅子に腰掛け直そうとすると、また頭の中で声が聞こえてきた。
『探しても居る訳ないだろう。私は貴様の頭の中から話しかけているのに』
ぞわっと背筋から寒気がした。な、何だ? 私の頭の中?
訳が分からなかったが、確かに声が聞こえてきた。低く男性の声だった。
「君は……誰だ?」
魔法で声を操っているのか? それとも……ただ姿を隠しているだけなのか?
『随分と疑い深いな? まぁ、そうじゃないと皇太子は務まらないが。だが、そうならもっと、早い段階でレイナって女から離れるべきだったな』
「そ、それは、どういう意味だ⁉」
何故そこでレイナの名が? いや……それよりも。
その瞬間だった。激しい頭痛が私を襲ってきた。頭が……割れる。
「ぐっ……うわぁっ……」
頭を抱えて悶え苦しむ。痛い……。
しかし、霧になっていた頭の中が少しずつ晴れて行くのが分かった。意識がハッキリとしていく。私は……?
『あの女の『魅了』に多少でも抵抗が出来た事は褒めてやる。過去の気持ちが影響されたのかもしれないな。しかし、これぐらいの事で惑わされるとは情けない男だ』
皇太子の私に無礼を言う声の主。だが……何だか懐かしくもあった。何処かで聞いた事があるような?
「名前を名乗れ」
『名乗らせる前に貴様から名乗るのが礼儀だろう? 私は貴様よりは立場が上だ』
「はあっ? 私は皇太子だぞ」
『だから、どうした?』
明らかに皇太子の私より偉そうだ。思わずムッとした。
だが黙っていると、本当に向こうから名乗ろうとしない。仕方がないので諦めて私から名乗る事にしよう。
「私はアルセント帝国の皇太子。レイ……」
『あ、やっぱりいい。知っているし、わざわざ聞くのが面倒くさい』
はぁっ? 自分から言っておいて。 余計に腹が立ってきた。一体何なんだ?
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