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第八章・皇女・クリスティーナ。16
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私も気にしていると、クリスティーナはジッとレイヴァン様を見る。するとニコニコと笑い始めた。
「うっ……キャハッ……ぱあぱ」と言いながら。
あっ……ちゃんと言えたわ。パパって……。
レイヴァン様を見ると、嬉しそうに私の顔を見てきた。 そして嚙み締めるようにクリスティーナのおでこにキスを落とした。
「ああ、そうだ。パパだぞ。我が愛しき娘よ」
その姿は理想の父親と娘そのものだった。私はその姿を見て胸がいっぱいになる。
父親としてレイヴァン様を選んでくれたのも嬉しい限りだが、何より理想としていた家族の姿だったからだ。いつか……レイヴァン様とそうなりたい。
婚約者として選ばれ、大人になりにつれ思い描いていた光景。一時はレイナ様が現れ、その夢が消え去りそうになったが、まだ諦め切れなかった。
それが今、現実になっているのだから感情もひと際だ。クリスの出産の時は、それどころではなかったもの。
クリスの時は喋り出した事への驚きと、状況が状況だったから感情がなかなか追いつかなかった。もちろん我が子を抱けた事は喜びだったが。
レイヴァン様の事情を聞いたのも、その時だったから仕方がないだろう。でも今は落ち着いて、この子の誕生を実感が出来るので余計にそう思えるのだろうと思った。
まぁ、予想外の出産経験をしたが……。
まさか山小屋で出産するとは誰も思わなかっただろう。まだ五ヶ月目だったし。思わない事態に驚いたが、これはこれで語り継がれていくのだろう。
あ、そういえばメアリー夫人にお礼を言わないと。今回はメアリー夫人に手を貸してもらった。夫人が居なかったら危なかっただろう。
「あの……メアリー夫人。聞こえますか? 手を貸して下さり、ありがとうございました。お陰で助かりました」
寝そべったままで失礼だと思ったが、出産で体力を使い果たしたので起き上がる事もままならない。それでも何とかしてお礼を伝えたかった。
「私からもありがとうございました。アドバイスのお陰で娘を無事に取り上げる事が出来ました」
レイヴァン様も何処で見ているか分からない夫人に向けて頭を下げてお礼を言ってくれた。大事そうにクリスティーナを抱きながら。すると何処からか声が。
「うっ……キャハッ……ぱあぱ」と言いながら。
あっ……ちゃんと言えたわ。パパって……。
レイヴァン様を見ると、嬉しそうに私の顔を見てきた。 そして嚙み締めるようにクリスティーナのおでこにキスを落とした。
「ああ、そうだ。パパだぞ。我が愛しき娘よ」
その姿は理想の父親と娘そのものだった。私はその姿を見て胸がいっぱいになる。
父親としてレイヴァン様を選んでくれたのも嬉しい限りだが、何より理想としていた家族の姿だったからだ。いつか……レイヴァン様とそうなりたい。
婚約者として選ばれ、大人になりにつれ思い描いていた光景。一時はレイナ様が現れ、その夢が消え去りそうになったが、まだ諦め切れなかった。
それが今、現実になっているのだから感情もひと際だ。クリスの出産の時は、それどころではなかったもの。
クリスの時は喋り出した事への驚きと、状況が状況だったから感情がなかなか追いつかなかった。もちろん我が子を抱けた事は喜びだったが。
レイヴァン様の事情を聞いたのも、その時だったから仕方がないだろう。でも今は落ち着いて、この子の誕生を実感が出来るので余計にそう思えるのだろうと思った。
まぁ、予想外の出産経験をしたが……。
まさか山小屋で出産するとは誰も思わなかっただろう。まだ五ヶ月目だったし。思わない事態に驚いたが、これはこれで語り継がれていくのだろう。
あ、そういえばメアリー夫人にお礼を言わないと。今回はメアリー夫人に手を貸してもらった。夫人が居なかったら危なかっただろう。
「あの……メアリー夫人。聞こえますか? 手を貸して下さり、ありがとうございました。お陰で助かりました」
寝そべったままで失礼だと思ったが、出産で体力を使い果たしたので起き上がる事もままならない。それでも何とかしてお礼を伝えたかった。
「私からもありがとうございました。アドバイスのお陰で娘を無事に取り上げる事が出来ました」
レイヴァン様も何処で見ているか分からない夫人に向けて頭を下げてお礼を言ってくれた。大事そうにクリスティーナを抱きながら。すると何処からか声が。
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