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第八章・皇女・クリスティーナ。12

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「大丈夫ですわ。すぐ近くにあるので」
 お手洗いに行きたいと言うのも恥ずかしいのに、一緒に来てもらうのも何だか悪い。それに恥ずかしい。すぐ近くにあるはずなので一人で行けると言い断る事にした。
「では行ってきます」と言い、私は身重な身体を気にかけながら小屋に向かう事に。
 小屋は歩いて五分ぐらいの距離にある。足元に気をつけながら歩いていると、ある事に気づいた。あれ……? 私のお腹、何か大きくなってない?
 五ヶ月目なのでふっくらしてきたが、それにしてはサイズが変化したような気がする。気のせいかしら? そう思いながら歩いていると、小屋が見えてきた。
 良かった、道は間違えていなかったようね。
 私はドアを開けて中に入る事にする。誰でも出入りが出来るようにドアに鍵はかかっていない。小屋の中はキッチンとテーブル、そしてベッドのみ。トイレはあるがお風呂とかはない。私はトイレに入ろうとドアノブに手を伸ばした。
 すると、その時だった。腹部に激しい痛みが走ると、その瞬間お腹が見る見るうちに大きくなっていく。あっという間に臨月のお腹に。
「きゃあ、これは……どういうこと!?」
 私は啞然とする。こんな短時間で急にお腹が大きくなるはずがない。だとすると、これはどういう事だろうか? 必死に状況を整理させていく。
 すると、ある事に思い出す。そういえばクリスティーナは予想外の行動をしてくるから気をつけろとクリスが言っていたわ。まさか……クリスティーナがやったの?
 まさか……と思ったが、そう考えた方が納得はいく。それよりも、さっきより痛みが増してきた。これは……。
 その瞬間だった。痛みと共に破水してしまう。ど、どうしよう……生まれる。
 とにかくこの状況をレイヴァン様達に伝えないと。そう思い玄関のドアに向かおうとする。しかし、途中で激しい痛みで動けなくなっていた。これだと外に出て歩くのもままならない。レイヴァン様か、クリスが気づいてくれるまで待つしかない。
 そ、外は無理でも……せめてベッドのところに。少し痛みが引いた時に近くのベッドまで向かった。十分に来る痛みだったが、二度目の出産だったため思ったよりも冷静だ。しかし状況が状況に、このままという訳にはいかない。痛みも増すばかり。
 何とかして二人に連絡を……。その時だった。
 バタバタとクリスを抱きかかえたレイヴァン様が小屋の中に入って来た。
「エルザ大丈夫か!?」と言いながら。えっ……レイヴァン様!?
 私は驚いていると、すぐに状況判断したレイヴァン様は慌て出す。
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