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第八章・皇女・クリスティーナ。9

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「何だと!? それはどういう意味だ?」と怒るレイヴァン様だった。
 しかし、私はある事に気づく。だとしたらリーゼロッテ卿はどうなのだろうか?
 レイヴァン様が前皇帝だとしたら、彼女は誰に生まれ変わったのかしら? もしかして……と淡い期待を抱く。
「じゃあ、リーゼロッテ卿は誰に生まれ変わったのかしら?」
 私は気になり聞いて見る事に。しかしクリスはため息を吐いた。
「さあな。私も気になりリーゼのマナを探したが見つからない。まだ生まれ変わってないのかもしれないが。彼女にはメアリー夫人のように加護を授けて、私共に天界に住もうと誘ったのだが断られた。自分は騎士として死にたいからと……」
「……そうなの」
 もしかしたら自分では? と思ったのだが違ったみたいだ。残念だと思ったが、それなら何処で居るのだろうか?
 クリスの言う通りにまだ生まれ変わっていないのだろうか?
 クリスを見ると少し寂しそうな表情をしていた。本当は会いたいのだろう。
 死んでもなお、生まれ変わって再会が出来たのなら素敵な事なのに。
「しかし、そこでエルザがリーゼロッテ卿の生まれ変わりだったら面白かったのにな」
 レイヴァン様が同じ事を考えて発言をしてきた。それは私も思ったわ。
 私とレイヴァン様は残念と言っていると、クリスがあっさりと
『リーゼではないが、母上はメアリー夫人の生まれ変わりでもあるぞ?』
と言ってきた。えぇっ!? 私とレイヴァン様は驚いてしまう。
「でも、メアリー夫人は天界にいらっしゃるわよ?」
『メアリー夫人の魂は記憶を持った方と記憶を持っていない方で半分こしたんだ。君主が。クリスティーナの母親もメアリー夫人がいいと思ったらしいが、今は自分が憑依出来る状態じゃないし、他の男に任せるのも嫉妬して嫌だったからメアリー夫人に相談して仕方がなく魂を分裂させる事にしたらしい。まぁ、母上やメアリー夫人みたいな清らかで聡明な女性が、また産まれるか分からなかったからでもあるらしいが。その影響もあってか、母上はマナも容姿もよく似ている。同じサファード一族の血縁関係だからの問題だけではない。性格も似ているしな』
 私が……メアリー夫人の片方の生まれ変わりだったとは……。だから、会った時に懐かしく感じたのね。今更ながら納得をする。
『離れるのが嫌で、仕方がなくメアリー夫人の魂を分裂した』ってところが若干複雑な気持ちになるが、だからこそ私が存在したのかもしれない。
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