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第六章・次期皇太子はドS!? 20

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 陛下がもともと転生者で爵位を持たないレイナ様を皇妃と認めるには皇妃教育を終了させてからと宣言したのが問題になっていた。
 周りにはレイナ様を崇拝する信者達や聖皇丁がそれを批判し、早く皇妃にしろと騒いでいるらしい。それに対して帝国がそんなやり方では他国に示しがつかないと反対する者まで現れ分裂してしまったとか。
 もう国のほとんどがレイナ様についているのだと思っていた私はその事態に驚いた。
 レイヴァン様の話によると『魅了』の能力には限界があるらしく、マナが人並み以上強いレイナ様でも能力の発動範囲は周辺のみ。敷地内程度らしい。
 クリスの考えでは、神でもないのだから当然らしい。つまり『魅了』の能力でおかしくなっている周辺を除けば、あとはいくらでも状況を変えられる。
「そろそろ即位式を引き延ばすのも限界になってきた。これ以上延ばすと逆に怪しまれるし、強行に出るかもしれない。それに民や貴族達の不安も煽るだけだ」
「……そうですね。覚悟を決めないと」
 いつまでもレイヴァン様を皇太子のままにする訳にはいかない。それでもなくても陛下が病に伏せていて不安になっている最中なのだから。私は目をギュッとつぶる。
「クリス。何処までマナが溜まりましたか?」
『順調に溜まっている。皇族の血も引いているからな。もともとのマナの量も多い。いつでも行けるぞ』
 私の言葉の意味を理解したのか、クリスはニヤリと笑う。
「そう……なら決戦は来月の始めに致しましょう」
 決戦は早めの方がいい。せめて皇帝陛下が生きている内に。
『あぁ、いい考えだ……母上』
「大丈夫か? そんなに早急に決めて」
 クリスはその気になってくれたが、レイヴァン様は早急に決断を出したため不安そうな表情になっていた。不安になるのも分かる。しかし、この数年で多くの事を学んだ。婚約破棄に陰謀。そして時の神・クロノス様のこと。
 何よりレイヴァン様の本心が聞く事が出来た。
 レイナ様が現れてから不安に押し潰されそうになっていた。自分に自信が持てなくなってしまい、嫉妬をしていないと言えば嘘になる。汚名を着せられ婚約破棄をされた時は絶望したものだ。だが、クリスティーナやクリスの存在を知る事で隠された事情を知る事に。それは……サファード一族の運命を変えるものだった。
 だとしたら、私はサファード一族の誇りを受け継がないとならない。
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