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第六章・次期皇太子はドS!? 16

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お陰で会った時に父親だと認識されてなかったではないか」
 そういえばそうだったわね。しかしクリスは平常心だった。
『当然だろう。父親が代わるかもしれないのだ。わざわざ教える必要性はないだろう』
「だからクリスティーナの父親も私だ。それしか考えられない。それを含めて教えるべきだったのだ」
『分かった……仕方があるまい。今度クリスティーナには父親の事を教えといてやるとしよう。別の男をな』
「貴様……」
 クリスがわざと挑発してからかうものだから、レイヴァン様は怒り心頭だった。
 顔を真っ赤にさせて手がぶるぶると震えている。
 クリスったら……もう。
 どうも息子は父親をからかうのが趣味のようだ。完全にわざと怒らせるような発言ばかりしている。始めは私にしてきた事の制裁だと思っていたが、この勝ち誇った顔を見ると楽しんでやっているようだ。母乳を飲みながら、口元はニヤリと笑っていた。
「私も性格がいい方ではないが、コイツよりはマシだと思うぞ」
 まあ、確かに。彼はなかなかの毒舌家だろう。
 悔しながらも相手が赤ん坊のため、必死に我慢しているレイヴァン様の姿を見て苦笑いする。
 するとクリスは飲み終わったのか唇から乳頭を離す。 私はすぐさま背中を擦りゲップをさせた。するとお腹が満腹になり気を良くしたのか自分から話しかけてきた。
『そういえば二人共、クリスティーナの他にメアリー夫人にも会ったそうだな?』
「あぁ、会ったぞ。エルザ似の綺麗な女性だった」
『そうか。今は私が不在しているため彼女が代わりに門番とクリスティーナの世話をしてもらっているが、本来なら我が君主の傍に寄り添っている。上品で誰に対してもお優しく、思慮深い立派なお方だ。おの偽聖女よりも聖女らしいだろうな』
 レイヴァン様の言葉にそう返すクリス。毒舌家の息子が褒める程とは。確かにメアリー夫人は他の夫人や令嬢に比べて上品で作法が美しい。
 それに私に似てなくてもお優しい雰囲気を出されているお方だ。
 しかし、気になるのは君主の傍に寄り添っている?
「メアリー夫人はご先祖様で何百年前に亡くなった方だけど、亡くなった方は無の空間を自由に行き来出来るの?」
『いや……亡くなった人間は天に召した後、次の世界で生まれ変わる。
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