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第六章・次期皇太子はドS!? 7

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『……私は母上のために言っているのだぞ?』
「それでもよ。二人は私を守ろうとしてくれたのでしょう? それが分かればいいの。これ以上レイヴァン様……あなたのお父様を責めるつもりはないわ」
「……エルザ!?」
 私の言葉に驚くレイヴァン様だった。
 確かに婚約破棄をされた時はショックだったけど、それは私を思ってやったこと。
 私はそれに対して怒りを抱かなかった。何よりレイヴァン様の心が私に離れて行かなかった事が何よりも嬉しいと思った。
 真っすぐとレイヴァン様を見るとニコッと微笑んだ。
「レイヴァン様。あなたを許します」
 理由が何であれ、私はこの方を責めるつもりはない。だって……心から愛した方だから。それは今でも変わらない。
 するとレイヴァン様の目尻には涙がこぼれ始める。
「本当に……すまなかった。エルザ」
「まあ、泣かないで下さいな」
 私はクスクスと笑いながらハンカチを差し出し、涙を拭いてあげた。
 きっと張り詰めていた糸が切れたのだろう。これでいい。
 本心が分かっただけでも、その意味はあったのだから
 クリスは呆れたようにため息を吐いていたが、両親はそれを見て微笑む。
 初めて家族になったのだと思えるひとときだった。

 その後。お父様とお母様は、そのまま帰宅する事に。どうせなら泊まって欲しかったが、世間では娘を亡くしたばかりになっている。
 そんな中で外泊となると、変に怪しまれるだろうからと断られる。でも、また会いに来てくれるとおっしゃってくれた。
 私はクリスを抱っこして。そしてレイヴァン様と一緒に両親が乗っている馬車を見送る。いざ離れると寂しくなるが仕方がない事だ。
 馬車は魔法石を使い瞬間移動して消えていく。私はチラッとレイヴァン様を見る。
「レイヴァン様もお戻りになられるのですか?」
「いや……今夜は泊まれる。そのために必要な仕事は終わらせてきた。それに多少遅れても問題はない。完璧にやると周りが即位を急かされるから、ある程度手を抜いて遅らせているからな」
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