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第六章・次期皇太子はドS!? 5
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その笑顔が何だか怖く感じる。するとその時だった。
「それは随分と私の事を悪く言っているようだな」
とレイヴァン様が応接間に入ってきた。えっ? どうして!?
私はクリスを抱き上げたまま、慌てて立ち上がる。お父様とお母様も
「あ、いや……そのままでいい。急な訪問失礼する。サファード公爵夫妻が娘に会いに行くと聞いて私も慌てて来たのだ」
「そのためにわざわざ!?」
皇太子なのに、そのためにわざわざ私の住んでいる邸宅に来てくれた事に驚く。
レイヴァン様が少し気まずそうに眉を下げていた。
心配して? それでも皇族が自ら両親が訪問した時に見計らって会いに来てくれるなんて普通なら考えられない事だ。
「……会いに来たのは……その……」
『どうした? 座って話したらどうだ? せっかく私が父上に教えてやったのだ。今日サファード公爵夫妻が来る事を』
クリスがそう言ってきた。えっ? クリスが教えたの!?
私と両親は驚いた表情をしながらクリスを見る。しかし本人はニヤリと笑っていた。
言われるがままお互いにソファーに座る事に。私とお母様は隣りの席に。
お父様は私達の後ろに立つ。そして、レイヴァン様は向かい側のソファーに座った。
すると真っ先にレイヴァン様が私達に申し訳なさそうに頭を下げてくる。
「今回の婚約破棄の事は本当にすまなかったと思っている。許してくれとは言わないが、私にチャンスが欲しい」
チャンス!? こんな私にチャンスを与える身分ではないのだが。
「えぇっ? 頭をお上げ下さい。そんな……チャンスだなんて、恐れ多い」
「いや……本当なら顔も見たくないのも当然なのだ。君を守るとはいえ深く傷つけたのは事実だ」
「……それは」
確かに傷ついたのは事実だった。どうして私がこんな目に?
私が何をしたのだろうかと悩んだ事は数えるほどあった。今でも思い出すと涙が出そうになる。
しゅんと落ち込むレイヴァン様の姿を目にする。あんなに自信満々に私を蔑んだ目で見ていた頃とは違う。するとクリスが半笑いする。
『ハッ。堂々と婚約破棄を言い出した身分で、相手に頭を下げるとは随分と面白い事をするものだな』
「それは随分と私の事を悪く言っているようだな」
とレイヴァン様が応接間に入ってきた。えっ? どうして!?
私はクリスを抱き上げたまま、慌てて立ち上がる。お父様とお母様も
「あ、いや……そのままでいい。急な訪問失礼する。サファード公爵夫妻が娘に会いに行くと聞いて私も慌てて来たのだ」
「そのためにわざわざ!?」
皇太子なのに、そのためにわざわざ私の住んでいる邸宅に来てくれた事に驚く。
レイヴァン様が少し気まずそうに眉を下げていた。
心配して? それでも皇族が自ら両親が訪問した時に見計らって会いに来てくれるなんて普通なら考えられない事だ。
「……会いに来たのは……その……」
『どうした? 座って話したらどうだ? せっかく私が父上に教えてやったのだ。今日サファード公爵夫妻が来る事を』
クリスがそう言ってきた。えっ? クリスが教えたの!?
私と両親は驚いた表情をしながらクリスを見る。しかし本人はニヤリと笑っていた。
言われるがままお互いにソファーに座る事に。私とお母様は隣りの席に。
お父様は私達の後ろに立つ。そして、レイヴァン様は向かい側のソファーに座った。
すると真っ先にレイヴァン様が私達に申し訳なさそうに頭を下げてくる。
「今回の婚約破棄の事は本当にすまなかったと思っている。許してくれとは言わないが、私にチャンスが欲しい」
チャンス!? こんな私にチャンスを与える身分ではないのだが。
「えぇっ? 頭をお上げ下さい。そんな……チャンスだなんて、恐れ多い」
「いや……本当なら顔も見たくないのも当然なのだ。君を守るとはいえ深く傷つけたのは事実だ」
「……それは」
確かに傷ついたのは事実だった。どうして私がこんな目に?
私が何をしたのだろうかと悩んだ事は数えるほどあった。今でも思い出すと涙が出そうになる。
しゅんと落ち込むレイヴァン様の姿を目にする。あんなに自信満々に私を蔑んだ目で見ていた頃とは違う。するとクリスが半笑いする。
『ハッ。堂々と婚約破棄を言い出した身分で、相手に頭を下げるとは随分と面白い事をするものだな』
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