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第五章・運命の歯車が動き出す。2

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 その微笑みは、どこか余裕の表情で妖艶な雰囲気だった。ドキッと心臓が高鳴る。
 えっ……笑った!?
 すると、その時だった。バタバタと誰かが入ってくる。
「子供が生まれたって本当か!?」
「れ、レイヴァン様……」
 レイヴァン様が、わざわざ子供が生まれると分かると駆けつけてくれた。
 あっ……この場合はどうなるのだろう。男の子だったが、私と同じ能力を持っている。そうなると、どう扱われるのだろう?
 何よりレイヴァン様は、何を考えているのだろうか。
 私は戸惑っていると、レイヴァン様は息を整えながらベッドの方まで来てくれた。他の侍女や助産婦を下がらせる。
「レイヴァン様」
「……この子か」
 すると息子の顔を見た途端、眉をひそめた。表情も自分の息子と初めて対面するとは思えないほど冷たい。まさか……良くない事を考えているの!?
 だとしたら止めなくちゃあ。慌てて息子を守ろうとする。すると、その時だった。
「……やっと生まれたか。クリス。遅いぞ」
『仕方がなかろう。早く産まれたら、未熟児過ぎてこの身体が持たない』
「まったく……私がどれほど待った事か」
 やれやれと、ため息混じりに言うレイヴァン様。えっ……?
 止めるはずが、二人の言葉に驚いてしまった。今、二人が会話したの?
 正確には息子の方は会話というより、テレパシーのように脳内に響いてきた。それに、レイヴァン様が反応して話しかけているようだった。
 こんな産まれたばかりの赤ん坊がテレパシーの形で話せるのも驚きだが、その知性にも驚かされる。それに、この赤ん坊とは思えない低く大人っぽい口調。何処かで聞いた事があるような気がする。何処だったかしら?
 うっ……。すると頭痛が。
「エルザ!? 大丈夫か?」
 私の異変に気づいたレイヴァン様は慌てる。
『……説明が出来るまで私達の会った記憶を消していたから、その反動だろう。母上の記憶を元に戻すとしよう』
 息子はそう言うと、私の手を触れる。すると、消えてしまった記憶が鮮明に思い出す。
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