婚約破棄された悪役令嬢は聖母になりました。(番外編完結済み）

第四章・隠された違和感。1

　その日は頭痛が酷くなり、それ以上考えられなかった。しかし、それから一ヶ月後。
　しかし違和感は、さらに膨らませるばかりだった。
　あの日からレイヴァン様は、まだお見えになっていないのだが贈り物が届くように。
　装飾品はもちろんなのだが、花束や本、有名デザイナーがデザインしたドレスまで。
「エルザ様。こちら殿下からの贈り物でございます。有名デザイナーのルモンド・ドーランがデザインしたドレスでございます」
「こちらは、そのドレスに合った宝石と靴でございます」
　えぇっ！？　ルモンド・ドーランって、あのなかなか予約が取れないと有名なデザイナーだ。本人も職人気質で気に入らないと断るとも言われている。
　皇族の依頼なら断らないだろうけど……。
「とても素敵なデザインなんですよ。是非とも着替えてみて下さいませ」
「えっ……えぇ、そうね」
　目をキラキラさせてルル達が言ってくるので、言われるがまま着替えてみる。
「まあ、素敵ですわ。華やかの上でエレガント。まさにエルザ様のために作られたかのようですわ」
「確かにデザインが素敵だわ」
　黒のドレスなのだが、薔薇がデザインされている。派手過ぎず上品なデザインになっていた。それに生地は軽く上等なモノだろう。
　しかし、どちらかといえばパーティードレスだと思うのだが。
　このドレスを社交界パーティーなどに着ていけば令嬢達の話題の的になるだろう。
　だが、婚約破棄されて幽閉の身となった私は社交界など行けるはずはない。
　なのに、このドレスを送ってくれたのは何故なのだろう？
　今までも何度かドレスを頂いた事はある。普段のドレスは候補ながらも皇妃としての支給されている費用から注文したりしていた。
　だが大きなパーティーなどは、レイヴァン様から贈り物として頂いていた。今回もそんな感じなのだろうか？　パーティーなんて……行かないのに。
　もともとパーティーや令嬢達とのお茶会は好きではなかった。自慢話に人の悪口や噂話。それにレイナ様関係で私に対する風当たりは厳しかった。
　それに行かなくなりホッとする自分も居た事にも驚きだがこれは、どういう意味か分からない。