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第二章・レイナ嬢の思惑。9

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 個室になっており豪華なソファーが置いてある。
 ステージが一望出来る最高の特等席だ。私は、レイヴァン様の隣に座りお芝居を見る。今回のお芝居は、恋愛ものだった。
 一国の皇女が身分の低い商人と恋に落ちて駆け落ちをする。しかし悲しい事に陰謀と商人の裏切り。そこで芽生える本当の愛とは? 
 お芝居を見ていると何故だか主人公である皇女と商人に感情移入してしまう。そこまでして皇女を手に入れたかった商人……いや。敵国の皇子。愛を選んだ皇女。
 まるで自分を見ているような錯覚になる。私がこの主人公の皇女だったら、そこまでしてでもレイヴァン様を選んだだろうか? レイヴァン様も私をそこまでして手に入れたいと思ってくれただろうか?
 ハンカチで涙を拭きながらチラッと隣を見る。レイヴァン様は、無表情でジッとお芝居を見つめていた。集中している。退屈そうにしているのかと思っていたから意外だった。どう感じているのだろうか?
 でもレイヴァン様は、商人にみたいな気持ちにはならないだろう。私の事をそこまでして愛してくれるとは思えないから。そう思い直すと悲しい気持ちになった。
 すると、また私に気づかれてしまう。
「どうしたんだ?」
「あっ……いえ。何も」
 私は、慌てて目線を逸らすと下を向いた。ジッと見ていた事を気づかれて恥ずかしいが、それよりも胸の辺りがチクチクして痛い。自分の言葉に傷ついたのかもしれない。すると、その時だった。
 レイヴァン様は、私の手を握ってきた。驚いて見る。レイヴァン様は、目を向いたこちらを見ようともしない。しかし恋人繋ぎように指を絡めてくる。
 指先から伝わってくるあたたかい体温。ドキドキと心臓の振動も伝わりそうだった。
 どうして手を繋いできたのか分からない。だが、その行為が嬉しいと思う。
 まるでレイヴァン様も同じ気持ちでいるのではないかと錯覚を起こしそうになるほどに二人だけの空間になった。芝居が終わり私達は外に出る。辺りは暗くなっていた。
「この後は、どうしましようか?」
「それなら食事をすると……」
 レイヴァン様が何か言いかけた時、遠くの方から大きなが聞こえてきた。
「レイヴァン様~」
 甘ったるい声で呼ぶ声は……。
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