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第一章・悪役令嬢。1

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 私達が住んでいるアルセント帝国は、魔法国の中でも大きく騎士や魔導師の育成や商人の買付けなどが盛んなところだ。自然も豊かだと言われている。
 アルセント皇族は、もっとも膨大なマナを持っており、権力と実力はトップクラス。それに続くのが貴族なのだが、この国の守護神であり、我がサファード公爵家は別格だった。サファード一族は、時の神・クロノスの加護を受けている。
 その力は、時を止めるほど強力。代々サファード一族の血を引く女性が受け継がれてきた。
 そのため皇族としても、その力を欲しがり血を受け継いだ女性との婚姻を申し込んできた。しかしサファード一族は、その力を手にした皇族の影響力を恐れ断り続けてきた。
 皇族も公爵家であり、別格の能力と権力を持っているため強引に出れない。
 だが、何年かぶりにサファード一族に女の子が産まれた事で話し合われ、両者とも納得の上で婚約が決まった。
 その女の子であり、サファード公爵家の一人娘が私、エルザ・サファード。
 婚約者であり、次期皇帝陛下と噂される皇太子・レイヴァン・アルセント様との出会いだった。
 私がレイヴァン様にお会いしたのは五歳の頃。お父様に皇宮に連れて来られた時。初めて見るレイヴァン様は、とても美しい少年だった。
 皇族しか現れないという美しい白銀の髪。グレーの瞳。透き通るような白い肌。
 そう……まるで天使が舞い降りてきたのかと思うほどに輝いて見えた。
 その姿を目にした時、何故か気持ちが高ぶり、どうしようもなく涙が溢れてきたのは、今でもハッキリと覚えている。
 だが、その天使みたいな美少年に出会う事で、自分の人生が大きく左右されるなんて、この時は夢にも思わなかった……。

 私達は、あれから十数年の月日が過ぎ『魔導育成アカデミー』の高等科に進学する。このアカデミーは魔法、剣術、教養などが学べる。
 婚約者として恥じないように日々教養と技術、そして社交界としてのマナーを頑張って学んできたはずだった。しかし、ある聖女が編入してからその関係は変わっていく。
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