国王陛下に溺愛されて～メイド騎士の攻防戦～

第一章・メイド騎士の日常。1

　私の国・ギルス王国は、あちらこちらにある王国の中でも、もっとも大きく山や海などが盛んで街は活気に満ち溢れていた。
　しかし国が多いと、自分の国にしようとする他国に狙われやすくなる。
　そのため、国では戦力を育てるために貴族だけではなく、孤児も騎士として多く育てていた。私もその一人。努力をして短剣の使い手として女騎士になった。
　それは国を守るためでもあるが、このお方のためでもあった。
　国王であるルチアーノ・ギルス陛下。愛称はルチア様。
　父親である前国王が亡くなったため、二十二歳の若さで国王になった。
　美しい金髪に碧眼。透き通るような白い肌。端正な顔立ちで、世の女性達は虜になるぐらいの美形。
　しかも強い上にそのカリスマ性で他の国からも一目置かれ多くの民からも慕われており人望も厚い。しかし命を狙われることも多いため、専属のボディーガードをほしがっていた。
　私は、数多くの応募から奇跡的に勝ち残り国王の専属ボディーガードになった。
　そして敵を油断させるためにメイドに変装し陰ながらお守りする役目。
……のはずだった。しかし、働いてそばに居るうちにルチア様の性格を知ることに。
　いや、隠してもいないし、私達が勝手に美化し過ぎたのかもしれない。

　朝の眩しい光りで目を覚ました。眠い目を擦りながら起き上がろうとしたら、抱き締められている事に気づく。うん？　まさか。
　私は、もう一度目を擦りながら見てみるとルチア様が隣で寝ているではないか。
　しかも裸で。私は驚いて悲鳴と共に慌てて起き上がる。
　ルチア様⁉　するとルチア様は、その悲鳴に気づき目を覚ました。眠い目を擦りながら。

「うーん。うるさいぞ？　アイリス」

　また布団の中に潜り込んでしまった。ちょっと陛下⁉
　だがハッと気づいた。自分の格好に。私は何も着ていなかった。生まれた姿のまま。
　私は慌てて近くにあったバスローブに着替えるとルチア様を叩き起こした。

「ちょっと、ルチア様。起きて下さい。また勝手に私を抱きましたね⁉」