既婚者に溺愛されて!?(エタニティ向け)

第八章・田所の恋事情。7

された。まさかお姉さんだったなんて。しかも末っ子で長男とは意外だ。
　女所帯だったのも驚きだが……。どうやら驚いたのは私だけではなかった。香奈子も驚いていた。
「あの……まさかお姉さんだったとは驚きました」
「あぁ言って無かったからね。こちらこそ…ごめん」
　田所さんは素直に謝罪をする。つまり香奈子は昔の私と同じで、早とちりをした訳だ。なんとも紛らわしい。
「いえ……こちらこそ勘違いだった訳ですし、すみませんでした」
「だから君は俺に気にする事なく付き合って欲しい」
　すると田所さんは間も空けずに香奈子に突然告白をしてきた。
……えっ？　今なんて？
「田所さん。今、なんて？」
　香奈子も私も驚きを隠せなかった。すると田所さんは、さらにニコッと微笑んでくる。　そしてもう一度口を開いた。
「香奈子ちゃん。俺と付き合ってくれないか？」
「でも、なんで……私なんかに？　本当に？」
　信じられない様子の香奈子は何度も聞き返す。私も信じられなかった。だって誤解を解けたと思ったら突然の告白なんだもの。そりゃあ驚くわよ⁉
「俺ね、人にあまり執着とかしなかったんだよね。性格的に他に対してもそうだけど興味が持てなかった。異性関係は姉が三人も居て色々苦労をさせられたり、裏を知ったりで適当に割り切って付き合うぐらいで丁度良かったんだ。最初から求めていないし新堂は、こだわりが強かったが」
　田所さん……。チラッと社長を見ると社長は黙ってそれを聞いていた。そういえば前にこだわりの強い社長に対して、冷めた感じて言ってたっけ。
　割り切って付き合えばいいのにとか。
「そうなんですか……なら何故？　私なんかを？」
「うん。最近新堂を見ていて影響されたのかな？　こだわるあいつの意味が今さら分かったような気がするんだよね。真っ直ぐに誰かを求める気持ちとか。新堂と夏希ちゃんの二人を見ていたら真剣に結婚や恋愛するのも悪くないなぁって」
　驚いた。田所さんは私達のことをそんな風に思っていてくれていたなんて。羨ましい関係かと言われたら微妙だけど……田所さんにとったら羨ましいらしい。
「もちろん。それだけではない。君は媚びないし、真っ直ぐ俺だけを見てくれる。