既婚者に溺愛されて!?(エタニティ向け)

第四章・マイペースな社長様。1

「社長早くして下さい。打ち合わせに間に合わなくなりますから」
「そう慌てるなって……夏希」
「社長のせいなんですが‼　早くして下さい。もう会社に行くより、そのまま○○株式社に行った方が早いです」
「あぁ、そうだな」
　遅刻にしそうになるし、それなのに社長はのんびりとしている。何で急がないといけないあなたが一番のんびりしているのよ⁉
　社長は、また私を抱いたりするから、そのせいで遅れそうになっているというのに。　　
　ああ、まったく。ブツブツと文句を言いながらも必死に間に合うように仕事を調節する。マイペースな社長を動かすのは一苦労だ。これが出来るのは私ぐらいだろうと思うからこそ、余計に世話を焼いてしまうのだろう。
　何とかスケジュールの調整は出来て、全ての仕事を終わす頃は出来た。

　帰る頃にはヘトヘトになっていた。ハァッ……今日も疲れた。そう思いながら電車に乗って帰宅中。降りる間際で電話のバイブが鳴った。
　もう……誰かしら？　と思いながら着信を見ると、相手は意外な人物だった。
　田所さん⁉　そういえば、番号の交換をしていたわね。慌てて電車から降りてホームの隅に行くと電話をかけ直す。
「もしもし」
『あ、夏希ちゃん。 今大丈夫？』
「はい。大丈夫ですが……あの、それよりも」
　手料理のことを田所様に話した。文句も兼ねて………しかし大笑いされる。
『アハハッ……ごめん、ごめん。ちょっと気合いを入れてやるつもりが違う所で気合いが入っちゃったかな？』
「笑い過ぎです。誰のせいで大変なことになったんですか⁉﹂
　もう……こっちは、振り回されてるというのに。社長みたいにお気楽な。ムスッとしていると田所さんは、まだクスクスと笑っている。
『まぁまぁ。でも、どうだった？　少しは新堂を社長ではなくて男として見れたか？」
　と、そんなことを聞いてきた。