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第三章。社長の友人。10

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食べて番号交換したらしいな」
 うっ……と言葉に詰まる。ちょっと田所さんったら、何でわざわざ社長に話しちゃうのよ⁉ そんなこと話したら変な誤解をされちゃうじゃない。
「それは……たまたま同級生の結婚式に出席した時に偶然に会いまして……それで」
「それで何で、一緒に食事なんかするんだよ? あいつ自慢げに話してきたぞ。大体、連絡なんて俺が代わりにしてやるか。あいつの秘書に言えばいいだろう? そうではなくてもあれほど、俺以外の男と連絡を取り合うなと言ってあるのに……お前は」
 ブツブツと説教を言ってくるではないか。実は例え、取引先の連絡であっても社長は私に番号を教えるなとうるさい。仕事なら仕方がないと思うのだが?
「申し訳ありませんでした」
 何だか理不尽な言い分だけど謝るに越した事はない。だが、まだ納得がいかない様子の社長は眉間にシワを寄せる。
「大体さ~何で俺が食事に誘うと断るくせに田所ならいい訳? 納得がいかんぞ⁉」
 それは、あなたが下心を出すからです。しかも不倫を狙っているし。そんなのに行く訳がないじゃない。
「だったら、俺は夏希の手料理が食べたい」
 はい⁉ 突然何を言い出すんだ? この男は……。
 社長の突然の発言に唖然とする。
「あっちが外食なら、俺は夏希の手料理で勝負をする‼」
 いやいや、勝手に競わないで下さいよ⁉ 勝負って……何の勝負ですか?
 しかも何で、そこに私まで巻き込むの? 私に作れと言うのか?
「あの……社長。手料理と言われても困りますからね」
「何で? もしかして手料理に自信が無いのか?」
 はぁっ? 何よ……それ。その言い方にカチンと頭にくる。誰が作れないって?
 ただ社長の口に合うか分からないだけよ。
「失礼ですね。料理ぐらい作れますから」
「じゃあ、何も問題ないではないか? 君のアパートで作ってくれ」
「いや、ですから急に手料理と言われましても」
 その上アパートにあがるだなんて、とんでもないわ。絶対に襲われる。社長の性格からして……。
「ダメだ。俺は絶対に夏希の手料理が食べたい。じゃないと今日の仕事をストライキしてやる!」
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