執筆徒然日記

常森 楽

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夢の中を生きる

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0:00頃にベッドに入って眠りについても、3:00頃に目覚めてしまう。そこから、二度寝できる日もあればできない日もある。
彼女と別れた後からか、別れる直前あたりからか、そんな日がずっと続いていてる。
このことは、通っているメンタルクリニックの先生に話して、薬を処方してもらったんだけど、効果はほとんどない。
なんだか…すごく眠りが浅い。
そして、夢を見る。

彼女が家を出ていってから、既に彼女との夢を3回見た。
内容はほとんど覚えていない。
でも、1回目は、笑いながら目覚めたんだ。
何か、彼女がいつものように、天然に、変なことをやらかして、私がそれを笑う。
笑って、いつも通り、彼女を手伝うんだ。
2回目と3回目は、本当に、日常だったんだ。
家で、楽しく会話する。
ただそれだけだから、内容は覚えていない。

1回目の夢の時は「あれ…?夢か…」って、妙にリアルで笑みが溢れた。
でも2回目は、何も思わなかった。何も思わないことがどういうことか、わからなかった。
そしてさっき、3回目があった。最初は寝ぼけていたけれど、徐々に意識がハッキリすると、彼女がいないことに気づいて、涙が溢れた。
どっちが夢で、どっちが現実か…私は迷子になった。

楽しかったあの頃に戻りたい。
彼女が私を愛してくれている、大事にしてくれていると信じて疑わなかったあの頃に。
毎日が楽しくて、彼女さえいれば何でも楽しくて…そんな日々に、戻りたい。

よく「学生時代に戻りたい」なんてことを言う大人がいるけれど、私にはその感覚は一切なかった。
常に努力してきたし、常に生きるのに必死だったから、戻りたいだなんて一度も思ったことはなかった。
まして、中学生や高校生の時は、自分が努力していることにすら気づけていなかった。
「なんで努力できないんだ!?」って、ずっと自分を責め続けていた。
あんな苦しい時代には、絶対に戻りたくない。
大学の時は、親から解放されたけれど、虐待の過去と向き合っていたから、それはそれでやはり苦しかった。

でも、彼女に愛されていると、大切にされていると思えていた時は、本当に、人生で最高潮に幸せだった。
もちろん喧嘩もたくさんした。
でも、喧嘩のたびに仲が深まっていくような気がしていた。
…あの頃に、戻りたい。
ずっと夢の中に居続けたい。ずっと。

愛されているなんて勘違い、なんでしちゃったんだろう。
愛されているなんて1度も思わなければ、私はきっと、なんとなく楽しく人生を送れたのに。
親自身が精神的に子供で、和解したとは言え、愛情を感じたことは未だにない。
感謝している部分はたくさんある。
けれども、愛を感じたことなど、本当に一度もない。
一度でも、愛されていると勘違いしてしまったがために、より顕著に、親から、子供として、愛されていない…愛されていなかったんだと思い知らされた。
「私は、誰からも愛されない」
そんな呪いがかかって、上手く、体を動かせない。

私が今、普通に生活を送っているのは…むしろ、清潔感を保とうとしているのは、彼女から、もう一度愛されたいから…?
愛されていたと勘違いしていた空間を、維持しておきたいから?
でも脳は冷静で、必死に想いを断ち切ろうとしている。
だから、彼女との思い出の品々を捨てたり、しまい込んだりして、必死に空間を変えようとしている。
だって私が縋っているのは、彼女との思い出だ。

ずっと…ずっと…彼女がスマホにかじりつくようになってから、私はずっと、孤独だったじゃないか。
必死に仲を戻そうとしたけど、彼女にその気はなかった。
彼女は、逃げた。逃げ続けた。
私の親と同じように、私と向き合わなかった。
向き合わなくなった。

もう消えてしまいたい。
「あんたなんか産む予定じゃなかった」
母親が、そう言ったんだ。
「でも、できちゃったから、仕方なく産んだ」
私は、生まれるべきじゃなかったんだ。
父親が私を殺そうとした。
彼はそのことを覚えていない。
でも私はハッキリと、鮮明に、覚えている。
血がのぼって皮膚が真っ赤に染まり、少し顔が腫れ、目が血走って剥き出しになった、あの瞬間を。
私が消えても、世界は変わらない。
誰も、何も、変わらない。

ああ…やっと、まともに涙が出た。

かっこよくなくて、気持ち悪くて、応援する価値もない、愛されない人間なのだ。
私が泣いても、抱きしめてくれるような人間はいない。
…いや、いるかもしれない。
友人達は、たぶん、寄り添おうとしてくれている。
もしかしたら、私が泣けば、彼女たちは抱きしめてくれるのかもしれない。
世界は、そんなに敵ばかりじゃない。
それは、知っている。
でも、私にとっては、味方でもないのだ。
敵でも味方でもない。
そのなかで、まるで私は透明人間みたいで。

「本当の自分」とか、よく耳にするけど、本当の自分って何?
“本当”なんて存在しない。
私は…誰といても、いなくても、ずっと何かに気を使ってる。気を…張っている。
それが、私の素だ。

ああ、癒やされたい。
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