執筆徒然日記

常森 楽

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映画の結末と同じまま。

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彼女に別れを切り出した後、『花束みたいな恋をした』を見て、初めて俯瞰して自分達の関係性を見つめ直すことができて、まだ別れを告げたばかりだったから、一生懸命気持ちを伝えればまだやり直せるのかもしれないと思い、一生懸命話したのだけれど、彼女の「別れる」という選択は変わらなかった。

どれだけ一生懸命話しても、彼女は「なんか、講義聞いてるみたい」と言い、私の気持ちは一切伝わらなかった。
人生で一番一生懸命言葉を紡いだのに、伝わらなかった。
悲しいね。
昔、いじめられていた知的障害の子を、体を張って守った時のことを思い出す。
私はその子を、なんの利益もなく守っていたのに、私がいじめていると勘違いしたその子の母親が、私の母親に怒鳴り散らした。
怒鳴り散らされたことにパニックを起こした私の母親は、私の言葉など少しも聞かず、とにかく「謝れ」と繰り返した。
そういうことが、人生で何度もあった。
私の話を真剣に聞いてくれる大人など、周りにひとりもいなかった。
一生懸命伝えようとした。真実を。
でも、伝わらなかった。いつも。

だから言葉の勉強をした。
話が上手い人を観察し、心理を学び、何度もトライアンドエラーを繰り返した。
大人になると、あらゆる人が私の話を聞いてくれるようになった。
時には尊敬の眼差しを向けられることもあったし、私を散々虐げてきた両親も祖父母も、今では私を一番頼りにしているらしい。

自分が、無意識に相手をコントロールしようとしていることに気づいてからは、相手の考えを尊重するように意識し、自分勝手に相手をコントロールしないように意識し、相手と意見が異なった時、お互いの中間地点を探す努力をした。
中間地点を探す時も、自分の思い通りにコントロールしてしまっているのではないかと不安になり、いつも中間地点より少し相手側に寄せるように意識していた。
そうやって常に学び、常に意識を変える努力をし、行動にも移してきた。
その全て…人生を懸けて努力してきた全てを、彼女に全身全霊でぶつけた。
でも、伝わらなかった。
「講義を聞いているみたい」と、私の気持ちは、何一つ伝わることはなかった。
一番大事な相手に全く伝わらないなら、今までの努力は一体なんだったのか。
絶望し、久しぶりに荒れ狂い、彼女との良い思い出を消し去るために、感情的に彼女との思い出の品を捨てた。

「もし私が死んだら、どう思う?」と彼女に聞いた。
そしたら彼女は「“良かったね”って思うと思う」って答えた。
「なぜ?」と聞いたら「苦しそうだから」と言われた。
苦しいのは、彼女から愛されなかったからなのに、“良かったね”なんて、なんて皮肉なんだろう。
愛されたかった。
私は、あなたに愛されたかった。
大事にされたかった。
最後まで…どこまでも、向き合い続けてほしかった。
彼女は、「自分なりに愛してた。大事にしていた」と言うんだろう。
じゃあ、なぜ、約束を破ったの?
なぜ、私の努力を否定したの?
なぜ、私に言えないような関係の人と会い、ラブレターまで受け取っていたの?
なぜ、最後の1年間、私と目を合わせてくれなくなったの?
スマホの画面ばかり夢中になって見て、なぜ、私のことを見なくなっていたの?
「これ以上あなたを傷つけたくなかったから」と言うのなら、傷つけないように向き合い続けてよ。
それだけが…向き合い続けてくれることだけが、愛の証明なはずなのに。

そして、死ぬ決心をした。
「この方法なら確実に死ねる」と、設計図まで書いたやり方で、私は実行した。

実行する前に、「本当に実行に移して後悔はないか?」って、将来を具体的に想像したんだ。
私はきっと、彼女以上の人に出会えない。
出会えたとしても、私はきっと彼女とその人を比較してしまう。
しかも、今の私はとてもじゃないけど人を信じられる状態にない。
人を全く信じられないということは、常に相手を疑うということで、それは相手にとても失礼だ。
そんな状態で、新しいパートナーを作ろうとは思えない。
仕事にやりがいを感じているわけでもない。
ボケが進み始めた祖母、体が衰え弱り始めた親…兄妹はいるが、遠くに住んでいて頼りにはあまりならないから、もし介護をするとなったら私がしなければいけないのかもしれないと思った。
無駄に正義感の強い私は、きっと見てみぬフリなどできない。
…私はこのまま、誰にも寄り添ってもらえず、孤独のまま、虐待してきた人達を介護しなければいけないのだろうか?
そう考えたら、絶望しかなかった。
だから、決行した。

恐怖心などなかった。
少しワクワクしていた。
やっとこの苦痛から逃れられる…。
誰からも愛されない苦痛から。
利用されるだけの人生から。
「死ぬ勇気があるくらいなら、生きろ」的なことを、よく耳にするけれど、勇気なんて別に必要ない。
親兄妹、元恋人、警察への遺書を書いたり、カミングアウトをしていなかったから元恋人をカミングアウトの道連れにしてしまうのは良くないと思い、恋人だったとわかりそうな物を処分したり、色々準備をしていたら、あっという間に決行予定時刻を過ぎていた。
「早くしなきゃ」とバタバタと部屋の中を駆け回り、体が腐敗しないように元恋人に早急に第一発見者になってもらえるように、準備した。
“第一発見者になってもらえるように”なんて、残酷かもしれないけれど、ずっとずっとずっとずっと尽くしてきた私の、最後のわがままだった。

念のために用意した睡眠薬を飲んで、ふらふらになりながら死ぬ準備をした。
「これで完璧。死んだら、この意識はどうなるのかな?こればっかりは、本当に死んでみないとわからないもんね。人生に悔いはないし、やり切ったし、普通に成仏するのかな?」なんて、ふわふわ考えながら目を閉じた。
すぐに意識がなくなった。

意識が戻ったのは、病院のベッドだった。
看護師さんか誰か、私にはわからないけれど、何度も「風邪薬を飲みましたか?」と質問され、苛立ったのが最初の記憶。
「だから飲んでないって言ってるじゃないですか!!」と大声をあげて、ハッとした。
元々私は短気なので、少し嫌な対応をされるたびにムッとした。
最初の一度きり以降、大声をあげたり文句を言ったりはしなかったと思うが、反抗的な態度を取っていたのには違いない。
徐々に意識がハッキリしていく中で、病院で働く人達を眺めていた。
「みんな一生懸命働いてるなあ。こういう仕事だったら、すごく大変なんだろうけど、きっとやりがいも持てるんだろうなあ」とか、呑気に考えた。
その後、精神科の先生と少し話をして、退院した。

親と元恋人の瞳が赤かったけれど、何も思わなかった。
ただ、ただ、生きていることにガッカリした。
元恋人から、話を聞いた。
仕事から帰ってくると、私は部屋中をぐちゃぐちゃにしていて、なぜかトイレの壁紙を剥がそうとしていたらしい。
話しかけてもまともな応答がなく、彼女は救急車を呼んだ。
救急隊員の人が来て、3人中1人がタメ口だったらしい。
それで私は彼女に小声で「あいつはモラハラするやつだ」と、しきりに言っていたようだ。
なんとも私らしい。

話を聞いて、なぜ私が死ねなかったのか、すぐに理解した。
夢遊病を発動したのだ。
睡眠薬に耐性がない私は、“念のため”と少し多めに飲んだ睡眠薬のせいで、深い深い眠りについた。
いつも眠りが浅く、ほんの少しの違和感で目が覚めてしまう。
そんな私が、おそらく人生で初めて深い眠りについた。(“深い眠りにつく”というと、死んだみたいな表現だな…)
元々夢遊病の兆候はあった。
昔から、私には全く記憶のない会話をしたと母親から何度も言われていたから。
夢遊病と言えば想像するのは、よくテレビで放送されているような、冷蔵庫を眠りながら漁るとか…そういうのだけど、私の場合は普通に会話ができた。
しかも、ちゃんと会話が成り立っているのだ。
でも私は覚えていない、全く。

頭に血がのぼるほどの怒りを感じると、後ろから鈍器で殴られたような眠気に襲われることも何度もあった。
ふらふらして、ガラスのテーブルにぶっ倒れたこともあった。
奇跡的に、ガラスが強く、当時の私は体重も軽く、ガラスが割れなかったから、怪我はしなかった。
大人になってからは、そこまで怒ることも滅多になかったのだけれど、たぶん今でも頭に血がのぼればそうなるんだと思う。
私はこの現象を“強制終了”と名付けていたが、本当はナルコレプシーという睡眠障害だったんじゃないかと思っている。

虐待が一番酷かった小学生の頃、寝ている最中に怒鳴り起こされたり叩き起こされたりすることが何度もあった。
たぶん、それから、私は深い眠りにつけなくなった。
いつ殴られるかわからない、いつ殺されるかもわからない、そんな状況下で私は、どこでもすぐに眠れるけれど、深くは眠れなくなったんだと思う。
いつも枕の下にナイフを忍ばせていた。
いつ親に襲われても反撃できるように。
一人暮らしするようになってからも、しばらくは枕元にナイフを置いていないと不安で眠れなかった。
モデルガンと模造刀も、すぐに使えるように部屋に置いていた。
アメリカの射撃場で本物の銃を撃ったこともある。
「本当に初めて?」と撃ち方を教えてくれた人に聞かれたのは、すこく嬉しかった思い出だ。
その時教えてくれたことを活かせば、シューティングゲームなんて余裕で(ゲームソフトを除く)、ネズミーランドにあるオモチャやアトラクションでは満点だし、射的も大体景品が取れる。(射的の場合、銃の精度とコルクの状態が悪いと一発では取れないけれど、弾の癖がわかればすぐに取れる)
たぶん、アメリカに住んでいたら、私は銃での自殺を選択していたんだろうなと思う。

退院した後、投げやりになった私は、勢いで親にカミングアウトした。
死のうと思った理由も全部ぶちまけて、家に帰って爆睡した。
結局元恋人を巻き込んでカミングアウトしてしまった。
疲れ切っていたのもあって、まだ意識が朦朧としているなか、私はベッドに寝転がりながら仕事をした。
次起きた時、仕事で使うソフトの設定がめちゃくちゃになっていて笑った。
それでも仕事はちゃんと出来ていて、また笑った。
その後、元恋人に詳しく夢遊病状態の私の話を聞いた。
それで、また笑った。大爆笑だ。
もう、色々、いかにも私らしくて面白かった。

足には全体的に大きな痣が出来ていた。
夢遊病で家中動き回っていたから、どこかで転んだかなんかして怪我をしたのだろう。
2週間くらいで大きな痣は薄くなったけれど、足の指だけがずっと痛いままだった。
「ねえ、これ、骨折してんのかなあ?」と元恋人に聞いた。
「骨折はしてないんじゃない?骨折してたら足の指だったとしても痛くて歩けないと思うよ」と言われたので、「ふーん、そっか」と放置した。
あれから1ヶ月半ほど経つけれど、未だに指が痛いし紫色をしている。治っていない(笑)
「ヒビが入ってたかもね…。早く病院行きな?」と元恋人は言ってくれるけれど、私は未だに病院に行く気がない。
もう、だいぶ痛くなくなってきたしね!
指が全く曲げられなかったんだけど、ゆっくりなら曲げられるようになってきたしね!
痛いのに普通に運動してる私は、治す気もないんじゃないかと、自分のことがよくわからない。
でも運動すると元気になるんだよ。
リングフィットアドベンチャー、本当に楽しい。
元恋人の引っ越しの手伝いもしちゃったりして。
元気に動き回っております。
…指が痛くなくなった時が、本当の私達の終わりなのかもなって思ったりして。

結局、『花束みたいな恋をした』の終わりと同じように、彼女が引っ越すまでの間、私達は平和に過ごしている。
やっぱりやり直したくて、何度か話してみたけれど、彼女の意志は変わらなかったし、ハッキリ「何を言われてもやり直す気はないからね」と告げられた。
なのに彼女にキスされたし、出かけると手を繋がれた。
私にはよくわからない。
楽しく過ごしていると、しょっちゅう言葉がハモるし、生活するのも居心地が良い。
テレビで知った場所に行きたいと思っても、“彼女と”行きたいと願ってしまう。
友人達が、彼女と別れたことを告げると心配してくれて、たくさん連絡をくれた。
元々私は友人と頻繁に連絡を取るタイプではなく、その心配がありがたくも、人疲れした。
彼女といると全く疲れない。むしろとても落ち着いていられて、安心感がある。
友人達のことも好きなのに、この違いはなんだろう?とつくづく思う。

彼女は「私とあなたのパートナーのあり方が全然違ったんだと思う」と言った。
彼女は、最初から私を家族のように思っていたと言っていた。
恋愛的な好意は、あったけれど、薄く、どちらかと言うと家族や親友という感覚が近かったのだと。
でも私は彼女を恋人としてずっと認識していて、そこに大きな違いがあったのだと。
私達は、たくさん話をしてきた。
その話も、もちろんしていた。
私も彼女を、家族であり、親友であり、保護する対象でもあり、恋人でもあるのだと認識していた。
その気持ちは同じだったはず。
そのすり合わせは散々してきた。
彼女は、最初は明らかに私に恋愛的な感情を抱いていたし、それを忘れているだけだ。
なんなら私よりも「好き、好き」と彼女は言っていたのだ。
彼女のほうが先に恋愛感情が薄れたのかもしれない。
私が後から恋愛感情を抱いたのだから、彼女が先に薄れるのも当然だったのかもしれない。
…でも、だからこそ、今、私は“移行期”だったんじゃないかと思ったんだよ。

私達を取り巻く環境が変わり、お互いに成長したり考え方が変わったりして、亀裂ができたけれど…それは、2人が乗り越えるべき“移行期”だったのであって、これを最後のチャンスと思ってやり直してみようと、何度も説得したけれど、同意は得られなかった。
「もう、どうでもいいや」と思った。
次実行に移す時は、もう睡眠薬は飲まないし、そしたらたぶん確実に逝ける。
その時、彼女はきっともうそばにはいない。
私の死を知ることになるのか否か、私にはわからない。
そんなことすらどうでもいい。

ただ、今は…確実に逝けると思っていたのに失敗してしまったので…まあ、とりあえず生きておこうという気持ち。
「生きろ」って、誰かに言われてるんだって思って。
とりあえず仕事をやって、とりあえず自分の気持ちの赴くままに動いてみる。
頑張らない、無理しない、焦らない。
ゆっくり、マイペースに生きてみる。
それでダメならもう一度すればいい。
次は成功するだろう。
ずっと死ぬ気で頑張ってきた。
ずっと綱渡りだった。
ずっと孤独に踏ん張ってきた。
誰も助けてはくれなかった。
寄り添ってもくれなかった。
誰も、気づいてさえくれなかった。
それどころか「助けて、助けて」って、あらゆる人から利用された。
今回の、ただひとつの教訓は、「死ぬ気でなんか頑張るな」ってこと。
ゆるくでいいんだよ。
頑張りたいって思ったら頑張りゃいいし、寝たかったらひたすら寝ればいい。
いつでも死ねるんだから。

人を信じる力をなくしたんだから、もう誰とも付き合えないって思ったし、だからこそ、もう誰からも愛されることはないんだって絶望したけど…案外さ、“信じる”ことが良いこととは限らないよなって思ったんだよ。
『花束みたいな恋をした』を見て、自分達の恋愛がいかに普遍的かってことを知って、今まであんまり共感できなかった、離婚話とかにも興味を持つようになったのよ。
(日本では同性婚できないから、離婚話に興味を抱けなかった。そもそも、気軽にポンポン結婚して、何も考えずに子供生んで、つらくなって離婚とか、考えなしにもほどがある…とか考えちゃってたタイプ)
元々人の経験談を知るのは好きだったから、積極的に、人のそういう話を見るようになったの。
その中で印象的だったのは、「旦那の不倫がわかる直前まで本当に仲が良くて、旦那のことが大好きだったのに、数年間不倫されていたことを突然知って、裏切られた気持ちで、死にたくなった」という話。
想像して、共感して、「そら、死にたくなるわな」って思った。
そうやって、相手のことが大好きで、100%信じるってのも、ダメなんだなって思った。

“期待しない”とも、また違って。
んー…言葉にするのが難しいんだけど…。
なぜ、人間が、物事を信じないような仕組みが脳に備わっているのか?って考えた時、それは、自分の身を守るためでしょ?
人間がポジティブよりネガティブに反応しやすいのは、自分の身を守るため。
何もかも信じれば救われるなら、脳に疑う機能は不必要なわけで。
でも現状、疑う機能は損なわれていない。
むしろ人間は、一度疑えば、どんどん疑心暗鬼になってしまう生き物だ。
それは、自分の身を守るために備わった機能でしょ?
つまり、人を信じないということも、また人間関係において重要なのではないかと、そう、思ったわけよ。

人を疑うのではなく、信じない。
ニュアンス、伝わるだろうか?
積極的に疑うのではなく、ただ、鵜呑みにしないの。
、とも言う。
「こうなるかもしれないし、こうなるかもしれない」みたいな候補を、用意しておく必要性。
相手の言動を見て…どれだけ信用できると思っても、違う面もあるのかもしれないという可能性を考える。
なかなかに難しいことだし、そんなこといちいち考えてられないけど…。
でも…私は、元々“信じる”という感覚がない人だったから…自分で無理くり「人を信じよう!」と思って信じる努力をしてきた人間だったから、心のどこかで、信じることが100%良いことだと思っていたんだよ。
でも違った。そうじゃなかった。
疑うこと…全く人を信じられていない状態も良くないけれど、100%誰かを信じることもまた、良くないことなんだよ。
頭ではわかっていたはずなのに、体感として知識を得られるっていうのは、やっぱり難しいことだね。

こんなにも一緒にいて居心地の良い人は初めてだったから、すごく、難しいことだった。
世の中全員敵とまでは思わないけれど、「世の中全員味方じゃない」とは心底思っていたから、他の人には割と、可能性を広げることが出来ていたんだよ。
いや~、でもね…本当に、本当に心の底から大事だって、愛してるって思った相手は、初めてだったから、難しかった。
愛されてるって思ってたし、愛してるって思ってたし、世界で一番大事な人だし、本当に、一生一緒に生きていくんだって信じて疑わなかった。
死別は想像してたけど、生きてる状態での別れなんて、本当に想定したことがなかったんだよ。
だからね、あまりにショックすぎて……まあ、とか言いながら、最初は自ら別れを告げたんだけど(笑)
矛盾してますね😂

…いや、でも、ホント、1年間くらい、本当に、彼女が全く私と向き合ってくれなくなって、もう、ずーーーっとスマホいじっててさ、本当に、一緒にいる意味がわからなくなって、ふたりでいる孤独に耐えられなくなって、向き合ってもくれなくなってさ?浮気もどきもされてさ?(韓国の調査では、パートナーに言えないような相手と会うことは浮気と認識している人が多数派らしい。日本では違うみたいだけど)あー、私と一緒にいるのが苦痛で苦痛で仕方ないんだなって、彼女の言動からビシバシ感じ取れちゃうわけよ。
その状態で1年間頑張った私を褒めてあげたい(笑)

しかも、なんか、こう…急激に彼女が冷たくなったのよ。
もうさ、言うことやることコロコロ変わって、私ブンブン振り回されて、酔って吐いてるみたいな状態で放置されてるみたいな…そのうえ、私、頑張り続けちゃったのよ。
そら死にたくもなるわな(笑)

しっかし、長い時間を犠牲にした感覚だよ。
楽しい思い出もたくさんあるけどさ、結局別れちゃったなら全てが悲しい思い出よ。
どこに行っても、悲しくなるわけでしょ?
どうすればいいわけ?
なんていうか…初恋の人に抱いたみたいな感謝の気持ち、未だにないんだよね。
彼女に出会えたことで、自分の新しい面を知れたのはある。
食べ物も美味しいって思えるようにもなった。
…でも、失ったものがあまりに大きすぎて…それなら、幸せの絶頂なんて感じたくなかった。
いつまでもいつまでも100%は満たされない、そんな人生をゆるりゆるりと歩み続けたかったなって思う。

出会わなければ良かったって、まだ思ってる。
彼女がいなくなることで、世界がこんなにもつまらなくなるならさ。
初恋の人は、私に変わるキッカケを与えてくれた大恩人。
別れはつらかったし悲しかったけど、初恋の人のおかげで変わろうって思えて、結果的に私は自己肯定感を抱けたし、自尊心も持てた。
でも、彼女はそんなんじゃなくて、そばにいてくれることが…私と目を合わせ続け、向き合い続けてくれることが、重要だったんだよ。
私のことをただ利用するだけじゃない。
ウィンウィンな関係でいられる、お互いがお互いに補い合える、一緒にいて安心感がある、離れないでそばにいてくれる…そういう関係を維持してくれる、そういうことに価値があったんじゃないかと思ってる。
…それが、結局…私の全てを知っているはずの彼女は、結局、私を捨てた。
向き合うのを止め、約束をことごとく破り、私の必死の訴えに全く耳を貸さず……私の親と同じことを、私にした。
私が一番されたくないことを、した。

だから、受け止められていたはずの過去の虐待経験を、何度も何度も思い出させられた。
私は必死に彼女の安全地帯であろうとし、実際そうあったけれど…彼女は、なってくれはしなかった。
彼女が何度も自傷行為をしていたのを、何度も受け止めてきた。全部だ、全部。
でも私が間違いを犯したら、途端に切り捨てた。
そんな感覚だ。
結局、利用された……そうとしか、まだ、思えない。
私という安全地帯ができ、自立した彼女は安全地帯から巣立ち、きっと私の知らない誰かと幸せになるんだろう。
それが、どうしようもなく悔しい。
私を踏み台にした彼女と次に付き合う人間が、心底羨ましい。

私は、自信も、人を信じる力も、自己肯定感も、何もかも失ってしまったよ。
奪われた感覚に近い。
彼女は、私が彼女との思い出の品を捨てたのに傷ついたから、もうやり直すことはないと言った。
でも私が物を捨てたのは、彼女が私の「やり直そう」という話に聞く耳を持ってくれなかったことに対する怒りと悲しみからだったし、最後は彼女のことをアウティングしないように…との配慮だった。
順番が違うんだよ。
私の必死の「やり直そう」の言葉を聞かなかったのに、それに対して絶望して感情的に物を捨てられたから、やり直すことはできないって…もう、意味がわからないよ。

…疲れた。
なんだか、すごくね、疲れたんだ。
今は、お金に糸目をつけず、ただ、自分の思うがままに、心を癒せるように、動いてる。
そのうち、また小説も書くようになるかな?
まだわからないけど…。
『いたずらはため息と共に』も、もうハッピーエンドにはならないのかもしれないと思った。

とりあえず、新しい出会いを…と思って、色々調べてみたり探してみたりした。
もうさ、彼女と出会った時と、随分変わってて、どうすれば新しい出会いが見つけられるのか、わからなくて困ってる(笑)
SNSも再開しようかなとか思ってる。
家具も色々新調したりして、気分を変えられるようにしてみてる。
ゆるーく、無理せず、動く。

結局また、私は私の力で立ち上がる。
誰もそばにはいない。
手は差し伸べてもらえない。
正確には、少し、差し伸べてもらったけれど。
数少ない友人達が心配してくれるのは素直に嬉しい。
一番、手を差し伸べてもらいたかった人には、差し伸べてもらえなかったな。
私はずっとずっと差し伸べてきたのに。
なんなら、寄りかからせてあげてきたのに。
ずっとずっと、抱きしめてきたのに。
私のそばには、やっぱり誰もいない。
誰も抱きしめてはくれない。
それが悲しい。
刷り込まれるように、「私は利用されるだけの人間だ、誰からも愛されない人間だ」という思いが強まる。

「どん底を体験したらあとは這い上がるだけ」なんて言葉があるけれど、私にはもう響かない。
私は、そもそも最初からどん底だった。
そこからさらに底に落ち、「どん底を体験したらあとは這い上がるだけ」と思って這い上がったら、今度は蹴落とされた。
そして、さらに深い底があることを知ったよ。
…さて、この先どうなることやら。
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