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9.移ろい
521.大人
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久米さんが私にゲームの説明をしてくれている間、千陽はずっとお父さんのそばにいた。
千陽のお母さんの背中は、何度見ても、大胆に開きすぎていて目のやり場に困る。
少しずつ大人達が減っていく。
その度に、千陽は玄関までお見送りしていた。
最終的に、久米さんだけが家に残った。
私は下手ながらも、ソファに座ってゲームで遊んでいた。
たまに久米さんが笑って、永那ちゃんにスマホの画面を覗かれる。
「あ~、パパ疲れた~」
千陽のお母さんがお父さんに抱きつく。
「今日もお客様の対応バッチリだったね!桃!」
「当たり前でしょ~、私を誰だと思ってるの?」
「そうだね~」
千陽は永那ちゃんの隣に座る。
「みんなも、ありがとう」
長いL字のソファに、お父さんとお母さんも腰掛ける。
「おかげで楽しい1日になったよ」
「いいえ、こちらこそ、ありがとうございました」
私はスマホを膝に置いて、頭を下げる。
千陽のお父さんが頷く。
「永那は、話には聞いてたけど、ホント美人だなー!」
「どうも…」
「髪伸ばした方がいいんじゃないか?」
「永那は今の髪型が似合ってる」
千陽がお茶を飲みながら言う。
「そうかな?俺は髪長い方が好きだけどな」
千陽のお母さんが結っていた髪を下ろす。
「おっ」
それを見たお父さんが鼻の下を伸ばす。
「この髪型、すごい頭疲れる」
「マッサージしてやるよ」
お母さんが私達に背を向け、髪を前にやる。
また大胆な背中が晒された。
お父さんは彼女の背に遠慮なく触れ、やわらかな肌に窪みを作る。
「本当に、桃さんはセクシーですよね。佐藤さんの奥さんじゃなければ、僕も惚れちゃいそうです」
「久米ー、俺の女に手出すなよ?」
ハハッと久米さんが笑う。
「千陽ちゃんは佐藤さんの女に入りますか?」
その言葉に、思わず久米さんを見た。
目を瞠らずにはいられない。
久米さんが一瞬視線を私に向けたけれど、咳払いをして、千陽のお父さんに戻す。
お父さんは楽しそうに笑いながら「千陽も俺の女だな!」と頷く。
「それじゃあ、一生千陽ちゃんに手出せる男、いないじゃないですか」
久米さんの笑みが、怖い。
千陽のお父さんに話を合わせているにしても、本気で千陽を好きなら、こんな発言すべきじゃない。
「俺は自由恋愛を推奨してるからな!“手出すな”って牽制してるだけで、そこに強制力はない」
お母さんの腰、際どいところを揉みながら、彼は言う。
「みんな自由にすればいいんだよ」
「パパ、かっこい~!」
「だろー!牽制はするけどな?俺の女ってことに変わりないし」
「そこがかっこいいっ!好きっ」
「好きじゃなくて?」
「愛してるっ」
お父さんは満足そうだ。
千陽の“愛してる”はここから影響を受けているのかな…。
私達に構うことなく、千陽のご両親がキスをする。
「永那」
「ん?」
「あたしも疲れた」
「おつかれ」
「マッサージして?」
「なんで私が?…ってか、そろそろ帰んなきゃいけないわ」
「え~!永那もう帰るの?」
千陽のお母さんがお父さんに抱きつきながら言う。
「泊まってくんじゃなかったか?」
「泊まるのは穂です。私は親に怒られちゃうんで」
「うちの子になればいいのにっ」
「そうだな!それもいいな!」
「千陽と姉妹ですかー?んー…私がお姉ちゃんか…考えらんないな」
「なんで永那が上?あたしが上がいい」
「お前今何歳?私18」
「…卑怯」
「全然卑怯じゃない。千陽2月生まれでしょ?ほぼ1年違うわ」
久米さんが笑う。
「2人が姉妹だったら美人姉妹でもっと有名になっちゃうね」
「ってか永那、誕生日4月だっけ?」
「そうですよ。桃さん、覚えてないんですかー?」
「ごめーん、忘れちゃったっ」
「永那、誕生日だったんなら…ほら」
お父さんがポケットから財布を出して、3万円を渡す。
「うぇ!?」
「ほら」
「受け取っておきな」
久米さんが永那ちゃんに笑いかける。
永那ちゃんはおずおずとお金を受け取った。
「ありがとう、ございます…」
「佐藤さん、さすがですね~!」
「パパ、太っ腹~!良かったね、永那っ」
永那ちゃんがぎこちなく笑う。
「ママとパパも、もうすぐタクシー来る時間じゃない?支度したら?」
「んっ?あ、ホントだ。桃、準備しないと」
「そっか~。じゃあ永那、一緒に出よ?タクシーには乗せてあげられないけどっ」
「わかりました」
ご両親が2階に上がる。
「ハァ」と千陽と永那ちゃんがため息をつく。
「ところで…久米さんはどうなさるんですか…?」
「どうなさるって?」
ニコニコとわざとらしく笑みを浮かべられる。
「この後、です…。帰らないんですか?」
「穂ちゃんは直球だなあ。できれば、片付けを手伝いたいかな」
千陽を見る。
彼女は俯いて、膝を抱えた。
「いつも、そうしてるよ?」
「…今日は、私がいるので…片づけは必要ありません」
「手厳しいなあ。…さっきは、本当に申し訳なかったと思ってるよ。もう、しないからさ、安心してよ」
「はい。…でも、今日は、大丈夫です」
「そっ…か…。わかった。じゃあ、僕も3人と一緒に出るよ」
千陽のお母さんの背中は、何度見ても、大胆に開きすぎていて目のやり場に困る。
少しずつ大人達が減っていく。
その度に、千陽は玄関までお見送りしていた。
最終的に、久米さんだけが家に残った。
私は下手ながらも、ソファに座ってゲームで遊んでいた。
たまに久米さんが笑って、永那ちゃんにスマホの画面を覗かれる。
「あ~、パパ疲れた~」
千陽のお母さんがお父さんに抱きつく。
「今日もお客様の対応バッチリだったね!桃!」
「当たり前でしょ~、私を誰だと思ってるの?」
「そうだね~」
千陽は永那ちゃんの隣に座る。
「みんなも、ありがとう」
長いL字のソファに、お父さんとお母さんも腰掛ける。
「おかげで楽しい1日になったよ」
「いいえ、こちらこそ、ありがとうございました」
私はスマホを膝に置いて、頭を下げる。
千陽のお父さんが頷く。
「永那は、話には聞いてたけど、ホント美人だなー!」
「どうも…」
「髪伸ばした方がいいんじゃないか?」
「永那は今の髪型が似合ってる」
千陽がお茶を飲みながら言う。
「そうかな?俺は髪長い方が好きだけどな」
千陽のお母さんが結っていた髪を下ろす。
「おっ」
それを見たお父さんが鼻の下を伸ばす。
「この髪型、すごい頭疲れる」
「マッサージしてやるよ」
お母さんが私達に背を向け、髪を前にやる。
また大胆な背中が晒された。
お父さんは彼女の背に遠慮なく触れ、やわらかな肌に窪みを作る。
「本当に、桃さんはセクシーですよね。佐藤さんの奥さんじゃなければ、僕も惚れちゃいそうです」
「久米ー、俺の女に手出すなよ?」
ハハッと久米さんが笑う。
「千陽ちゃんは佐藤さんの女に入りますか?」
その言葉に、思わず久米さんを見た。
目を瞠らずにはいられない。
久米さんが一瞬視線を私に向けたけれど、咳払いをして、千陽のお父さんに戻す。
お父さんは楽しそうに笑いながら「千陽も俺の女だな!」と頷く。
「それじゃあ、一生千陽ちゃんに手出せる男、いないじゃないですか」
久米さんの笑みが、怖い。
千陽のお父さんに話を合わせているにしても、本気で千陽を好きなら、こんな発言すべきじゃない。
「俺は自由恋愛を推奨してるからな!“手出すな”って牽制してるだけで、そこに強制力はない」
お母さんの腰、際どいところを揉みながら、彼は言う。
「みんな自由にすればいいんだよ」
「パパ、かっこい~!」
「だろー!牽制はするけどな?俺の女ってことに変わりないし」
「そこがかっこいいっ!好きっ」
「好きじゃなくて?」
「愛してるっ」
お父さんは満足そうだ。
千陽の“愛してる”はここから影響を受けているのかな…。
私達に構うことなく、千陽のご両親がキスをする。
「永那」
「ん?」
「あたしも疲れた」
「おつかれ」
「マッサージして?」
「なんで私が?…ってか、そろそろ帰んなきゃいけないわ」
「え~!永那もう帰るの?」
千陽のお母さんがお父さんに抱きつきながら言う。
「泊まってくんじゃなかったか?」
「泊まるのは穂です。私は親に怒られちゃうんで」
「うちの子になればいいのにっ」
「そうだな!それもいいな!」
「千陽と姉妹ですかー?んー…私がお姉ちゃんか…考えらんないな」
「なんで永那が上?あたしが上がいい」
「お前今何歳?私18」
「…卑怯」
「全然卑怯じゃない。千陽2月生まれでしょ?ほぼ1年違うわ」
久米さんが笑う。
「2人が姉妹だったら美人姉妹でもっと有名になっちゃうね」
「ってか永那、誕生日4月だっけ?」
「そうですよ。桃さん、覚えてないんですかー?」
「ごめーん、忘れちゃったっ」
「永那、誕生日だったんなら…ほら」
お父さんがポケットから財布を出して、3万円を渡す。
「うぇ!?」
「ほら」
「受け取っておきな」
久米さんが永那ちゃんに笑いかける。
永那ちゃんはおずおずとお金を受け取った。
「ありがとう、ございます…」
「佐藤さん、さすがですね~!」
「パパ、太っ腹~!良かったね、永那っ」
永那ちゃんがぎこちなく笑う。
「ママとパパも、もうすぐタクシー来る時間じゃない?支度したら?」
「んっ?あ、ホントだ。桃、準備しないと」
「そっか~。じゃあ永那、一緒に出よ?タクシーには乗せてあげられないけどっ」
「わかりました」
ご両親が2階に上がる。
「ハァ」と千陽と永那ちゃんがため息をつく。
「ところで…久米さんはどうなさるんですか…?」
「どうなさるって?」
ニコニコとわざとらしく笑みを浮かべられる。
「この後、です…。帰らないんですか?」
「穂ちゃんは直球だなあ。できれば、片付けを手伝いたいかな」
千陽を見る。
彼女は俯いて、膝を抱えた。
「いつも、そうしてるよ?」
「…今日は、私がいるので…片づけは必要ありません」
「手厳しいなあ。…さっきは、本当に申し訳なかったと思ってるよ。もう、しないからさ、安心してよ」
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