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9.移ろい
500.パーティ
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「あれ…?そういえば、掃除」
「永那ちゃん」
手を掴まれる。
彼女が立ち上がり、手を引っ張るから、私も立ち上がる。
そのまま穂は窓辺に向かって、風に揺れるカーテンの端を指で摘んだ。
カーテンの帳が私達を包み込む。
「穂?」
「いたずら、しちゃいますよ?」
「え」
唇が塞がれる。
彼女がゆっくり離れるから、項を掴んで、もう一度。
「学校では嫌なんじゃないの?」
「今日だけ…特別…」
「ふーん?」
欲していたものが与えられ、止められなくなりそうだ。
彼女の足の間に、自分の足をねじ込む。
「んっ、待っ」
待たない。
だって穂が言ったんだ、いたずらするって。
穂がやり始めたんだ。
ブレザー越しに、彼女の胸に触れる。
下腹部が疼く。
自分の息が荒い。
止められない。
彼女の柔らかな唇を、貪るように求めた。
下唇を軽く吸って、舌で舐める。
興奮したせいか、唾液がやけに分泌される。
垂れそうになるから、彼女に流し込む。
彼女が飲み込むのを確認して、舌を絡める。
彼女のネクタイを緩める。
1番上まで留まった彼女の制服のボタンを外す。
ひとつずつ、外していく。
3番目のボタンに指をかけた瞬間、パンッと音が鳴り響いた。
ビクッと肩が上がる。
「バカっ!」
顔を真っ赤に染め、瞳を潤ませた穂が、私の胸をポカポカと叩く。
カーテンから顔を出すと、ほとんどのクラスメイトが教室にいた。
それぞれ、手にはクラッカーを持っていた。
「ヒューヒュー」と、いつもふざけ合ってる男子が言う。
優里や桜は赤面し、千陽や燈夏は呆れた顔をしていた。
「なんだよー」
「いつも両角にはやられてるから、俺らから仕返しだわ」
「なー、佐藤さんの連絡先教えろって言ってんのに、変な公式アカウントばっか教えてきやがって」
「それは自分で聞けよ」
「聞いてるけど教えてくんないからお前に聞いてんだろ!」
「俺なんか、他の女子に聞いて教えて貰ったけど完全に無視されてるからな…」
「最近、永那、空井さんばっかで、めっちゃウチらに冷たいしねー」
「それは穂があまりに可愛すぎるから…」
「はー?ウチらが可愛くないみたいな言い方じゃん」
「可愛い可愛い」
「棒読み!」
「私達帰ろうとしたら、永那どんどん落ち込んでったの、めっちゃウケたんだけど」
「…とか言って、みんな、私の誕生日祝ってくれちゃって…ツンデレなの?」
「はーい、みんな、撤収撤収ー」
「あっ、あ、みんな、待っ…待って…」
穂が慌ててカーテンから出てくる。
…可愛い穂。
本気で慌てる穂を見て、冗談で“撤収”と言ったクラスメイトが笑い出す。
穂はどういうことかわからず、キョトンとする。
彼女の頭を撫でて、手を繋いで、みんなの輪の中に入った。
教室の中心に机を集め、各々持ち寄ったお菓子を広げる。
パーティの始まりだ。
みんなが歌を歌ってくれ、踊る人もいたり、動画を撮る人もいたりと、自由に過ごす。
個人的にプレゼントを渡してくれる子も数人いたし、複数人がお金を出し合ってプレゼントをくれたりもした。
穂からはピアス、千陽からは革のショルダーバッグ、優里からはヘアバーム、桜からはリードディフューザーだった。
「ありがとう、みんな。…こんなにたくさん、持って帰れるかな?」
「一緒に持って帰ろうか?」
「家に来てくれるの?」
「うん」
穂が笑う。
「本当に言ってる?」
「本当に言ってるよ」
「でもさ?帰りが心配だから、いいよ。大丈夫、頑張って持って帰る」
「私が、一緒に行きたいの。いいでしょ?」
「えー…」
そりゃあ、来てくれるのは嬉しいけど…。
「危ないよ」
「大丈夫」
「…じゃあ、わかった」
時計を見る。
部活がある人達は既に教室からいなくなっていた。
もし遅刻させてしまったのだとしたら、ちょっと申し訳ない。
「ほら、永那も来て~」
呼ばれて、流行りのダンスを動画に収めている集団に混じる。
1時間ほどのパーティを終え、私達は解散した。
まだ盛り上がってるグループもいたけど、ほとんどのクラスメイトが帰るようだった。
ちなみに、きっちり穂の指導の元、最後にみんなで掃除した。
穂、千陽、優里、桜と一緒に教室を出る。
優里とは校門で別れ、4人で電車に揺られる。
「サプライズ、穂が考えたの?」
「最初は、ね?でも千陽に相談して、優里ちゃんと森山さんにも相談したら、どんどん話が大きくなっていって、最終的にクラスのみんなが参加してくれたの」
「いつの間に…」
「いたずら、成功だった?」
穂が私の顔を覗き込むように、上目遣いになる。
…可愛い。
「大成功だった。まんまと騙された」
「やった!」
「あぁ…可愛い…大好き」
チューしようとしたら手の平で頬を押された。
ぶちゅっと頬が潰れたから、諦める。
端から電車の中でキスするつもりもないけど。
穂が前髪を指で梳く。
ああ、本当に可愛いな。大好きだな。
忙しい中、色んな人とやり取りして企画してくれたんだと思うと、胸の内側があたたかくなる。
そっと手で胸に触れてみても触れられないところ。
奥の奥のところが、あたたかい。
「永那ちゃん」
手を掴まれる。
彼女が立ち上がり、手を引っ張るから、私も立ち上がる。
そのまま穂は窓辺に向かって、風に揺れるカーテンの端を指で摘んだ。
カーテンの帳が私達を包み込む。
「穂?」
「いたずら、しちゃいますよ?」
「え」
唇が塞がれる。
彼女がゆっくり離れるから、項を掴んで、もう一度。
「学校では嫌なんじゃないの?」
「今日だけ…特別…」
「ふーん?」
欲していたものが与えられ、止められなくなりそうだ。
彼女の足の間に、自分の足をねじ込む。
「んっ、待っ」
待たない。
だって穂が言ったんだ、いたずらするって。
穂がやり始めたんだ。
ブレザー越しに、彼女の胸に触れる。
下腹部が疼く。
自分の息が荒い。
止められない。
彼女の柔らかな唇を、貪るように求めた。
下唇を軽く吸って、舌で舐める。
興奮したせいか、唾液がやけに分泌される。
垂れそうになるから、彼女に流し込む。
彼女が飲み込むのを確認して、舌を絡める。
彼女のネクタイを緩める。
1番上まで留まった彼女の制服のボタンを外す。
ひとつずつ、外していく。
3番目のボタンに指をかけた瞬間、パンッと音が鳴り響いた。
ビクッと肩が上がる。
「バカっ!」
顔を真っ赤に染め、瞳を潤ませた穂が、私の胸をポカポカと叩く。
カーテンから顔を出すと、ほとんどのクラスメイトが教室にいた。
それぞれ、手にはクラッカーを持っていた。
「ヒューヒュー」と、いつもふざけ合ってる男子が言う。
優里や桜は赤面し、千陽や燈夏は呆れた顔をしていた。
「なんだよー」
「いつも両角にはやられてるから、俺らから仕返しだわ」
「なー、佐藤さんの連絡先教えろって言ってんのに、変な公式アカウントばっか教えてきやがって」
「それは自分で聞けよ」
「聞いてるけど教えてくんないからお前に聞いてんだろ!」
「俺なんか、他の女子に聞いて教えて貰ったけど完全に無視されてるからな…」
「最近、永那、空井さんばっかで、めっちゃウチらに冷たいしねー」
「それは穂があまりに可愛すぎるから…」
「はー?ウチらが可愛くないみたいな言い方じゃん」
「可愛い可愛い」
「棒読み!」
「私達帰ろうとしたら、永那どんどん落ち込んでったの、めっちゃウケたんだけど」
「…とか言って、みんな、私の誕生日祝ってくれちゃって…ツンデレなの?」
「はーい、みんな、撤収撤収ー」
「あっ、あ、みんな、待っ…待って…」
穂が慌ててカーテンから出てくる。
…可愛い穂。
本気で慌てる穂を見て、冗談で“撤収”と言ったクラスメイトが笑い出す。
穂はどういうことかわからず、キョトンとする。
彼女の頭を撫でて、手を繋いで、みんなの輪の中に入った。
教室の中心に机を集め、各々持ち寄ったお菓子を広げる。
パーティの始まりだ。
みんなが歌を歌ってくれ、踊る人もいたり、動画を撮る人もいたりと、自由に過ごす。
個人的にプレゼントを渡してくれる子も数人いたし、複数人がお金を出し合ってプレゼントをくれたりもした。
穂からはピアス、千陽からは革のショルダーバッグ、優里からはヘアバーム、桜からはリードディフューザーだった。
「ありがとう、みんな。…こんなにたくさん、持って帰れるかな?」
「一緒に持って帰ろうか?」
「家に来てくれるの?」
「うん」
穂が笑う。
「本当に言ってる?」
「本当に言ってるよ」
「でもさ?帰りが心配だから、いいよ。大丈夫、頑張って持って帰る」
「私が、一緒に行きたいの。いいでしょ?」
「えー…」
そりゃあ、来てくれるのは嬉しいけど…。
「危ないよ」
「大丈夫」
「…じゃあ、わかった」
時計を見る。
部活がある人達は既に教室からいなくなっていた。
もし遅刻させてしまったのだとしたら、ちょっと申し訳ない。
「ほら、永那も来て~」
呼ばれて、流行りのダンスを動画に収めている集団に混じる。
1時間ほどのパーティを終え、私達は解散した。
まだ盛り上がってるグループもいたけど、ほとんどのクラスメイトが帰るようだった。
ちなみに、きっちり穂の指導の元、最後にみんなで掃除した。
穂、千陽、優里、桜と一緒に教室を出る。
優里とは校門で別れ、4人で電車に揺られる。
「サプライズ、穂が考えたの?」
「最初は、ね?でも千陽に相談して、優里ちゃんと森山さんにも相談したら、どんどん話が大きくなっていって、最終的にクラスのみんなが参加してくれたの」
「いつの間に…」
「いたずら、成功だった?」
穂が私の顔を覗き込むように、上目遣いになる。
…可愛い。
「大成功だった。まんまと騙された」
「やった!」
「あぁ…可愛い…大好き」
チューしようとしたら手の平で頬を押された。
ぶちゅっと頬が潰れたから、諦める。
端から電車の中でキスするつもりもないけど。
穂が前髪を指で梳く。
ああ、本当に可愛いな。大好きだな。
忙しい中、色んな人とやり取りして企画してくれたんだと思うと、胸の内側があたたかくなる。
そっと手で胸に触れてみても触れられないところ。
奥の奥のところが、あたたかい。
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