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7.向
451.足りない
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歯磨きをしながら夜景を眺める。
「こんな時間でも働いてるのかな?」
「そういう人もいるだろうけど、犯罪抑止のために電気をつけたままにするところもあるみたい」
「ふーん」
「電気代が高そう…」
「だね」
「…そんなこと考える人、あんまりいないと思うけど」
「考えるだろ」
「考えるよ」
「あっそ」
「千陽、“あっそ”は良くないぞ?」
「うるさい」
「でた!“うるさい”!」
千陽がそっぽを向いて洗面台に行ってしまう。
穂がフフッと楽しそうに笑う。
その笑顔を見て、私も頬が緩む。
「綺麗だね」
「うん、綺麗だね」
しばらく2人で夜景を眺めていたら、口端から歯磨き粉が垂れそうになって、2人で慌てて洗面台に走った。
部屋の電気を消しても、外が明るいから暗さは感じない。
「なんか、都会の夜景見ながら寝るとか、マジでセレブって感じ」
「ホントだね。なんだか贅沢だね」
穂が窓側、私が真ん中、千陽がドア側(?)で寝転んでいる。
穂が窓の外を見ながら感動しているから、後ろから抱きしめるようにして、一緒に眺め始めた。
ちなみに千陽は私の背中にぴったりくっついている。
3人ひっついて寝転んでいるから、川の字には全くなっていない。
「千陽、ありがとね。今日、本当に楽しかった」
「セックス三昧だったけどね」
「もう、永那ちゃんはすぐそういうこと言うんだから」
「だってセックス以外してなくない?」
「ご飯食べたり夜景見たりしたでしょ?」
「うーん…まあ、そう…か…?」
「永那ちゃんのバカ!」
可愛くて、抱きしめる力を強めた。
「そもそも、こんな豪華なお部屋に泊まれることなんて滅多にないんだから、お部屋に来られただけでも、私は楽しいよ?」
「ほー…」
「今度、違うホテルも連れてってあげる。穂だけ」
「は!?私は!?」
「お礼も言わないバカなんて連れて行かない」
「言おうと思ってたよ!今!まさに!今!言おうと思ってた!」
「じゃあ言って?」
「ありがとう…ございます…」
「きも」
「おい!さっきから口が悪いぞ!?千陽!」
「うざい…」
「ハァ」
思わずため息が出る。出ちゃうよね!?
「永那ちゃん、もうちょっと声、小さくして?」
「よし、死のう」
「こら、そんなこと簡単に言わないの。永那ちゃん、私の耳元で話してるから、すごくよく聞こえるんだよ?」
「もー、いいよー、もー」
「拗ねないで」
穂が私の腕の中でくるりと回転する。
優しくキスされて、ザワザワした気持ちが落ち着く。
…やっぱり生理前かなあ。
千陽が私の背中をギュッと掴んでいる。
このままでは、仰向けになれない。
「千陽、そろそろ戻ってくんない?寝られないんだけど」
言っても反応なし。
「千ー陽ーちゃーん」
どうしたものか…。
「千陽?」
穂が上半身を起こす。
「あたし…」
穂は私を机みたいにして、千陽の顔を覗き込む。
「あたし、結局、1回も挿れてもらえてない」
そ、れ、か…!
そういえばさっき“挿れて”ってお願いされたな。
あれは、でも…千陽が私を襲ってきたせいだからね?
「あ…私、早くドライヤー終えちゃったもんね」
だから、なんなんだよ、その計画は。
「明日な?」
「明日?」
「そう。もう疲れたし眠いし。どうせ明日11時までいられるなら、明日を千陽の日にすればいいじゃん」
「絶対?」
「うん、約束」
「…わかった」
「それまで焦らされとけ」
ペシッと背中を叩かれた。
同時に、背中が解放される。
3人で仰向けになった。
今度こそ川の字だ。
「次ベッド買う時はキングサイズが良いかも」
「お前ベッド買いすぎじゃない?無駄使いにもほどがあるだろ」
「うるさい」
「はいはい。静かにしますよ」
目を閉じる。
「永那ちゃん?」
「ん?」
「お、おやすみの、チュー…は?」
一気に目が冴える。
「穂、なにその可愛すぎな言い方?食べちゃうよ?」
穂に覆いかぶさる。
「え!?だ、だめだよ…!もう寝る時間だもん」
「でもさ?ちょっとくらいは良いんじゃないかな?」
「だめー」
ちょんちょんとパジャマの袖が引っ張られた。
「“ちょっとくらい良い”なら、あたしにシてよ」
ゴクリと喉が鳴る。
「だ、だめだよ…!」
頬を両手で包まれて、強制的に穂の方を向かされる。
「だめだよ?永那ちゃん」
あっちもこっちも可愛すぎて、エロすぎて、全部食べちゃいたいよ!やっぱり体が1つじゃ足りない…!
「可愛い穂」
そっと唇を重ねた。
「ヤキモチ?」
「…ヤキモチ」
「ふーん。可愛すぎ」
もう一度口づけを交わした。
横になる。
「あたしは…してくれないの…?だめ…?」
「いいよ」
千陽ともキスをする。
彼女が嬉しそうに口元に弧を描くから、ついポンポンと頭を撫でた。
今度こそ、目を閉じて寝転ぶ。
「おやすみ。永那ちゃん、千陽」
「おやすみ」
「…おやすみ、穂」
「お前は…なんで寝る直前までそうなんだ?」
心の中でため息をつく。
「永那…大好き」
心臓が跳ねる。
なんだ…このツンデレ攻撃は…。
「穂も、大好き」
「私も好きだよ、千陽、永那ちゃん。…おやすみ」
「…おやすみ」
しばらく眠れなかった。
2人の寝息が聞こえてきて、私もようやく眠った。
「こんな時間でも働いてるのかな?」
「そういう人もいるだろうけど、犯罪抑止のために電気をつけたままにするところもあるみたい」
「ふーん」
「電気代が高そう…」
「だね」
「…そんなこと考える人、あんまりいないと思うけど」
「考えるだろ」
「考えるよ」
「あっそ」
「千陽、“あっそ”は良くないぞ?」
「うるさい」
「でた!“うるさい”!」
千陽がそっぽを向いて洗面台に行ってしまう。
穂がフフッと楽しそうに笑う。
その笑顔を見て、私も頬が緩む。
「綺麗だね」
「うん、綺麗だね」
しばらく2人で夜景を眺めていたら、口端から歯磨き粉が垂れそうになって、2人で慌てて洗面台に走った。
部屋の電気を消しても、外が明るいから暗さは感じない。
「なんか、都会の夜景見ながら寝るとか、マジでセレブって感じ」
「ホントだね。なんだか贅沢だね」
穂が窓側、私が真ん中、千陽がドア側(?)で寝転んでいる。
穂が窓の外を見ながら感動しているから、後ろから抱きしめるようにして、一緒に眺め始めた。
ちなみに千陽は私の背中にぴったりくっついている。
3人ひっついて寝転んでいるから、川の字には全くなっていない。
「千陽、ありがとね。今日、本当に楽しかった」
「セックス三昧だったけどね」
「もう、永那ちゃんはすぐそういうこと言うんだから」
「だってセックス以外してなくない?」
「ご飯食べたり夜景見たりしたでしょ?」
「うーん…まあ、そう…か…?」
「永那ちゃんのバカ!」
可愛くて、抱きしめる力を強めた。
「そもそも、こんな豪華なお部屋に泊まれることなんて滅多にないんだから、お部屋に来られただけでも、私は楽しいよ?」
「ほー…」
「今度、違うホテルも連れてってあげる。穂だけ」
「は!?私は!?」
「お礼も言わないバカなんて連れて行かない」
「言おうと思ってたよ!今!まさに!今!言おうと思ってた!」
「じゃあ言って?」
「ありがとう…ございます…」
「きも」
「おい!さっきから口が悪いぞ!?千陽!」
「うざい…」
「ハァ」
思わずため息が出る。出ちゃうよね!?
「永那ちゃん、もうちょっと声、小さくして?」
「よし、死のう」
「こら、そんなこと簡単に言わないの。永那ちゃん、私の耳元で話してるから、すごくよく聞こえるんだよ?」
「もー、いいよー、もー」
「拗ねないで」
穂が私の腕の中でくるりと回転する。
優しくキスされて、ザワザワした気持ちが落ち着く。
…やっぱり生理前かなあ。
千陽が私の背中をギュッと掴んでいる。
このままでは、仰向けになれない。
「千陽、そろそろ戻ってくんない?寝られないんだけど」
言っても反応なし。
「千ー陽ーちゃーん」
どうしたものか…。
「千陽?」
穂が上半身を起こす。
「あたし…」
穂は私を机みたいにして、千陽の顔を覗き込む。
「あたし、結局、1回も挿れてもらえてない」
そ、れ、か…!
そういえばさっき“挿れて”ってお願いされたな。
あれは、でも…千陽が私を襲ってきたせいだからね?
「あ…私、早くドライヤー終えちゃったもんね」
だから、なんなんだよ、その計画は。
「明日な?」
「明日?」
「そう。もう疲れたし眠いし。どうせ明日11時までいられるなら、明日を千陽の日にすればいいじゃん」
「絶対?」
「うん、約束」
「…わかった」
「それまで焦らされとけ」
ペシッと背中を叩かれた。
同時に、背中が解放される。
3人で仰向けになった。
今度こそ川の字だ。
「次ベッド買う時はキングサイズが良いかも」
「お前ベッド買いすぎじゃない?無駄使いにもほどがあるだろ」
「うるさい」
「はいはい。静かにしますよ」
目を閉じる。
「永那ちゃん?」
「ん?」
「お、おやすみの、チュー…は?」
一気に目が冴える。
「穂、なにその可愛すぎな言い方?食べちゃうよ?」
穂に覆いかぶさる。
「え!?だ、だめだよ…!もう寝る時間だもん」
「でもさ?ちょっとくらいは良いんじゃないかな?」
「だめー」
ちょんちょんとパジャマの袖が引っ張られた。
「“ちょっとくらい良い”なら、あたしにシてよ」
ゴクリと喉が鳴る。
「だ、だめだよ…!」
頬を両手で包まれて、強制的に穂の方を向かされる。
「だめだよ?永那ちゃん」
あっちもこっちも可愛すぎて、エロすぎて、全部食べちゃいたいよ!やっぱり体が1つじゃ足りない…!
「可愛い穂」
そっと唇を重ねた。
「ヤキモチ?」
「…ヤキモチ」
「ふーん。可愛すぎ」
もう一度口づけを交わした。
横になる。
「あたしは…してくれないの…?だめ…?」
「いいよ」
千陽ともキスをする。
彼女が嬉しそうに口元に弧を描くから、ついポンポンと頭を撫でた。
今度こそ、目を閉じて寝転ぶ。
「おやすみ。永那ちゃん、千陽」
「おやすみ」
「…おやすみ、穂」
「お前は…なんで寝る直前までそうなんだ?」
心の中でため息をつく。
「永那…大好き」
心臓が跳ねる。
なんだ…このツンデレ攻撃は…。
「穂も、大好き」
「私も好きだよ、千陽、永那ちゃん。…おやすみ」
「…おやすみ」
しばらく眠れなかった。
2人の寝息が聞こえてきて、私もようやく眠った。
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