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7.向
423.期待
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「ハァ」と永那ちゃんが息を吐く。
「行くか」
その声で、千陽と森山さんがヨロヨロと歩き始めた。
私はまだ、永那ちゃんに寄りかかるようにしてしか歩けそうにない。
「優里ちゃんは…?」
「後で連絡するよ。あいつが来ないとお弁当の半分がないわけだし」
公園は結構賑わっていた。
平日だから、休日ほどではないけれど、花見に良さそうな目立つ場所はかなり埋まっている。
桜並木は圧巻で、風が吹くと花びらが一斉に舞った。
「わあっ、綺麗だね!」
私が言うと、永那ちゃんが満面の笑みで頷く。
「綺麗」
千陽は、落ちてきた花びらが手の平に乗って、頬を緩めてジッと見つめていた。
森山さんも空を見上げ、笑顔だった。
いくつかあった候補の内、1番目立たない場所を永那ちゃんが選んだ。
森山さんが持ってきてくれたシートを敷き、各々ゴクゴクと飲み物を飲んだ。
「私、優里を拾いに行きがてら、飲み物買ってくるね。普通に学校出られてたら、こんな二度手間なかったのに。まったく…」
ぶつくさ文句を言いながらも、迎えに行ってあげる優しさが好き。
しばらくして、落ち込んでいる優里ちゃんを連れた永那ちゃんが戻ってきた。
片手にはコンビニの袋がぶら下がっている。
「ごめんなさいでした…」
ペコリと頭を下げられた。
「マジでふざけんな」
千陽が怒る。
「はい…すびばせん…」
優里ちゃんが今にも泣きそうな顔をする。
「まあまあ、その分美味しいお弁当用意してくれたんでしょ?」
永那ちゃんが「よっこいしょー」と私の隣に座りながら言った。
「はい、頑張って作らさせていただきましたです…」
「ハァッ」と千陽がため息をついて、髪を後ろにやる。
「早く座れば?」
「うん…。わ~!!ごめんね~!!ごめんね~!!」
優里ちゃんは千陽に抱きつきながら雪崩れるように座った。
「もう、いいから…。お腹すいた」
心なしか、千陽が笑っている気がする。
「はい!!準備します!!」
いよいよ、待ちに待ったお花見だ。
私と優里ちゃんは、食べ物が被らないように、連絡を取り合っていた。
優里ちゃんはおにぎりがメインで、私はおかず。
とは言え、みんな女の子だから、そんなにおにぎりは必要ないだろう…と予想して、優里ちゃんにもおかずを作ってきてもらっている。
大きなタッパー2つに入れてきたけど、足りるかな?
千陽がケーキを持ってきてくれているから大丈夫だとは思うけど…。
私がタッパーに入れてきたのは、ミニトマト、ブロッコリー、唐揚げ、卵焼き、ソーセージ、ちくわきゅうりとちくわチーズ、人参のナムル、ピーマンのおかか和え、ほうれん草とコーンのバター炒め。
優里ちゃんは梅、鮭、昆布、ツナマヨの4種類のおにぎりを用意してくれた。
おかずは、ベーコンのアスパラ巻き、ポテトサラダ、ミートボールだった。
「ミートボールは冷凍食品なんだけどね」とモジモジしていたけれど、すごく華やかになった。
走ったせいで少し食べ物が混ざってしまっているところがある。
でも“ぐちゃぐちゃ”という程ではなく、ホッとした。
「わーーーー!すげーーーー!」
永那ちゃんの輝くような笑顔。
千陽も珍しくキラキラしている。
森山さんは小さく拍手してくれた。
ちなみに材料費は、事前に千陽と永那ちゃんが出してくれていた。
私と優里ちゃんには“作ってくれるんだから、払わなくていいよ”と言ってくれた。
森山さんは誕生日だからナシ、とのことだった。
「みんなー!撮るよー!」
永那ちゃんが写真を撮ってくれる。
「うぇーい!!春休み~!!」
優里ちゃんが両手を上げて、大きく口を開けて笑っている。
「食べようぜ~」
「うぇ~い」
2人の変なノリにはついていけない。
「「いただきます」」
みんなそれぞれ好きな物に手をつけていく。
「うまーー!うますぎだよ!穂!!」
「私のは~?」
「優里のおにぎりも、ヤバいくらいおいしい」
「えへへ。みんなも、どお?」
「美味しいよ!ありがとう、優里ちゃん」
「いえいえ!こちらこそ!穂ちゃんのご飯も、相変わらず美味しいよ~、ホントに。私のお嫁さんになってくれないかな~」
「それは絶対ダメ」
永那ちゃんが間髪入れず言う。
「穂ちゃ~ん、永那が嫌になったら、私のお嫁さんになって~」
「永那が穂のこと傷つけたら、穂はあたしのになる予定だから」
「え!?いつの間にそんな契約が!?」
“ぶっ”と、森山さんが吹き出すように咽た。
慌てて飲み物を飲む。
優里ちゃんが背中を擦ってあげていた。
私はただ、苦笑する。
「私は3番目か~」
「一生来ないからな!2番目も!3番目も!!」
永那ちゃんが箸で千陽と優里ちゃんを指すから、「こら、箸で人を指しちゃダメでしょ?」と言うと、しょんぼりしていた。
「永那は完全に穂ちゃんに尻に敷かれてますな…ぷぷぷ」
永那ちゃんが立ち上がる。
優里ちゃんは「ひぇぇっ」と逃げ始めたけど、すぐに永那ちゃんに捕まって、くすぐられていた。
「行くか」
その声で、千陽と森山さんがヨロヨロと歩き始めた。
私はまだ、永那ちゃんに寄りかかるようにしてしか歩けそうにない。
「優里ちゃんは…?」
「後で連絡するよ。あいつが来ないとお弁当の半分がないわけだし」
公園は結構賑わっていた。
平日だから、休日ほどではないけれど、花見に良さそうな目立つ場所はかなり埋まっている。
桜並木は圧巻で、風が吹くと花びらが一斉に舞った。
「わあっ、綺麗だね!」
私が言うと、永那ちゃんが満面の笑みで頷く。
「綺麗」
千陽は、落ちてきた花びらが手の平に乗って、頬を緩めてジッと見つめていた。
森山さんも空を見上げ、笑顔だった。
いくつかあった候補の内、1番目立たない場所を永那ちゃんが選んだ。
森山さんが持ってきてくれたシートを敷き、各々ゴクゴクと飲み物を飲んだ。
「私、優里を拾いに行きがてら、飲み物買ってくるね。普通に学校出られてたら、こんな二度手間なかったのに。まったく…」
ぶつくさ文句を言いながらも、迎えに行ってあげる優しさが好き。
しばらくして、落ち込んでいる優里ちゃんを連れた永那ちゃんが戻ってきた。
片手にはコンビニの袋がぶら下がっている。
「ごめんなさいでした…」
ペコリと頭を下げられた。
「マジでふざけんな」
千陽が怒る。
「はい…すびばせん…」
優里ちゃんが今にも泣きそうな顔をする。
「まあまあ、その分美味しいお弁当用意してくれたんでしょ?」
永那ちゃんが「よっこいしょー」と私の隣に座りながら言った。
「はい、頑張って作らさせていただきましたです…」
「ハァッ」と千陽がため息をついて、髪を後ろにやる。
「早く座れば?」
「うん…。わ~!!ごめんね~!!ごめんね~!!」
優里ちゃんは千陽に抱きつきながら雪崩れるように座った。
「もう、いいから…。お腹すいた」
心なしか、千陽が笑っている気がする。
「はい!!準備します!!」
いよいよ、待ちに待ったお花見だ。
私と優里ちゃんは、食べ物が被らないように、連絡を取り合っていた。
優里ちゃんはおにぎりがメインで、私はおかず。
とは言え、みんな女の子だから、そんなにおにぎりは必要ないだろう…と予想して、優里ちゃんにもおかずを作ってきてもらっている。
大きなタッパー2つに入れてきたけど、足りるかな?
千陽がケーキを持ってきてくれているから大丈夫だとは思うけど…。
私がタッパーに入れてきたのは、ミニトマト、ブロッコリー、唐揚げ、卵焼き、ソーセージ、ちくわきゅうりとちくわチーズ、人参のナムル、ピーマンのおかか和え、ほうれん草とコーンのバター炒め。
優里ちゃんは梅、鮭、昆布、ツナマヨの4種類のおにぎりを用意してくれた。
おかずは、ベーコンのアスパラ巻き、ポテトサラダ、ミートボールだった。
「ミートボールは冷凍食品なんだけどね」とモジモジしていたけれど、すごく華やかになった。
走ったせいで少し食べ物が混ざってしまっているところがある。
でも“ぐちゃぐちゃ”という程ではなく、ホッとした。
「わーーーー!すげーーーー!」
永那ちゃんの輝くような笑顔。
千陽も珍しくキラキラしている。
森山さんは小さく拍手してくれた。
ちなみに材料費は、事前に千陽と永那ちゃんが出してくれていた。
私と優里ちゃんには“作ってくれるんだから、払わなくていいよ”と言ってくれた。
森山さんは誕生日だからナシ、とのことだった。
「みんなー!撮るよー!」
永那ちゃんが写真を撮ってくれる。
「うぇーい!!春休み~!!」
優里ちゃんが両手を上げて、大きく口を開けて笑っている。
「食べようぜ~」
「うぇ~い」
2人の変なノリにはついていけない。
「「いただきます」」
みんなそれぞれ好きな物に手をつけていく。
「うまーー!うますぎだよ!穂!!」
「私のは~?」
「優里のおにぎりも、ヤバいくらいおいしい」
「えへへ。みんなも、どお?」
「美味しいよ!ありがとう、優里ちゃん」
「いえいえ!こちらこそ!穂ちゃんのご飯も、相変わらず美味しいよ~、ホントに。私のお嫁さんになってくれないかな~」
「それは絶対ダメ」
永那ちゃんが間髪入れず言う。
「穂ちゃ~ん、永那が嫌になったら、私のお嫁さんになって~」
「永那が穂のこと傷つけたら、穂はあたしのになる予定だから」
「え!?いつの間にそんな契約が!?」
“ぶっ”と、森山さんが吹き出すように咽た。
慌てて飲み物を飲む。
優里ちゃんが背中を擦ってあげていた。
私はただ、苦笑する。
「私は3番目か~」
「一生来ないからな!2番目も!3番目も!!」
永那ちゃんが箸で千陽と優里ちゃんを指すから、「こら、箸で人を指しちゃダメでしょ?」と言うと、しょんぼりしていた。
「永那は完全に穂ちゃんに尻に敷かれてますな…ぷぷぷ」
永那ちゃんが立ち上がる。
優里ちゃんは「ひぇぇっ」と逃げ始めたけど、すぐに永那ちゃんに捕まって、くすぐられていた。
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