いたずらはため息と共に

常森 楽

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8.閑話

7.永那 中2 春《古賀日和編》

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やっぱり…。
「菫ちゃんには関係ないでしょ」
私は彼女に背中を向けて、走った。
階段を駆けのぼって、2年生の教室に。
永那先輩は2組。
初めて来た…。
勢いで来てしまったけど、今更になって緊張する。
でも来てしまったから、腹を括って、教室を覗いた。
「永那~」
美人で有名な佐藤さとう先輩が永那先輩の膝に座っていた。
背中から肌が褐色の先輩に抱きつかれて、楽しそうに話している。
先輩の周りには数人の女子がいて…胸がズキズキと痛んだ。
なに、あれ…。

「ん?1年生?」
男子の先輩に声をかけられて、息を呑む。
「ああ…もしかして、また両角?」
また・・
「ちょっと待ってね」
「あ…っ」
「両角ー、1年生来てるよー」
そう言われて、永那先輩と、その取り巻きが一斉に私を見た。
冷や汗が出る。
永那先輩の目は、いつもの優しい目じゃなくて…冷たかった。
でもすぐに口元に弧を描く。
佐藤先輩が立ち上がると、永那先輩も立つ。
永那先輩が座っていた席に、佐藤先輩が座った。
佐藤先輩は足を組んで、興味なさそうに髪をいじり始める。

褐色の先輩は永那先輩の腕を抱いて、一緒にこちらに歩いてきた。
「どうした?」
「あ…いや…あの…よ、用事は…特に、ないんですけど…」
圧が怖くて、俯く。
「用ないなら、1年が2年の教室来んなよ」
永那先輩じゃない声。
フッと永那先輩が笑う。
「そんなこと言うなよ。私の大事な後輩なんだからさ?」
「…ご、ごめん」
大事な…後輩…。
「なんかあった?」
いつもの、優しい声。
「…先輩に、会いたくて!」
勇気を振り絞る。
「そっか。寂しかったか」
ポンポンと頭を撫でられて、心にふわっと花が咲くみたいな気持ちになった。

「永那」
「なんだよ?」
急に永那先輩の声音が変わるから、びっくりする。
「…な、なんでも…ない、けど…」
「あっそ。じゃあ、あっち行っとけよ」
褐色の先輩が頬を膨らませて、俯きがちに佐藤先輩達の元に戻った。
「ごめんね」
「いえ…」
左手で右手を擦る。
勢いで来てみたはいいものの、なにを、どう言えばいいかわからない。
「先輩…私…私…先輩と…また…。は、春休みになる前に…」
「…今日は…時間ないけど…明日、する?」
囁かれて、キュゥッと子宮が締まる。
私が頷くと、ちょうど予鈴が鳴った。
「じゃ、明日ね」
「いつものところですか?」
「んー…いつものところは、最近バレそうになってさ…使えなくなっちゃったんだよね」
最近、バレそうに…?
最近まで、使ってたってこと?
誰と?
不安な感情がぐるぐる、ぐるぐる渦巻いた。
「どっか、考えとくよ」
「…はい」

不安で、夜眠れなかった。
そういえば私、ただ先輩を好きっていう気持ちだけで突っ走ってきたけど…私って、先輩にとってどんな存在なんだろう?
急に確かめたくなって、でも、確かめたくない気持ちもあって…気持ちがぐちゃぐちゃになる。

翌日の昼休み前、『更衣室に着て』とメッセージが来た。
昨日の不安が嘘だったみたいに、思わず授業中ニヤけてしまうくらいに嬉しかった。
やっと先輩と2人になれる。
やっと先輩に触れてもらえる。
授業が終わった瞬間に教室を出た。
走って更衣室に向かう。
ドアの前で深呼吸して、息を整えた。
ドアを開けたけど、まだ先輩は来ていなかった。
…お昼休みなんだから、お昼…食べるよね。
そんなことも忘れるくらい、先輩からの呼び出しが減っていた。
「ハァ」とため息をつく。
ずっと、先輩から連絡が来るのを待っていた。
寂しかった。会いたかった。

15分して、ドアが開いた。
「お、早いね」
「先輩っ」
私は走って抱きつく。
フフッと先輩が笑って、優しく抱きしめ返してくれる。
先輩が離れて、手を引かれて更衣室に入った。
そっとキスされて、彼女の背中の服をギュッと握りしめる。
必死に先輩の舌に舌を絡めた。
また先輩が笑う。
いつもみたいに胸を揉まれて、それだけで足が震え始めた。
私は自分でブレザーを脱ぐ。
その間に先輩がシャツのボタンを外していく。
「初めて見るブラだ」
「先輩のために…買ったんです…」
ニシシと彼女が笑って「なにそれ、めっちゃ嬉しい」と言うから、キュンとする。

私は壁に手をついて、先輩が私の後ろからショーツを下ろす。
シャツ越しにブラのホックが外されて、ブラの締め付けがなくなった。
左手で胸を揉まれながら、右手で恥部に触れられた。
ハハッと彼女が軽快に笑う。
「もう濡れてる。相変わらずエッチな子だな、日和は」
「んぅっ」
「日和はさ?」
「…は、いッ」
敏感になっている蕾に触れられて熱い息が漏れる。
「なんで私のことが好きなの?」
「ぁぁっ」
ピリピリと電流が流れるみたいに気持ち良くなる。
「優し、くてッ…ハァッあぁっ」
足がガクガクする。
壁に爪を立てて、なんとか姿勢を保つ。
「かっこ、いぃ…ッんっ」
「あとは?」
彼女の指がなかに入ってくる。
それだけで気持ち良い。
永那先輩の言う“開発”が進んだ証拠。
「いつも…んぅっ…いつ、も…可愛いって…あぁっ」
「他は?」
私が一番感じるところを押されて、私はただ喘いだ。
何も考えられなくて、もっと気持ち良くしてほしいと願ってしまう。
…春休みになったら、また親がいない日を先輩に言おう。
そしたら、きっと…思う存分…。
そう思った瞬間、果てる。
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